こんなの待ってた! アメコミの効果音を集めた辞書がマニアックすぎて心くすぐる:司書メイドの同人誌レビューノート
今週はサークル「FANDOMAIN」さんの同人誌「アメリカンコミックス効果音辞典 スーパーヒーロー誕生から70年代まで」をご紹介。
スーパーマン、スパイダーマン、アイアンマン……アメコミのヒーローたちは昨今、紙面から飛び出してスクリーンでも大活躍していますね。私自身、アメコミのヒーローに触れたのは、マンガよりも映画が先だったかもしれません。
初めてマンガとしてアメコミヒーローを見た時は、そのしっかりとした線や色使いにびっくり! それと同時に、背景にがっちりと書き込んであって、視覚的にもどーんと飛び込んでくる“効果音”がとっても印象に残りました。
その効果音が何を表現しているのか……なんとなくしか分からなかった私ですが、今回うってつけの同人誌に巡り会いました!
今回紹介する同人誌
「アメリカンコミックス効果音辞典 スーパーヒーロー誕生から70年代まで」A5 32ページ 表紙・本文モノクロ
著者:井島ワッシュバーン パトリック(通称:patokon)
AからZまでたっぷりのアメコミ効果音!
同誌には、スーパーマンがデビューした「アクション・コミックス#1」から調べ上げたというアメコミ作品の効果音が、AからZまで18ページ分びっちり掲載されています。18ページというと薄いような気がしますが、1ページ当たりおよそ25の単語が掲載されているので、単純計算で18ページで450語!
ページを開くと、まず見出しやアクセントの表記について解説した凡例が示されており、例えば、「BAM」(バム)衝撃音(素早くて鋭い音)Journey Into Mystery#89(1963)のように、収録された語、アクセント、解説、出典(初出典というわけではありません)が一目で分かる仕様。その辞書らしさに辞書好きの血が騒ぎます。読み方が分かったら、あとはもうアメコミ効果音の世界に飛び込むだけ!
効果音からシーンが浮かんでくる
「どんな言葉が載っているんだろう、楽しみだなあ」なんてのんきなことを考えて隣のページを見た私の目に、衝撃のフレーズが飛び込んできました。
- AAA(アアア)痛みでの叫び声(毒を受けて)
- AARRG!!(アアルグ)痛みでの絶叫
な、なな、なんですかこの辞書は! いきなりスプラッターな雰囲気が充満した単語の数々。なんかもう、読んでるだけで体中が痛くなっています。しかし、さすがアメコミ、それだけでは終わりませんでした。
- AAAEEEEEE(アアイイイイ)痛みでの絶叫
- AAIIIEEEEEEE(アイイイイイ)絶叫(心の苦しみのような)
きゃーー! 次々と迫りくる効果音! 文字なのに音が聞こえてきそうで、思わず耳をふさぎそうになります。小さなフォントがABC順で並られているだけなのに読み進めるだけで、緊迫したり、衝撃のシーンが伝わってくるような文字列の力を感じます! ちなみに、次ページのEの項目に至っては「EEEEEEEEEIEEEEEEEEIEEEEEEEEE(イィィィィアイィィィィアイィィィィ)」という長すぎる効果音も。まるでどこかのニンジャ漫画で使われそうな効果音です。実際長い。
英語やアメコミを知らなくても楽しめる
こうして辞書を読んでいても、実は出典に挙げられた作品のヒーローの顔を私は数えられるほどしか知りません。でも、「えっ!? イノシシってこんな鳴き声なの?」と驚いたり「ほほう……ウルフライダーさんという方は、こんな遠吠えで表現するんですか!」と発見があったりして、「このシーンはどういう構図で描かれているのかしら」「この効果音はどんな色で塗られているのかしら」と、効果音の使われているシーンを実際に見てみたくなりました。
英語やアメコミに詳しくなくても、こんなに楽しく読めるなんて! この同人誌をまとめられた作者であるpatokonさんによると「アメコミの効果音は進化している」とのこと。これからも私たちの想像を超える効果音が現れるかもしれませんね。patokonさんのサークル「FANDOMAIN」はコミックマーケット89に参加予定とのことですよ。
サークル情報
サークル名:FANDOMAIN
Webサイト:http://patokon.com/
ブログ:http://blog.patokon.com(英語版)/http://ameblo.jp/fandomain(日本語版)
Twitter:@patokon
Facebook:https://www.facebook.com/patokon?_rdr=p
Instagram:@patokon
Tumblr:http://patokon.tumblr.com/
参加予定イベント:コミックマーケット89 2015年12月30日 東4ホール、モ-28b
今週のシャッツキステ
著者紹介

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