「とびだせ どうぶつの森」で海外の人と交流する滋賀大の講義が楽しそう 教授に開講意図を聞いた

ソフトの利点をうまく使った計画性の高い講義になっているもよう。

» 2016年10月20日 21時56分 公開
[黒木 貴啓ねとらぼ]

 滋賀大学にある「時事外国語」の授業がネット上で「めちゃくちゃ楽しそう」「滋賀大編入します」と関心を集めています。内容はというと、ニンテンドー3DSの「とびだせ どうぶつの森」を通じて海外の人と交流しよう、というもの。これはよく学び、よく遊べるやつだ……!

とびだせ どうぶつの森 話題の授業のシラバス。何この内容、楽しそう!(滋賀大学公式サイトより)

 「とびだせ どうぶつの森」は自分の村を作るシミュレーションゲームですが、オンラインにつなぐと「南の島」に行くことができ(通称「オン島」)、そこでは他のユーザーと交流することができます。今回話題になっている講義「時事外国語」では、クラス20人が1人1台ずつ3DSを所持し、「オン島」で毎日会話するような他国の友人を作ります。仲良くなったあとは「日本のゲームはどういうものが好まれているか」など、授業中に決めたテーマに沿って海外の友人に国の事情を尋ねていくという内容です。

とびだせ どうぶつの森 ニンテンドー3DSソフト「とびだせ どうぶつの森」

 この秋学期に経済学部で初めて開講され、すでに講義は第1回目を終えています。担当教員の永田えり子教授によると、受講生20人に対し申し込みは30人以上。締め切り後も「今からでも受けられないですか」と問い合わせがあったなど、大学講義にしては珍しく申し込みが多かったそうです。受講生のうち10人は3DSを持っていなかったため、研究費用から10台買って渡したとのこと。ソフトは全員が自腹で用意しますが、それにしても太っ腹!

 しかしネットで交流できるゲームソフトはいろいろあるなか、なぜ「とびだせ どうぶつの森」を教材に選んだのでしょうか。

 「グローバル化が進む昨今、LINE、Skypeなど、外国人ともネットで日常的に交流することがメインになると考えています。その際のハードルは国の言語だけでなく、『lol』など世界共通のオンライン上の独特な言語もある。そういったものも含め、学生にもっと言葉の苦労なしに外国人と交流してもらいたいのです」(永田先生)。

 その交流を育む場として「とびだせ どうぶつの森」は“極めてよくできている”のだそう。

 「こうした交流を育むにはSkypeでただ『天気が良いですね』みたいな日常会話するだけではだめで、共通の話題や目的といった“タネ”が必要なんです。『ぶつ森』ではヨーロッパ版とかアメリカ版とか、その国のバージョンでしか手に入らない特別なアイテムがあります。日本版だと鏡餅、とか。アイテムのコンプリートを目指すにはよそのバージョンの人と交流しなくてはいけないので、互いにコミュニケーションを取ろうとする“タネ”がすでにまかれているのです」(永田先生)。

 「オン島」ではこうした理由から能動的に交流をとってくれる人もいるほか、仲を深めるミニゲームもあります。外国人たちと手軽に出会えて日常的に交流できる要素が、このソフトには詰まっている――なんかすごく教養の高いゲームに思えてきた!

とびだせ どうぶつの森 「とびだせ どうぶつの森」のシーン

 それとは別に、永田先生も相当「とびだせ どうぶつの森」がお好きなのでは? 尋ねたところ「一時期めちゃくちゃハマりました」と声を弾ませます。そもそもゲームと社会の関わりを日頃から研究しているそうで、過去には「ドラゴンクエスト3」を題材にドラクエがなぜ社会でブームとなったのか論文を発表しました。「どうぶつの森」もプレイに夢中になりながら「これは講義にいい」と教材価値を見出したといいます。

 講義はまだ始まったばかり。次の授業ではクラス内みんなでフレンドになり、お互いの「外フレ」(外国人ユーザー)を紹介し合う予定。永田先生も「たくさんの外フレと知り合って、たくさん日常会話をしまくってほしいですね」と意気込みを見せています。

黒木貴啓


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/19/news150.jpg 「情報を漏らされ振り回され……」とモデラー“限界声明” Vtuberのモデル使用権を剥奪 「もう支えられない」「全サポート終了」
  2. /nl/articles/2411/20/news028.jpg 「うどん屋としてあるまじきミス」→臨時休業 まさかの“残念すぎる理由”に19万いいね 「今日だけパン屋さんになりませんか」
  3. /nl/articles/2411/20/news224.jpg “ドームでライブ中”に「76万円の指輪紛失」→2日後まさかの展開に “持ち主”三代目JSBメンバー「誰なのか探しています」
  4. /nl/articles/2411/19/news169.jpg 高畑充希と結婚の岡田将生、インスタ投稿めぐり“思わぬ議論”に 「わたしも思ってた」「普通に考えて……」
  5. /nl/articles/2411/20/news031.jpg 「本当に同じ人!?」 幼少期からイボをいじられていた男性→美容師の“お任せカット”が衝撃 「めちゃくちゃ大変身」
  6. /nl/articles/2411/19/news022.jpg 「おててだったのかぁああああ」「同じ解釈の人いた笑笑」 ピカチュウの顔が“こう見えた”再現イラストに共感続々、464万表示
  7. /nl/articles/2411/20/news042.jpg 「腹筋崩壊」 ハスキーをシャンプー&パックしたら…… “予想外のハプニング”に「こ〜れは大変だわ」「沼にでも落ちたのかとwww」
  8. /nl/articles/2411/20/news216.jpg “歌姫”ののちゃん、6歳現在の姿に驚きの声「あれっ!?」「ビックリしてます!」 2歳で「童謡こどもの歌コンクール」銀賞受賞
  9. /nl/articles/2411/20/news041.jpg 黄ばみのある68年前のウエディングドレスを修復すると…… 生まれ変わった姿に「泣いた」「受け継ぐ価値のあるドレス」
  10. /nl/articles/2411/18/news107.jpg 走行中の車から同じ速さで後方へ飛び降りると? 体を張った実験に反響「問題文が現実世界で実行」【海外】
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた