過重労働が常態化、深夜のワンオペ解消されず……すき家の労働環境、第三者委員会が調査報告書

これまでのビジネスモデルが限界に達し、壁にぶつかったと第三者委員会は指摘している。

» 2014年07月31日 19時28分 公開
[ねとらぼ]

 牛丼チェーン「すき家」の労働環境について、運営元ゼンショーが設置した第三者委員会が調査報告書をまとめ、7月31日にすき家に渡した。報告書では過重労働など過酷な労働環境が浮き彫りにされている。

 第三者委員会は、今年3月に起きた大量店舗閉鎖を受けて設置されたもので、弁護士の久保利英明氏らが委員を務める。この大量閉鎖は、就職などで学生クルー(アルバイト)が多く退職し人手不足になる2〜3月に、手間のかかる「牛すき鍋定食」が投入され、現場が疲弊したことによる。また同時期に、大雪でクルーが帰宅できず長時間労働することがあり、これをきっかけにクルーの不満が爆発して稼働率や人数が減少、代わりにシフトに入った社員へ過重な負担がかかったという。

 これを受け、同委員会では社員数推移などのデータや、現場への聞き取りなどにより実態を調べた。

報告書には残業時間なども掲載されている

 調査によると、過重労働が常態化し、恒常的に月500時間以上働いていた社員や、2週間家に帰れない経験をした社員も見られた。またかねて問題視されていた1人勤務体制(ワンオペ)についても、防犯上問題のある深夜帯のワンオペが、「順次解消する」との公表があったにもかかわらず解消されていないことが分かった。ほかにも休憩時間がない、十分な休日が付与されていないなどの問題も挙げられている。

 ゼンショーおよび親会社ゼンショーホールディングスではこうした問題について全社的な検討・対応がされず、「目の前にあるはずの過重労働問題等に対する“麻痺”が社内で蔓延し、『業界・社内の常識』が『社会の非常識』であることについての認識が全社的に欠如していたものと言わざるを得ない」と報告書では指摘されている。

 委員会は、長時間労働の絶対的禁止のルール化、深夜時間帯のワンオペ解消などを提言。今回の事態について、「『外食世界一を目指す小川CEOの下に、その志の実現に参加したいという強い意志をもった部下が結集し、昼夜を厭わず、生活のすべてを捧げて働き、生き残った者が経営幹部になる』というビジネスモデルが、その限界に達し、壁にぶつかったものということができる」と述べている。

 ゼンショーホールディングスは同日、分社化や労務管理体制・ガバナンス体制の強化といった改革を実施すると発表している。また第三者委員会の提言に対して、「当社と子会社である株式会社ゼンショーとの間の権限の問題が重要であると受け止め、今後速やかに改善に取り組む所存です」「株式会社ゼンショーの労働環境に向けた改革、ガバナンス体制強化に向けた取り組みが順調に進むよう、サポートとチェックを続けてまいります」とコメントしている。

報告書へのコメント

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/18/news202.jpg 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの行動”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」【大谷翔平激動の2024年 「家族愛」にも集まった注目】
  2. /nl/articles/2412/20/news023.jpg 60代女性「15年通った美容師に文句を言われ……」 悩める依頼者をプロが大変身させた結末に驚きと称賛「めっちゃ若返って見える!」
  3. /nl/articles/2403/21/news088.jpg 「庶民的すぎる」「明日買おう」 大谷翔平の妻・真美子さんが客席で食べていた? 「のど飴」が話題に
  4. /nl/articles/2412/21/news038.jpg 皇后さま、「菊のティアラ」に注目集まる 天皇陛下のネクタイと合わせたコーデも……【宮内庁インスタ振り返り】
  5. /nl/articles/2412/21/news056.jpg 真っ黒な“極太毛糸”をダイナミックに編み続けたら…… 予想外の完成品に驚きの声【スコットランド】
  6. /nl/articles/2412/21/news088.jpg 71歳母「若いころは沢山の男性の誘いを断った」 信じられない娘だったけど…… 当時の姿に仰天「マジで美しい」【フィリピン】
  7. /nl/articles/2412/20/news096.jpg 新1000円札を300枚両替→よく見たら…… 激レアな“不良品”に驚がく 「初めて見た」「こんなのあるんだ」
  8. /nl/articles/2412/18/news015.jpg 家の壁に“ポケモン”を描きはじめて、半年後…… ついに完成した“愛あふれる作品”に「最高」と反響
  9. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  10. /nl/articles/2412/17/news195.jpg 「ほぼ全員、父親が大物芸能人」 奇跡的な“若手俳優の集合写真”が「すごいメンツ」と再び話題 「今や全員主役級」
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」