被災地から88歳おばあちゃんがラッパーデビュー 空襲に震災、波乱万丈の人生をリリックに
「サランラップなら知ってっけど……」米寿でまさかのラップ初挑戦。
宮城県仙台市で東日本大震災の復興住宅に住む88歳のおばあちゃんが、新人ラッパーとしてデビューしました。本名は藤沢匠子(たつこ)さん、MC名は「TATSUKO★88」。仙台空襲から現在に至るまでをリリックにつづった1stシングル「俺の人生」をiTunesなど各音楽ストアで配信しています。
藤沢さんは仮設住宅の暮らしを経て去年から仙台の復興住宅で生活。足しげく通っていた集会所でその波乱万丈な人生を何日にもわたって話し、「な、俺の人生、すごいべ。だから本にでもしようかと思って口にしたら、そんなの誰も読みたくないって言われた」と言ったところ、周囲からラップにしようと提案が。「サランラップなら知ってっけど……」と88歳にしてラッパーに挑戦することになりました。
完成した楽曲「俺の人生」は、「青春時代は戦争だった 月謝払って弾丸つくった」と始まるすさまじいものに。駆け落ちしてまで一緒になった旦那が5年で他界したこと、息子が脳血栓で半身不随になったこと、そして震災など、幾度も訪れる困難を淡々とラップしていきます。壮絶なエピソードを1つ語るたびに口ずさむフレーズ「あれ考えればなんでもない どんなことだって乗り越えていける」。藤沢さんの生命力に奮い立たされます。
音楽ストアではオリジナル、Hip-Hopバージョン、80s mixの3曲を配信中。4月下旬にはCDも発売されます。ミュージックビデオの最後、収録を終えて「ここまでやるとは夢にも思わなかった。90にもなって馬鹿みたい(笑)」と頭をかきながら吹き出す藤沢さん。愛嬌にほっこりしつつ、88歳にしてラップへの挑戦を乗り越える姿にまた「何でもできる」というエールをもらいます。
(黒木貴啓)
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