あえて言おう! 百合にハズレなしと! 「ウソだと思って読んでみろ!」的・オススメ百合マンガ3選(2015年春版):虚構新聞・社主UKのウソだと思って読んでみろ!第43回
いやあ、百合って本当にいいものですね。
ねとらぼ読者のみなさん、ごきげんよう。虚構新聞の社主UKです。
いきなりですが、みなさん近頃ゲームされていますか? 社主も昔はゲームが大好き人間だったのですが、最近は「ドラクエX」をちまちまプレイする程度。社会人になって以降、使える時間そのものはそんなに変わっていないはずなのに、この数年なぜあまりゲームをしなくなったのだろうと考えてみると、やはりこれはスマホやタブレットでだらだらとネット情報に漬かる時間が増えたのが原因なのだろうなと。
「将棋ソフトが不成の王手に対応してなかったとか衝撃的だわー」とか「毎年エイプリルフール特集は大変だな……」とか、ねとらぼを読んでは社主の個人ツイッターで日々つぶやいておりますが、先月あたりからゲームの時間を確保するため、少しネットから距離を置いた生活を送ることにしています。
そんなゲーム強化期間中の先月、PlayStation Vitaの百合ゲー「FLOWERS」(プロトタイプ)を購入。元はPCゲームの移植版で、百合好きから非常に評判が良いということでずっと気になっていたのです。
で、早速プレイ。全寮制のキリスト教系女学校を舞台に、人付き合いが苦手な主人公の少女が「アミティエ」と呼ばれる同室の友達と過ごす学生生活と恋模様は本当に素敵なものでした。自分が男に生まれたことを全力で悔やむレベルなので、ぜひ遊んでみてください。
さて、そんな百合百合しい気持ちが収まらないままに、今回は今年に入って発売された百合マンガの中から社主おすすめの作品を一挙紹介です。
「小百合さんの妹は天使」(伊藤ハチ)
まずは「コミックフラッパー」(メディアファクトリー)にて連載中、伊藤ハチ先生の「小百合さんの妹は天使」(〜1巻、以下続刊)から。
「フラッパー」に第1話が掲載されたときには、「うおおお、フラッパーにも百合マンガ来たあああ!」とガッツポーズした社主ですが、作品もまた素敵なものでした。
主人公はフラワーショップで働く小百合さん。13年前、彼女の両親が離婚したとき母に引き取られた(=父に捨てられた)ことがきっかけで、男に対して期待を抱かなくなった彼女が唯一気にかけていたのは、父の側に引き取られた妹・美琴。女としての魅力に欠ける(と、思い込んでいる)「雑草」の自分とは違い、まるで天使のようにかわいらしい妹のことを思い出していた小百合さんの前に、突然その美琴が現れます。しかも13年ぶりに再会した17歳の妹はなぜか天使の輪っかと羽をまとい「まるで天使」どころか本物の天使の姿で!
「おねえちゃんとコイビトになるために 私やってきたのよ」と話す美琴。確かに子どもの頃、姉妹なのに恋人になる約束をしたけれど……。戸惑いつつも、小百合さんとちょっと重いほどに愛情をぶつけてくる妹との同居生活が始まります。
……と、こんな冒頭から始まる姉妹百合作品。痛いほどラブを浴びせてくる妹・美琴の空回りっぷり含め全体的にはテンション高めでコメディ要素が強いですが、なぜ彼女が天使の格好をしているのか(しかも輪っかと羽が見える人と見えない人がいる)、そして小百合さんと家族の関係などシリアスな要素もあわせ持っていて、まだまだ今後の展開に含みを持たせた続きが待ち遠しい作品の1つです。
ちなみに表紙を見てもらっても分かるように、あえて書くまでもないほどに絵がめっちゃかわいいです! あと社主は小百合さんも天使だと思いますよ!(←メガネ女子好き)
「満腹百合」(宮部サチ)
続いては「月刊コミックリュウ」(徳間書店)より、宮部サチ先生の「満腹百合」(全1巻)。ド直球とも言えるタイトルまんまに、昨今一大ジャンルとなった「食マンガ」でなおかつ「百合」という何ともハンドリングが難しいテーマなのですが、そんな不安も吹き飛ばす満腹……、もとい満足感ある作品に仕上がっています。
本作はIT企業に勤める大食い女子・ののかと駆け出し小説家でボーイッシュな外見の綾の同棲生活を描いた作品。2人のラブラブな様子が焼肉、パンケーキといった日々のご飯生活を通して語られていきます。
社主がふだん読む百合マンガの多くは、2人が付き合うまでの過程を主にしたものなのですが、「満腹百合」は既に付き合っているののかと綾のご飯を通じたラブラブ描写がメイン。そういう意味では今回紹介する3作の中では最も進んだ関係です。
さっきも書いたように、高級グルメでない普段の食事をおいしく食べるマンガが増える中、本作ではご飯の存在に必然性が感じられるのも良いところ。レシピを添えつつ、キャラに「美味い!」と言わせるだけの「これ別にご飯出てこなくてもいいんじゃね」という作品ではなく、「相手の“普通の”幸せを願うからこそ、別れたほうがいいのではないか」 といった百合関係が伴う愛情と不安を「美味しいご飯で相手を繋ぎ止めているだけではないか」という表現に昇華させたところこそ本作の白眉だと思うのです。そこにこそ食事が出てくる意味がある。
そんな微妙な心情を描きつつも、最後まで読み終えると「あれ、これ2人のラブラブを見せつけられただけじゃないの?」と。ええ、ごちそうさまです!
「聖純少女パラダイム」(森島明子)
最後は百合アンソロジー「ひらり、」(新書館)から森島明子先生の「聖純少女パラダイム」(全1巻)をご紹介。今回百合をまとめて取り上げようと思ったきっかけは「FLOWERS」とちょうど同じタイミングに、ちょうどよく似た舞台設定の本作を読んだからでした。ちなみに森島先生は、現在「コミックバーズ」(幻冬舎)にてコミカライズ版「ユリ熊嵐」(〜1巻、以下続刊)も連載されています。
舞台は由緒正しい名門お嬢様学校「聖パラダイム女学園」。女子高に憧れて入学してきた皐月葵は入学早々おたふく風邪にかかってしまい、2週間遅れでの初登校。そんな彼女が早々に出会った同級生・千城リリは、女の子が大好きで意中の相手にいきなり「性的な意味で好き!」と告白してドン引きされてしまうほど積極的な少女。せっかく友達ができても彼氏ができた途端距離ができることに寂しさを感じるリリと、「恋をしたことがないからいつまでも一番の友達でいられる」と話す葵の学生生活が始まります。
葵&リリだけでなく、生徒会役員で従姉妹の麗香&ユキ、文芸部の正美&碧(みどり)、3組3様の恋愛模様もまた見どころ。ちなみに社主は麗香とユキの先輩2人組のエピソードがちょうど大人になる瞬間を丁寧に描いていて好きでした。リリの場合とは違って、身近すぎるがゆえに逆にお互い距離の測り方が難しいなっていう。
というわけで、今回は姉妹百合、ご飯百合、学園百合とそれぞれに特徴を持つ3作品を一気に紹介しました。
以前西UKO先生の「となりのロボット」を取り上げたとき(関連記事)に「今年は久々に百合が盛り上がるのでは!」と書きましたが、これは単に流行のサイクル、流行り廃りという話ではなく、純粋にマンガとしておもしろい作品が多いという実感に基づいています。それはまた言い換えれば、このジャンルに関わるマンガ家さんの日々の努力の上に成り立っているのだとも思うのです。元来の男嫌いが高じて百合好きになった社主はジャンルとして優先的に読んでいますが、そういう偏りを取っ払ったとしても、個別のマンガとして見て百合を扱ったマンガには当たりが多い印象です。そう……
あえて言おう! 百合にハズレなしと!
今回も最後までお読みくださりありがとうございました。
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「描けば原稿料が入るんですよ!」が殺し文句。
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