海氷がみるみるうちに減っていく 北極海30年のタイムラプス動画をNASAが公開
海氷の砦となる古い氷も、30年前に比べ18分の1にまで減少。
過去30年の北極の海氷面積の移り変わりを、NASAがタイムラプス動画のようなアニメーションにして公開しました。白い面積がみるみるうちに小さくなっていく様子に、地球温暖化の深刻さを思い知らされます。
アニメは、1年でもっとも海氷が小さくなってしまう9月の北極海の図を、1984年から2016年まで年ごとに映し出していきます。白い部分は生まれてから5年以上経っている古い氷、暗い青色の部分は5年未満の新しい氷。この古い氷は融解季節をいくつも生き残った、風や波を受けても壊れにくい海氷の“砦”のような存在で、温かい9月にこれがどれほど溶け残っているかが重要になってきます。
再生すると、北極海にまんべんなく広がっていた白い部分は、成長と縮小、流動を繰り返しながら徐々に減少。特に2005年以降は顕著で、まるでコーヒーに入れたミルクがすぐさま溶け込んでいくようなスピードに恐怖を覚えます。1984年に186万平方キロメートルあった古い氷は、今年は11万平方キロメートルにまで減っているそうです。
NASAによるとここ30年で爆発的な減少時期が2回あったらしく、1つ目は1989年から2、3年ほど、2つ目は2000年中ごろから現在まで。80年代は今ほど深刻ではありませんでしたが、今は夏の間溶けることがなかった古い氷までも溶けるようになっています。
理由の1つとして、NASAゴダード宇宙飛行センターの海氷研究者ウォルト・マイヤーさんは、「かつては1つにしっかりと連結していた古い氷が、今は若い氷とともに小さい塊として散在してしまっているので、壊れたり溶けやすくなったりしている」と話しています。
(黒木貴啓)
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