「バハムート」「イフリート」「アルデバラン」 ホウレンソウの品種名が強そうと話題に なぜこんな名前に?

野菜の土の匂いが皆無なホウレンソウたち。名付けている住化農業資材に理由を聞いてみた。

» 2016年09月13日 18時30分 公開
[黒木 貴啓ねとらぼ]

 ジャガイモなら「メークイン」「男爵」、トマトなら「桃太郎」「りんか409」など、品種ごとにさまざまな名前が付けられている野菜たち。そのなかでも住化農業資材が開発しているホウレンソウの品種名が飛び抜けて“強そう”だと、先日Twitterで注目を集めた。

ホウレンソウ 住化農業資材のホウレンソウたち。バハムートにチェックメイト、だとぉ!?(住化農業資材公式サイトより

 品種名を並べると、「バハムート」「イフリート」「ルーク」「ビショップ」「チェックメイト」「ペルセウス」「アルデバラン」……神話の魔獣やチェス用語、星座の名前。ゲームやマンガに出てくる召喚獣や敵の幹部みたいで、確かにめちゃくちゃ強そうだ。8月末にあるTwitterユーザーが「ホウレンソウの品種名は皆やたら強そうなのだが、その中でも住友化学は飛び抜けて強い」と指摘したところ、1万5000回以上リツイートされるなど大きく共感を呼んだ。

 野菜の名前ってこんなに自由に付けていいものなの? 住化農業資材に聞いてみたところ、「特に品種の名前について、法律や業界ルールは存在しません。住化農業資材では、品種を開発した担当者がそれぞれのセンスで名付けるようになっています」。

 名前の理由はいずれも、病害への抵抗力や暑さへの耐性など、栽培する上での品種の強さを連想できるものにしているそう。例えば「バハムート」は病害への抵抗性が高い上に茎が折れにくいため、神話の怪獣・バハムートから命名した。「イフリート」も耐暑性が抜群という特長から、炎の魔獣として知られるイフリートに結びついている。確かに、暑さに耐えるどころか炎属性はすべて吸収しそうなイメージ。

ホウレンソウホウレンソウ 「バハムート」に「イフリート」。病害も暑さも跳ね飛ばしそうだ

 にしても、ホウレンソウだけ妙にゲームやマンガっぽい。ほかの住化農業資材の野菜でいうと、にんじんなら「紅ひなた」「愛紅」と和風だし、レタスなら「アスレ」「デローサ」「モデナ」と統一性があまり見られない。業界のなかで知らずの内に「ホウレンソウはかっこよく!」みたいな野菜ごとの暗黙のルールがあったりするのだろうか。

 住化農業資材によると「野菜ごとに名前の方向性が違うのは、最初に付けられていた品種名を参考に、似たような名前を後の開発担当者が名付けている可能性が高いです」とのこと。ホウレンソウでは初期の段階では「ルーカス」という品種を開発していたが、それから開発者の趣味趣向が働き、「バハムート」や「ルーク」のような方向性になったのではないかと推測していた。

ホウレンソウホウレンソウ 病害への強さをイメージした「スタウト」は「stout(丈夫な、頑丈な)」から、厳寒期の栽培に適した「ノルディック」は「nordic(北欧の)」から命名するなど、シンプルな名前もちゃんとある

ホウレンソウホウレンソウ 似たような名前は同時期に開発されたもの

 また同時期に品種を複数開発したとき、その当時の開発担当者がまとめて同じような名前を付けることが多いのだそう。「バハムート」「イフリート」、「ルーク」「ビショップ」「チェックメイト」はそれぞれの同じ時期に開発。ホウレンソウは今まで神話や星などロマンチックな名前で来ているから、今度の3種は全部チェスから名付けよう! みたいな発想で、「強そうなホウレンソウ」グループが形成されていったようだ。

 企業ごとにルールは違うだろうが、命名の自由度がかなり高い野菜の品種名の世界。ユニークな名前を見つけるたび、名付け親の意図に思いを張り巡らせると楽しそう。とりあえず先ほどのホウレンソウを使って「バハムートのおひたし」とか「イフリートのごまあえ」を作ってみたい。

黒木貴啓


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2501/28/news195.jpg 岡田紗佳、一連の騒動を生中継で謝罪 頭を深く下げ「申し訳ございませんでした」
  2. /nl/articles/2501/28/news155.jpg がん闘病の森永卓郎、容態急変後にモルヒネ投与で“結構厳しい状況” スタジオ出られず弱々しい声で「そう長く持たないかもしれない」「本格的に転移が始まったよう」
  3. /nl/articles/2501/29/news045.jpg 新潟のお葬式で香典返しにもらった“謎の白い物体” パッケージにも情報なし「これなんだかわかりますか?」
  4. /nl/articles/2501/26/news053.jpg 「立体的に円柱を描きなさい」→中1の“斜め上の解答”に反響「この発想は天才」「先生の優しさも感じます」 投稿者に話を聞いた
  5. /nl/articles/2501/29/news086.jpg 鮮魚店で売れ残ったタコを水槽に入れたら、数週間後まさかの展開が…… 胸を打つ光景に「目が腫れるくらい泣いてます」
  6. /nl/articles/2501/28/news034.jpg 大人なら5秒で解きたい!「9+0÷2−3」の答えは?【算数クイズ】
  7. /nl/articles/2501/29/news058.jpg 「うちの祖父(81)わけてほしいわこのセンス……」 衝撃的な私服コーデに驚きの声「本物のイケジイ」「目標にします!!」
  8. /nl/articles/2501/29/news023.jpg 買ったばかりの家の風呂場に”ありえない欠陥” 信じられない状況に「そんなことある?」「取り付けた業者……」
  9. /nl/articles/2501/27/news073.jpg 「昔はモテた」と自慢げな父→娘は“絶対ウソやん”と思っていたけど…… 当時の姿に「ハハハ冗談だろ?」【海外】
  10. /nl/articles/2501/29/news122.jpg 正方形のスカーフ1枚→切ってゴムを縫い付けるだけで…… 魅力的な完成品に「デザインがきれい」「簡単に作れました」【海外】
先週の総合アクセスTOP10
  1. 風呂に入ろうとしたら…… 子どもから“超高難易度ミッション”が課されていた父に笑いと同情 「父さんはどのようにしてこのお風呂に入るのか」
  2. DIYで室温が約10℃変わった「トイレの寒さ対策」が310万再生 コスパ最強のアイデアへ「天才!」「これすごくいい」
  3. 岡田紗佳、生配信での発言を謝罪 「とても不快」「暴言だと思う」「残念すぎ」と物議
  4. スーパーで買った半玉キャベツの芯を植え、5カ月育てたら…… 農家も驚く想像以上の結末が1300万再生「凄い」「感動した」
  5. 東京藝大卒業生が油性マジックでサンタを描いたら? 10分で完成したとんでもない力作に「脱帽です」「本当にすごい人」
  6. 定年退職の日、妻に感謝のライン → 返ってきた“言葉”が約200万表示 大反響から7カ月たった“現在の生活”を聞いた
  7. 【ヤフオク】“3万円”で購入した100枚の着物帯 →現役着付師が開封すると…… “まさかの中身”に驚き
  8. 「立体的に円柱を描きなさい」→中1の“斜め上の解答”に反響「この発想は天才」「先生の優しさも感じます」 投稿者に話を聞いた
  9. 「すんごい笑った」 “干支を覚えにくい原因”を視覚化したイラストが勢いありすぎで1700万表示の人気 「確かにリズム全然違う!」
  10. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  3. 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
  4. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  7. 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
  8. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  9. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  10. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」