現役プレイヤーに聞く、“エアガイツ騒動”の真実ゲームのバグ技問題(2/3 ページ)

» 2015年12月14日 06時00分 公開

「致命的なバグではなく、エアガイツの魅力は変わらない」

 今回ティファが使ったバグ技は、必殺技ゲージがなくても空中から飛び道具を打ち続けることができるというもの。滝さんによると、元となるバグ技自体はPlayStation版エアガイツ開発中に見つかったとされるもので、2014年前半頃にはミカドの大会でエアガイツ仮面が既に使っている。今回問題となったのは、この飛び道具がさらに高威力となったもの。しかし、その進化技も世界大会の準決勝でエアガイツ仮面が披露している。そのときはベスト4まで勝ち残った猛者が相手だったこともあり、一方的なワンサイドゲームになることはなく、会場の参加者はもちろん、1000人近いネット中継の視聴者も特にそのバグを話題にすることはなかった。つまり、17年越しのバグ発覚という指摘は間違いといえる。

より洗練されたバグ技 世界大会のときより洗練されたバグ技

 世界大会でベスト4まで進出したりーもーさんは、「今回のことを問題と捉えるプレイヤーは少なく、単に話題になってしまったという認識です」とあくまで冷静。今回のバグ技は世界大会と比べて「高低差があるステージで有効だったものが、同じ高さにいる相手にも安定して当たるようになった」「より練度の高い低空利用ができるようになった」など、パワーアップした要素はあるが、これは熟練プレイヤーのエアガイツ仮面だからこそできるもの。誰もが簡単にマネすることはできない。

世界大会でのバグ技 世界大会のときは、高低差を利用したものだった
世界大会の動画。バグ技は27分30秒頃から

 また、ほとんどのプレイヤーが「ゲームバランスが崩壊するほどの致命的なバグではない」と口をそろえる。エアガイツには「インタラプト」と呼ばれる独特のカウンターシステムがあるが、これは必殺技ゲージがないと利用できない。つまり、このバグは、上級者同士の接近戦での肝となるインタラプトが使えなくなる恐れもあるもろ刃の剣なのだ。実際、悪のエアガイツ仮面ことMOPさんは、この抜け穴に活路を見いだし、バグ技を駆使したエアガイツ仮面に勝利したこともある

 MOPさんは「1つ強力なもの(技やキャラ)が出てきたら、それに対抗するか、さらに上回る強力なものを探し出す。格闘ゲームってそういうものだと思うんですよ」と続ける。というのも、実は当時MOPさんはジャンゴという独特な動きをする動物のキャラで猛威をふるっており、強キャラのジャンゴ対策としてエアガイツ仮面が例のバグ技で対抗し、ジャンゴを攻略したのだ。

 対策されたら、別の対策を立てるだけ。このいたちごっこを繰り返しながら、プレイヤーたちはゲームをより深化させていく。そういった考えは他のプレイヤーも同様だ。世界大会準優勝のエアさんは「バグありきの読み合いをし、対策を目指すだけ。これからもエアガイツを広めて、1人でも面白いと思ってくれる人がいればいいなというスタンスは変わりません」と話す。りーもーさんも「勝ち負けが明確にあるゲームだからこそ、ルールで禁止されていない技で貪欲に勝利を目指したエアガイツ仮面の行為は真剣勝負として間違っていないと思います」と持論を述べた。

 一方で、MOPさんは「ある程度ゲーム性が変化するレベルの影響はあり、このバグが理由でエアガイツから離れる人が出てきても仕方がない」ともコメントしている。今回話を聞いた百戦錬磨の熟練プレイヤーたちなら対策も打てるだろうが、ほとんどのプレイヤーにとっては現状なすすべがないほど強力なバグ技なのも事実。布教者としての滝さんの懸念についても、彼らは十分理解を示している。

 しかし、それでも「17年前から自分が感じるエアガイツの魅力は変わりません。それは、360度縦横無尽に走り回り、飛び道具だけでなくステージの地形や設置物まで利用するという斬新さに加え、ガードや中下段攻撃など一般的な3D格闘ゲームの基礎もきちんと内包するスピード感ある駆け引き。今後ゲームバランスが変化していく可能性はありますが、現時点でこの根幹を揺るがすほどのバグだとは思いません」と、MOPさんは断言する。17年以上たった今もなお新しい楽しみ方を発見されるエアガイツというゲームの底が見えない奥深さもさることながら、プレイヤーたちの探究心と執念にも圧倒される。

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