北陸新幹線の次は「北海道新幹線」 1年後の開業に向けて準備着々進行中!!
北海道新幹線の走行試験が進んでいます。
北陸新幹線に続き、開業を1年後にひかえた北海道新幹線。冬の走行試験では実に9000kmを走りました(3月1日現在)。雪が解けた今、今度は4月21日から7月末まで、春から夏にかけての走行試験がはじまります。北海道新幹線は、なぜ、こんなに走行試験を繰り返すのでしょうか。それは、海底トンネルという大きな「壁」との戦いでもあるのです。
海底トンネル内の線路は貨物列車と併用なので、レールが3本!!
1年後に開業するのは、新青森から新函館北斗までの約149km。そのうち、青函トンネルは54km。このトンネルの前後をあわせた計82kmの線路が、在来線(貨物列車)と併用されます。
併用される区間のレールは、上り・下りとも外側が1本、内側が2本の3本レールです。外側の1本が新幹線と貨物の共用、内側の、レール幅が狭いほうを貨物、広いほうを新幹線が走ります。3本レール(「三線軌条」という)はほかに、秋田新幹線、箱根登山鉄道、京浜急行などでも利用されています。
1988年に開業した青函トンネルは最初から、新幹線が通ることを前提とした規格で建設されました。そして去年12月、走行試験ではありますが、26年の時を経てはじめてトンネルを新幹線が通り、その志が実現したというわけです。
トンネル内の風圧が高いほか、冬はトンネル内外の気温差が大きい…
青函トンネルはもともと、新幹線が時速200kmで走ることができるように設計されました。しかし、早く走れば走るほど、トンネルの中の風圧が高くなります。青函トンネルは貨物列車と共用するため、トンネル内で新幹線と貨物列車がすれ違うことがありますが、風圧が高いと、重心の高い貨物列車の揺れが大きくなり、脱線の原因となることが考えられます。
また、青函トンネルの中は常に気温はプラスですが、北海道と青森の厳寒期は外気がマイナス10℃を下回ることもあるので、トンネルの内外での気温差がとても大きくなってしまいます。これが新幹線の走行にどういう影響を起こすのか。さらに、真冬にトンネルから出たとたん、新幹線の車体に激しく雪が着くことが考えられますが、これが走行に問題を起こさないのか……。
これら、海底トンネルゆえのさまざまな事象を、真冬の走行試験で検証していました。
冬の走行試験はすでに60回以上、これからは夏の走行で安全性を検証する
北海道新幹線の走行試験は、去年の12月1日からはじまりました。区間は新函館北斗から奥津軽いまべつ(青森県)までの約110km。H5系が冬の厳寒期に耐えられるか、60回以上の走行試験で、繰り返し繰り返し検証されました。冬の走行試験はさらに、今年の年末からも行われます。
新幹線は現在走っている在来線と同じ軌道を走るため、1年後の開業までは、走行試験や建設・電気工事は在来線が運行していない時間帯に行われます。
新年度は4月21日から7月末まで、走行区間も新函館北斗から新青森までの全線を走行します。8月からは、運転士の乗務訓練も始まります。さらに運転士以外にも、車両や線路のメンテナンス要員をはじめ、駅員や車掌など400人近くを育成します。
3月28・29日は、函館駅でイベント開催
北海道新幹線開業1年前を記念して、函館をはじめ、新幹線が通る各地で、さまざまなイベントが開かれています。
3月28日(土)・29日(日)は、函館駅と駅前広場で、カウントダウンイベントが開催されます。
「食」のコーナーでは、各地の味覚が大集合。東北などの名物料理や駅弁が集合します。また、お子様向けには、子ども限定のクイズ大会「新幹線王決定戦」や、子ども限定の撮影会「運転士なりきり撮影会」など、ちびっ子鉄道ファンには楽しみなコーナーもあります。
また、28日からは、「道南スタンプラリー」が始まります。実施期間は5月6日(水)まで。道南の12の道の駅のスタンプを6個または9個集めると、抽選で北海道新幹線グッズや旅行券などが当たります。
1年後の北海道新幹線開業に向けて、函館近郊ではカウントダウンが始まりました。乗客を乗せた新幹線が1年後、海底トンネルを通ります。函館から東京まで全線がつながると、新幹線で約4時間!! 北海道から東京まで陸路で4時間で行くことができるようになります。来春の開業をめざし、安全な走行を確実にするために、春からまた新幹線の走行試験が再開されます。
参考:「H5系 真冬の挑戦」(北海道新聞2015年3月19日号)
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