ニュース
» 2016年05月14日 10時34分 公開

オリエント工業×日本美術 ラブドールの新たな魅力に挑んだ「人造乙女美術館」 銀座ヴァニラ画廊で開催中

絵の中の嫁が出てこないと思った?

[戸津弘貴,ねとらぼ]

 5月22日まで東京・銀座のヴァニラ画廊で開催されている「人造乙女美術館」展は、2007年より開催され、今回で5回目。今回は美術評論家の山下裕二氏監修のもと、オリエント工業のラブドールとのコラボレーションという形で、日本美術の作品が立体化されています。入場料は1000円で、18歳未満の入場は不可。



 今回撮影できたのは、池永康晟氏の「如雨露」をもとに生み出されたドールと、オリエント工業の職人の方が、オリジナルで仕上げたスチームパンク風な世界観のインスタレーションの2点。他にも日本画とコラボしたドールが2点と、実際に触ることができるラブドールなどに加え、歴代ラブドールの写真や年表なども展示されています。

 展示室は大きく2つのエリアに分かれていて、歴代ラブドールの写真や、職人によるインスタレーションが展示されているエリアと、日本画などとコラボレーションしたドールが展示されているエリアがあります。


オリエント工業×日本美術「人造乙女美術館」

オリエント工業×日本美術「人造乙女美術館」


不気味の谷を越えたたたずまいに感動!

 展示されているドールたちは、いずれも不自然さがない独特の雰囲気をもっています。最も深い部分で人と関わることを宿命づけられ造り出されてきた彼女たちは、より自然に、時には人間よりも人間らしさを求められ続けてきたとも言えます。その1つの回答として、人間を忠実に再現しているかではなく、妄想を受け止める器になっているかということなのかもしれません。

 池永康晟氏の「如雨露」を元にしたドールはそれが際立っているように思えました。首の関節部にドールとしての人口的な部分を感じるものの、等身大の彼女と対峙すると思わず引き込まれてしまう感覚に襲われます。


オリエント工業×日本美術「人造乙女美術館」

オリエント工業×日本美術「人造乙女美術館」

 彼女は展示室の奥に立っているので、入室すると、今まさに振り返ったかのようなポーズの彼女を見ることになります。まさに絵のままの印象を受けるのですが、予備知識なしで見たらドールとは思わないかもしれませんし、目の前に佇んでいたら、その手をとって、そっと手をつなぐというシチュエーションを想像(妄想)してしまいます。


オリエント工業×日本美術「人造乙女美術館」

 近くで見ると、髪の毛の生え際やほのかにぬれているような瞳などがリアリティを生んでいるように感じました。一般的なドールはウィッグ(カツラ)を使用したりするようですが、彼女の場合は植毛をすることで、リアルな生え際を再現しました。また、指先にまで関節が入っていて、絵のポーズに近づけるよう微細に設定、調整されています。特に、制作過程で池永氏の監修のもと、描かれていない部分の解説や細部の調整などが行われたということで、これにより、つま先や着物の裾を摑む指の表情までもが絵画の通りで、とても萌えます。また、撮影の際の光の加減かもしれませんが、撮影した写真の仕上がりがむしろ絵画のように写ったものがあり、次元の融合を感じました。


オリエント工業×日本美術「人造乙女美術館」

オリエント工業×日本美術「人造乙女美術館」

オリエント工業×日本美術「人造乙女美術館」

 技術的な部分以外でも、ラブドールや絵画には一種の技法があります。人は、目で見るときに余分な情報を処理しないと言われており、脳が処理していない(あえて認識していない)ディテールをあえて描かない(造作しない)事で、不気味の谷を越えるリアルさを得ているのかもしれません。自撮りアプリで自撮りのようなアングルで撮影してみたところ、「コレ俺の彼女」と言って人に見せても疑われないレベルに写りました。いや、お前の彼女がそんなにかわいいわけがない! と言う意味で疑われるかもしれませんが。


オリエント工業×日本美術「人造乙女美術館」

妄想×妄想=恋?

 池永康晟氏の画集「君想ふ百夜の幸福」には、次のような一節が記されています。「これを描き終えたら 私は君を失うのだ。」


オリエント工業×日本美術「人造乙女美術館」

 絵を描いている間は、そのモデルは私のもの、なのか現実には自分のものにはならないから、その思いを絵にこめるのか。いずれにしても完成した絵は、モデルそのものではなく、画家の思い(理想)が込められたオリジナルな存在ともいえます。

 ドールもまた、求める人の思いに応えるべく作られており、実用品としてもバックオーダーを抱えているほどだそうです。

 これら2つの思い(=妄想?)が掛け合わされた事で生まれた彼女には、油断したら恋に落ちてしまいそうな魅力があります。



非日常との融合によるリアリティ

 もう1つの展示室に展示されているインスタレーションは、スチームパンク調の調度品や衣装をまとっており、非現実的な空間を演出しています。そこにいるドールはカスタマイズされていない通常のモデルということですが、人間サイズの服を着て、セットの中に座っているだけで、妙なリアリティがあります。


オリエント工業×日本美術「人造乙女美術館」

 先に触れた池永康晟氏の「如雨露」を元にしたドールは、氏の絵をドールで再現するために技巧を凝らしたのに対して、こちらのドールは造形師のイメージ(妄想)を注ぎ込んで作られたように感じます。着ている服やアクセサリーはそのまま人間が着ても違和感のない凝った作りで、世界観の異質さと相まって、人間がこの衣装を着て座っているより自然に見えます。

 美しいというよりはかわいらしい、娘として愛でたいという感じです。


オリエント工業×日本美術「人造乙女美術館」

オリエント工業×日本美術「人造乙女美術館」

 1/3〜1/6スケールのドールと異なり、実在の服を着せることもできますし、大きさ的にも投影しやすい(現実のものとして受け入れやすい)ので、余計にそのように思うのかもしれません。


オリエント工業×日本美術「人造乙女美術館」

オリエント工業×日本美術「人造乙女美術館」


 今回紹介した2点のドール以外も、日本画から再現したドールには、妙に艶(なまめ)かしかったり、人外(妖怪)なのにリアリティが感じられたりと興味深いものが多くありますし、歴代ラブドールの写真や変遷をみるのも面白いです。ぜひ実際に足を運んで全ての展示を堪能して欲しいと思います。画廊のWebページで使用されている写真は、今回の展示内容とは別物なので注意が必要です。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10

  1. /nl/articles/2208/12/news052.jpg 全員垢抜けたな! 渡辺直美、「ジャンポケ」斉藤&太田との過去比較ショットに「全員華なくて草」
  2. /nl/articles/2208/11/news068.jpg がん闘病の秋野暢子、手足の浮腫みで“見たこともない体重”に 抗がん剤の副作用を「しっかり受け止めます」
  3. /nl/articles/2208/12/news030.jpg 突然繰り出された柴犬の“オケツアタック”がヒット! 2回目も試みる→やっぱりなオチがほほえましい
  4. /nl/articles/2208/11/news063.jpg 高橋真麻、第2子妊娠を生発表 6月に“激痩せ”姿が話題になるも「どうやら体質のようです」「理由が言えなかった」
  5. /nl/articles/2208/12/news114.jpg 高嶋ちさ子、ダウン症の姉“みっちゃん”&暴走しまくり父親とパワフル家族旅行 「いつも仲良し」「愛情いっぱいの家族」
  6. /nl/articles/2208/12/news021.jpg 「ぱっぱぁ〜」と呼ぶ猫ちゃん、パパが来ると…… とってもおしゃべりな猫ちゃんとの会話が楽しそうでかわいい!
  7. /nl/articles/2202/04/news144.jpg こんなの回避できるか! 豪州の高速道路で起きた事故映像が怖すぎる 前方のクルマから落ちたパーツがフロントガラスに激突
  8. /nl/articles/2208/11/news060.jpg 研ナオコ、長女の誕生日に面影感じる“母娘”ショット 「そっくりな娘さん!」「大人になりましたね」
  9. /nl/articles/2208/12/news041.jpg 「何で絵本はすぐ読み終わるのに、1000円以上するの?」と思っていたが…… 同人活動でその理由を悟った体験談に共感続々
  10. /nl/articles/2207/13/news136.jpg 育児の大変さを1枚で表した写真に4万7000件以上の“いいね” 一目見て分かる過酷さに「とても共感しました」の声

先週の総合アクセスTOP10

  1. 競技中とのギャップ! 高梨沙羅、キャミソール私服でみせた大胆“美背中”に反響 「背中ガッポリ」「魅惑の黒トップス」
  2. かわいい妹すぎ! 北川景子、義姉・影木栄貴の結婚で“お姉ちゃん愛”が爆発する 「姉がどこか遠くへ行ってしまう」
  3. 泣いていた赤ちゃんが笑い声に、様子を見に行くと柴犬が…… 優しくあやす姿に「最高の育児パートナー」の声
  4. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  5. 「若い君にはこの絵の作者の考えなんて分からない」→「それ俺の絵」 ギャラリーで知らないおじさんから謎の説教を受けた作者に話を聞いた
  6. 木下優樹菜、元夫・フジモン&娘たちとディズニーシーを満喫 長女の10歳バースデーを祝福
  7. 黒柴の子犬が成長したら…… 頭だけ赤色に変化した驚きのビフォーアフターに「こんなことあるんですね」「レアでかわいい」の声
  8. 子「ごめん、もう仕事できない」→母「はぁい了解っっ」 退職を明るく認めた家族のLINEが優しい
  9. スタバの新作が王蟲っぽくてファンザワつく 「怖すぎる」「キショいから買いたくなった」
  10. カナダ留学中の光浦靖子、おしゃれヘアのソロショットに反響 「お元気そうでなにより」「別人のよう」

先月の総合アクセスTOP10

  1. 安倍元首相、銃で撃たれて意識不明か 事件時のものとみられる映像投稿される
  2. 野口五郎、20歳迎えた娘と誕生日デート 家族同然の西城秀樹さん長女も加わり「楽しい時間でした!」
  3. 「大阪王将」店舗にナメクジやゴキブリが発生? 元従業員の“告発”が衝撃与える 大阪王将「事実関係を調査中」
  4. この画像の中に「さかな」が隠れています 猫に見つからないように必死! 分かるとスッキリする隠し絵クイズに挑戦しよう 【お昼寝編】
  5. ダルビッシュ有&聖子、ドレスアップした夫婦ショットに反響 「ハリウッド俳優やん」「輝いてます」
  6. 「auの信頼度爆上がり」通信障害でも社長の“有能さ”に驚く声多数 一方で「まだ圏外だぞ…」など報告続く
  7. スシロー、“ビール半額”で今度は「ジョッキが小さい」との報告? 運営元「内容量に差異はない」と否定
  8. スシロー「何杯飲んでもビール半額」開始前にPOP掲示 → 注文したら全額請求 投稿者「態度に納得いかなかった」 運営元が謝罪
  9. TKO木下、海外旅行先で総額270万円のスリ被害に エルメスの財布奪われた“瞬間映像”も公開「くっそ〜……」
  10. パパが好きすぎて、畑仕事中も離れない元保護子猫 お外にドキドキしながら背中に乗って応援する姿があいらしい