ニコニコ動画が変えた新しい演劇の見方――劇団キャラメルボックス、舞台を生放送する理由(1/2 ページ)
本来は劇場で“生”で見るはずの舞台演劇。しかし、映画館で見るライブビューイング、そしてネットチケットの登場によって、これまでの観劇スタイルが大きく変わりつつある。なぜ劇場から生中継するのか。その理由をキャラメルボックス代表の加藤さんに聞いた。
本来であれば劇場へ見に行くことが一般的であるはずの舞台演劇。しかし、近年は映画館で見るライブビューイングや、ニコニコ動画でのネット配信といった事例も増えてきた。「忍たま乱太郎」や「弱虫ペダル」などの人気コンテンツの舞台化はニコニコ生放送で多くの視聴者を集めている。
演劇集団キャラメルボックス(以下キャラメルボックス)も、作品をニコ動でライブ配信している劇団の1つ。劇団の運営会社であるネビュラプロジェクトの加藤昌史(かとう・まさふみ)代表に、ニコ生での現在の取り組みから、配信を始めたきっかけ、インターネットと演劇のこれからについて聞いた。
楽屋も生中継
演劇集団キャラメルボックス(以下キャラメルボックス)は、1985年に早稲田大学の演劇サークル「てあとろ50'」出身の加藤さんたちによって結成された。2008年に累計動員数200万人を突破し、2010年には結成25周年を迎えた歴史ある劇団だ。また、創立当時からWebを使ったプロモーションに積極的で、1995年に公式サイトを立ち上げ、ファン専用のSNS「Caramelland(キャラメランド)」でも情報発信に取り組んでいる。
そんなキャラメルボックスが、ニコ生で演劇のライブ配信を始めたのは2013年のこと。今年に入ってからは、ニコ動に月額540円の公式チャンネルを設け、作品を鑑賞できるようにした。また月額会員でなくても1500円のネットチケットを購入すれば鑑賞できる。劇場で実際に見るためのチケットが7000円程度なのに比べると、ネットでは割安だ。
キャラメルボックスの生放送で特徴的なのは、舞台上と楽屋をそれぞれ同時中継していることだ。リアルタイムに芝居が進行していくその傍らで、楽屋からの生放送では加藤さんが稽古時の裏話を解説したり、役目を終えた直後の役者が顔を見せたりする。
鑑賞のしかたが劇場とは大きく異なるのもニコ生配信ならではの特徴だ。一般に観劇のスタイルというと、誰もしゃべらずに静かな空間で芝居を眺めるイメージがある。しかしネットビューイングはそのイメージとは真逆に、放送中はたくさんのコメントが流れる。キャラメルボックスの最近の公演動画を見ると、来場者数が約400人なのに対しコメントが2000件以上ついていることからも、そのにぎやかさが想像できるだろう。
これはキャラメルボックスに限った話ではなく、ネットチケットを使って配信されている演劇作品の多くが、来場者数の数倍、場合によっては十数倍のコメントであふれている。圧倒的なコメント量や、ユーザー同士がコメント欄でやり取りをし合う様子、何より「コメントも含めて1つの作品」とみなすような独特の文化は、ニコ動にしかないものだ。
劇団の全体の売り上げに対し、ニコニコでの売り上げが占める割合は大きなものではないが、それでも続けている理由は「単純に楽しいから」(加藤さん)。ネットチケットでもうけようとも、劇場への集客のためとも思っていない。自分の仕事は「24時間お客さんを楽しませること」だと考えている加藤さんにとって、ニコ動にはその理想形があると感じている。
「自分たちでお客さんを作る」ことが始まり
これまで演劇を見てもらうためには劇場に来てもらうしかなかった。そんな演劇をライブ配信している裏側には、どのような意図があるのだろうか。
演劇はそもそも非常にマイナーなエンターテインメントであると加藤さんは語る。同じエンターテインメントでも、例えば音楽は、CDやDVDなどの形でも広く流通し、一度ヒットすれば大勢の人に聞いてもらえる。けれど演劇、特に会話劇であるストレートプレイは、生身の人間が生声でやるものだから広がりがない。また、演劇を扱うメディアはないに等しく、見る人も少ない。小規模なエンターテインメントは宣伝費をかけられないため、メディアにどう露出するかが旗揚げ当時からの課題であったそうだ。「常に自分たちでメディアを作るということを意識していたので、お客さんは自分で作るということから始めました」
劇団立ち上げ後、まずは雑誌という紙のメディアからスタートしたキャラメルボックス。1995年にはいち早く公式サイトを開設した。紙媒体より早く情報を伝えられる世界があるのならば、それを使ってお客さんについてきてもらうべきだと思ったからだ。そこから、公演などの情報はインターネット上に積極的に載せて知名度を世に広げていった。
「視聴者3人」から始まった生放送
2000年には最初のインターネット生放送も実施したが、そうした取り組みの情報はファンにも行き渡っておらず、そもそも視聴できるPCを持っている人も少なかった。現在のような動画配信プラットフォームなどまったく整っていない時代だ。WebカムとMac 1台、64KbpsのISDN回線でストリーミング配信したが、初回の視聴者数は3人だった。
それからの10年間も、次回公演のプロモーションビデオをYouTubeで公開したり、前述のファン専用SNSを立ち上げるなど、精力的にWeb上で活動してきた。「UstreamもTwitterも、かなり初期から利用している。新しくできたサービスはだいたいすぐに試してきた」
ニコ生を始めたのは2013年から。過去にニコ生で配信され、人気を博していたミュージカル「忍たま乱太郎」の配信にキャラメルボックス社員が関わっていたことがきっかけだった。
ニコ動に対しては、サービス開始当初のある種排他的な雰囲気への印象がぬぐえず、それまではあまり関心を持っていなかったという加藤さん。しかし、キャラメルボックスがニコ生を始める際に初めて見た、ラジオパーソナリティ・やまだひさしさんの破天荒な放送に驚きを感じた。「自分たちもこんなはちゃめちゃな配信がしてみたいと思った」
「演劇ってだけでハードルが高い、縁遠いと思われている」。そのハードルをもっと下げていくことも大きな課題だと加藤さんは語る。2014年にはニコニコ動画上に劇団の公式チャンネルを開設したが、視聴できるのは基本は有料会員だけ。より広いユーザーに向けて情報発信するため、加藤さんは自分自身のニコ生アカウントでも稽古風景などを配信している。
「これで僕らが日本の演劇界を変えていかなければ、次の世代の演劇をやる人たちがのびのびとできないと思っています」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
【追記あり】夫に「油買ってきて」と頼んだのに、手ぶらで帰宅した理由はまさかの…… とんでもないオチに「やめてww」「久しぶりに大爆笑」
-
1歳息子の“はじめての寝落ち”が140万再生 10歳兄のやさしい行動に「なにこの平和でかわいい世界」「最高に癒やされる」と絶賛の声
-
「予言者いた」「先見の明」 大谷翔平選手&真美子さんの結婚を2021年時点で予言(?)している投稿が発掘され話題に
-
北海道内の移動距離を本州と比較したら…… 感覚がバグるマップ画像に「これが北海道」「大きすぎる」
-
生後1カ月の赤ちゃん「ぼく泣かないもんねっ」 うるうるおめめとへの字口が「はぁ〜たまらん!」「ぐぁぁああああっっ」取り乱すほどかわいい
-
「一番イチャイチャしているように見える」 大谷選手が公開した写真でドジャース山本由伸選手の“手つなぎ”?が話題に 「そっちに目が行く」
-
「妻の服を勝手に着て脱げなくなったムキムキ夫とデカワンコ」に爆笑の嵐 シュールすぎる状況が500万表示突破
-
“おしりが5日で変わる”トレーニング! 「明日からやるか」「1日1回だけなら続けられる」と累計3000万再生突破
-
大好きなボールを100個プレゼントされたときのワンコの表情に「放心ww」「引いてない?」 直視できない姿がSNSで話題
-
赤ちゃんが妙に静かだと思ったら…… 思わぬものへの“真剣モード”に笑顔になる人続出「たれたもちもちほっぺたまらん!」
- 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
- 昭和時代に“無かった物”が写っている……? 細かすぎて伝わらない「未来から来たことがバレた写真」に6万いいね
- 「マジで汚い」「こんなもんです」 辻希美、“大散乱”のリビングと“新”キッチンの差を公開し共感の声集まる
- 双子の赤ちゃん、姉が全力でくしゃみして…… 被害にあった妹の反応に「生後3ヶ月でドリフのコントw」「めちゃどっちもカワイイ」と絶賛の声
- 「よくも病院に連れてきたな……」とにらむ猫、先生が来た瞬間 驚きの変貌に爆笑の声「これがほんとの猫かぶり」
- 急に片耳がたれたワンコ、慌てて病院にいった結果…… 「こんな可愛い診断結果初めて見たよw」「笑っちゃった」と反響
- 「何羽いる?」一見普通の“草むら”、よく見ると……? 思わず絶叫まちがいなしの1枚に「どっさりいるw」「まさに迷彩!」
- 店員に「この子は懐きませんよ」と言われたチンチラ、家に来て3日後…… 人を信じる姿に「愛が伝わったんですね」
- 元SDN48光上せあら、目を離した隙に……子どもが商品を触り“全買取” 「子連れママに厳しすぎないか?」
- 柴犬を子どものように育てた結果、人間みたいな行動をするようになった 何気ない幸せな日常に「完全に家族の一員」「全部が愛くるしい」
- 釣れたキジハタを1年飼ってみると…… 飼い主も驚きの姿に「もはや、魚じゃない」「もう家族やね」と反響
- パーカーをガバッとまくり上げて…… 女性インフルエンサー、台湾でボディーライン晒す 上半身露出で物議 「羞恥心どこに置いてきたん?」
- “TikTokはエロの宝庫だ” 女性インフルエンサー、水着姿晒した雑誌表紙に苦言 「なんですか? これ?」
- 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
- 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
- 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
- 67歳マダムの「ユニクロ・緑のヒートテック重ね着術」に「色の合わせ方が神すぎる」と称賛 センス抜群の着こなしが参考になる
- “双子モデル”りんか&あんな、成長した姿に驚きの声 近影に「こんなにおっきくなって」「ちょっと見ないうちに」
- 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
- 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」