伝説の格ゲー「エアガイツ」の世界大会(17年ぶり2回目)が開催! 全国から猛者集結1000人が見守った?(2/4 ページ)

» 2015年01月19日 10時00分 公開

「エアガイツ仮面」が誕生した理由

 これまでミカドや関西のゲーセンで開かれたエアガイツの大会で何度か優勝を経験していた彼は、「妥協も、敗北も、後悔もしない」というコメント共に並々ならぬ思いとプレッシャーで本大会に臨んでいた。彼が試合の度にお守りのように筐体の上に置いていたのは、師匠と仰ぐ立川ゲームオスロー第5店の店長から託された「EHRGEIZ」のロゴ入りの「G-SHOCK」。

photo 試合時は筐体の上に師匠から託された「EHRGEIZ」のロゴ入りの「G-SHOCK」を置いていた

 実はこの特製G-SHOCKは、第1回エアガイツ世界大会で3位入賞者のみに配られた世界に3つしかない時計で、オスローの店長はエアガイツ日本一・世界大会3位の経歴を持つ「最強のエアガイツァー」なのだ。大会当日も、他のプレイヤーがミカドで最終調整をする中、エアガイツ仮面は1人立川に向かった。彼の“卒業試験”のために店長が特別にエアガイツを店内に設置したのだ。試合当日は電車が止まっており、なかなか会場に姿を見せなかったエアガイツ仮面。図らずとも宮本武蔵のようにふらりと出現し、そのまま優勝をかっさらっていったのである。

 第2次世界大会は、「お前ら! 全員エアガイツをやるのだー!!」という彼の名ゼリフ(?)と共に幕を閉じた。

 試合終了直後のエアガイツ仮面に話を聞くと、開口一番「いろんな人の情熱に動かされてここまでこれた」と感謝の意を述べた。師匠であるオスローの店長に教えられ、エアガイツに出会ったのは2000年。格闘ゲームの腕には自信があったが、日本チャンプの店長には全く歯が立たず、大きなショックを受けたという。

photo 師匠の時計を腕に付ける優勝直後の東のエアガイツ仮面

 その後彼は就職し、しばらくゲームセンターから遠ざかっていたが、あ〜る・滝さんがエアガイツの定例対戦会を始めた2012年にミカドを来訪。当時の現役プレイヤーたちに感化を受け、またそのゲームが放つ魅力に引き込まれていった。そして、滝さんたちのひたむきな活動に影響を受け、「エアガイツ仮面」を名乗って普及活動を開始することを決意する。エアガイツのためなら全国どこへでも駆けつける彼は、エアガイツを「本当の3D格闘ゲーム」と語る。ほとんどの3D格闘ゲームは、奥や手前に動ける横移動はあるが、あくまで軸に沿った動きになっており、エアガイツのように360度縦横無尽に走り回ったり飛び回ったりすることはできないものが多い。操作の自由度に無限の可能性を感じられるところがエアガイツの魅力なのだ。

 ここで、エアガイツ仮面に気になっていた疑問をぶつけてみた。今回あえてティファを選択した理由だ。というのも、彼はあらゆるキャラクターを自在に操ることができるほか、テコンドーを武器とする韓大韓というキャラクターを頻繁に使っていた記憶があったからだ。

 彼は「全キャラクターのダイアグラムを独自で作り、その中で相対的にティファが強いと判断しました。世界一になるために、一切妥協も後悔もしたくなかったので」と答えた。彼のストイックさはこれにとどまらない。全てのキャラクターの技や特徴、弱点、キャラクター同士の相性、ステージの特徴やキャラクターとの相性といったあらゆる要素を徹底的に研究し、世界大会に出場しないプレイヤーと検証を重ねた。世界大会に出場するプレイヤーたちと野試合をする時にティファを使わなかったことについては「ティファを使っていないけど、ティファを使っての立ち回りをイメージしながら対戦していました」と常人では理解しがたい一言を放つ。超人離れしたゲームセンスと徹底した研究、そして絶え間なく努力を重ねるストイックさの全てが掛け合わさり、最強の男は取るべくして優勝を勝ち取ったのだ。

 うわさによると、かつては闘劇出場経験もある、伝説的な「鉄拳」(バンダイナムコゲームス)プレイヤーだったとか、そうじゃないとか。他の格闘ゲームイベントでも優勝をかっさらう彼の快挙はこれからも続くだろう。

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