日本で一番多い苗字は「佐藤」、ではバス停で一番多いのは? 9年掛けて全力で調べた同人誌が努力の結晶:司書メイドの同人誌レビューノート
ネットだと不確かなので、全て現地で確認したそう。
日本で一番多い名字は「佐藤」だと聞いた事があります。では、日本で一番多い“バス停”の名前は?
今回紹介する同人誌は「市役所前バス停プロジェクト ~日本でいちばん多いバス停(たぶん)コレクション集~」。日本で一番多いバス停の名前は「市役所前」ではないかとひらめいた作者さんが、その考えを実証するため、実際に各地の「市役所前バス停」を巡った軌跡をまとめた同人誌です。
今回紹介する同人誌
「市役所前バス停プロジェクト ~日本でいちばん多いバス停(たぶん)コレクション集~」 A5 24ページ 表紙・本文カラー
著者:いいじま
9年間かけて150の「市役所前バス停」を探し出す
「日本でいちばん多い名前のバス停はなんだろう」
ということがふと頭をよぎり、
「たぶん『市役所前』なんじゃないかな」と思い、
じゃあそれを確かめるために明日最寄りの市役所前に行ってみよう、と思った2007年のある日。
そこから長いなが~いリサーチの旅が始まったのでした。
調査開始から9年……。巡りに巡ったバス停の数なんと150カ所。この本の中には、そこからえりすぐられた「市役所前バス停」40カ所が、写真や場所、訪れた年月日、コメントを添えて掲載されています。
掲載されているバス停は、北海道から九州に至るまでさまざまですが、当たり前のように全部「市役所前」。背景に雪が残る帯広市の「市役所前」は、記念すべき最初に訪れたバス停。鹿児島県指宿市の「市役所前」は、遠くにちらりと見えるシュロの木に南国ムードが高まりますねぇ。
同じ名前ですが、それぞれのバス停は、なかなかに個性的です。なぜだかちょっと斜めになった佇まいや、さびた支柱からは、晴天の日も風雨の日もバス停がそこに立ち続けてきた歴史を感じます。
「市役所」も「○○市役所前」もNG。ただひたすらな現地調査!
作者さんが己に課したルールはかなりの厳しさ。ただの「市役所」は「前」がついていないからカウントされません。同じように、「具体的な地名+市役所前」(例「高萩市役所前」)も不可です。求めるのは過不足なしの「市役所前」のみ。うーん、ストイック。
しかし、そんな毅然(きぜん)としたルールにも、意外な伏兵が容赦なく襲い掛かります。それは、各地の表記の緩さ。なんと表は「市役所前」だけど裏には「市役所」と書かれたバス停まで登場。「えー!? それで大丈夫なんですか?」と思うのですが、本を読むとこういった表記のちょっとした差異はわりとあるみたいで……。バス停ののんびりムードに驚きます。
なお、「市役所前」巡りの方法は、
1.とにかくいろんな市を実際に訪れてみる
2.その市役所の周辺でバス停を現地チェック
というやり方で進めてらっしゃるようです。本を拝見した当初は、「現地に行かなくてもインターネットなどで調査できるのでは?」と思ったのですが、「ネットで公表されている名称と実際の名前が違うなんてよくあること」と、作者さんがさらりと書き添えており、読んでいるうちにじわじわと身に染みてきます。なるほど、これは現地に行かねば分かりませんね!
こつこつと続ける歩みに、「好きだから続ける」楽しさがにじむ
ひらめいたことを確かめるためには、情報だけをうのみにせず、自分の力で調査を行う……と、研究の見本のような本ですが、作者さんの試行錯誤しながらバス停チェックを進める様子がなんとも楽しいのです。電車、自転車、タクシー、友人とドライブしながらと、バス停探しなのに、バス以外のあらゆる手段も駆使してこの一大プロジェクトに取り組んでらっしゃいます。友人の披露宴に呼ばれたのを幸いに、めったに行かない遠方の地に前日入りして、レンタカーで近隣の市を回ること30都市。……でもバス停が「市役所前」だったのはたった3カ所だったなど、コメントの中にその折々の事情が濃縮されています。
作者さんは、同人誌即売会に参加するのは初めてだったそうですが、個人で旅の思い出をレポートする冊子を作ったり、なにかと書くことを続けてこられたようです。その経験がこの本にも生きて、写真に添えられたたった4行の文章からは「市役所前」探しの悲喜こもごもがダイレクトに伝わり、読者のちょっとした疑問には各ページのミニコラムが答えてくれる親切設計で、分かりやすいです。
そしてなにより、「好きだから作ってみた」がにじみ出ているんです。ライフワークともいうべき年月をかけて各地を回られていて、もはや「好きすぎて淡々とやってきた」という達観した雰囲気すら漂います。こういった、長い時をかけて接してきたものをまとめるタイプの本は、そうそう新刊が出せる同人誌ではないと思うのですが、これからもマイペースにマイルールを大切に続けていっていただいて、いつかまたすてきな本に巡り合えるとうれしいなぁ……と思いました。
今週のシャッツキステ
著者紹介
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