曲を流して「J-POPの頻出単語」で取り合うかるた「狩歌」 ゲーム性も高いし歌詞の魅力が再発見できる
かるたに歌を融合させたカードゲーム「狩歌(かるうた)」。酒盛りしながらやってみたら楽しすぎたのでその魅力をご紹介。
このお正月、家族や友人と「かるた」に興じた人もいるだろう。昨年、「J-POPによく出てくる単語」を取り合うユニークなかるたが発売された。
その名も「狩歌(かるうた)」。好きなJ-POPソングを流して、「私」「君」「時」「声」「いつも」など、札に書かれた単語が歌詞に登場した瞬間に取るという、かるたに歌を融合させたカードゲームだ。ねとらぼでも以前発売時に紹介した(関連記事)。
アラサー8人で酒盛りしながら遊んでみたら思いのほか戦略性が高く、人気アーティストの作詞や発音の良さも再発見できるなど、どっぷりハマってしまった。様子を振り返りながらその魅力を紹介しよう。
遊び方
カードは計100枚。「僕」「あなた」「好き」「人」「今日」「涙」「すぐ」「永遠」「運命」「ありがとう」などなど1枚ずつJ-POPの頻出単語が書かれている。ここから50枚を場に並べて適当に曲を流し、出てきた単語の札へ先に手をつくと自分のものにできる。ゆずの「夏色」だと、「今日」「何」「街」「君」「ひとり」と、Aメロからなかなか忙しい。
カードにはそれぞれ1〜5点の間で点数が書かれている。「君」「あなた」は1点、「永遠」は4点、「運命」は5点……と、よく使われている単語ほど低い点、あまり使われてない単語ほど高い点に設定。ゲームが終わったときに、取った札の合計得点がもっとも高い人が勝ち。
スタンダードルールでは、プレイヤーが親から順番に1曲ずつ好きな曲をかけ、曲が終わるごとに取った札を場に戻して再ゲーム。3曲終わったときの合計得点を競う。ぼくらは8人のなかから交代しながら3〜4人で1曲勝負に挑み、曲はプレイヤー以外の人にかけてもらった。
日本語詞の曲がなんでもゲームになる
どの曲を選ぶかでゲームの趣向がまったく違う。
例えば頻出単語の多い曲だと激しい点取合戦。GLAY「HOWEVER」をかけてみたら「今」「ふたり」「出会い」「人」「街」「夢」「時」「あなた」「愛」「永遠」「言葉」「幸せ」「胸」「涙」……もう1番だけで札ワードの嵐。甘いミディアムバラードに反して机を叩く音が連発するハイスコアゲームとなった。
一方で頻出単語がたった3、4回ほどしか出てこない曲は、数少ない単語に耳をすませるピリピリしたゲームに。ASIAN KUNG-FU GENERATION「リライト」のときは3回しか登場せず、みんなでじっと札を見つめる時間が続く。しびれを切らして「ゴッチ(※作詞したボーカル後藤正文)まだなの!? まだなの!?」と叫ぶシュールな勝負となった。さすがは文学ロックの火付け役、歌詞にクリシェ(常套句)が少ない。
このように作詞家がストレートに「好き」というのか「月が綺麗ですね」というのか、感情を叙情的に書くのか叙事的に書くのか、タイプによって異なる楽しみがある。
また曲を知らない人ほど圧倒的に不利というわけではなく、ゲームをひっくり返せるような戦略性も高い。
例えばMr.Children「終わりなき旅」が流れたとき、編集部のたろちんは「これオレ中学のとき腐るほど聞いたわ、もう歌詞全部歌えるわ」と、札をほとんど取っちゃると言わんばかりにばかりに構えていた。しかしAメロで「息」「未来」「願い」「声」「愛」「自分」とどんどん出てくるが、ほかの人に取られる。「ああああ『未来』探していたのに」「そう、『自分』探していたんだよ、わかっていたんだよ!」「んはぁ!」「ああんもうやだ!」と取られるたびに奇声をあげるたろちん。
そう、読まれる言葉がわかっていても札が見つけられなくては意味がない。曲が流れる前に札の「配置」をある程度覚えておくと、歌詞を多少知らなくてもゲームを有利に進められるようになっている。
逆にみんながサビを知っているような曲でもさまざまな戦い方ができる。サビの出だしで「恋心」と熱唱する相川七瀬「恋心」では、一発目の「恋」の札にみんなの手が殺到するとわかっていたので、あえて「心」に狙いを定めてみた。「恋」で一斉に取り合いが行われるそばを、するっと「心」に手を伸ばしてゲット。曲調は激しくて切ないけど、心はすがすがしい。
このほか、「愛」「時」など1点の札は3枚集めると追加10点がもらえたり、取った札の単語がもう一度出てきたときは同じ点を加算できたり(ただし1回まで)と、逆転を狙えるボーナスも設けられている。
使い古しの単語がいっぱい出てくるかあまり出ないか、曲そのものが知られているか知られていないか……曲に応じて戦い方も変化。どんな曲でもほかの曲とは違うオリジナリティあふれるゲームになってしまうのが、この狩歌の醍醐味だ。
J-POPを「歌詞の構造」で再評価してしまう
何度もやっていると、「このアーティスト、意外とクリシェ使っている」「これ名曲なのに歌詞ほとんどクリシェだな!」と、歌詞への分析にも熱が入ってくる。
さっきの「終わりなき旅」はゲーム中に1、2を争うほど頻出単語が登場した曲だったが、ありきたりな歌詞という印象は受けない。「カンナみたいに命を削ってさ」「生きるためのレシピなんてない」など、独自性が強くて心に響く詞も繰り返し登場するからだろう。
あまり聴いたことがなかった西野カナ「トリセツ」は、「私」「ありがとう」「ずっと」「答え」「いつも」「少し」「ふたり」「大切」とこれまた激しい札の取り合いになったのだけど、乙女心を取扱説明書になぞらえたオリジナリティがすさまじい。声や発音も良くて非常に歌詞も聴き取りやすく、大ヒットしたのにも強くうなずいてしまった。
狩歌で遊んでいると、曲にどれほど頻出単語が使われているか必然的に考えるようになる。そこからいかにオリジナリティや共感を生み出す作詞がなされているのか、曲の新たな魅力に気付かされていくのだ。
ゲーム性も高いほか、J-POPの再評価にもつながる「狩歌」。正月だけでなくオールタイムで楽しめるかるたなので、飲み会のときにでもぜひ。今度は「木綿のハンカチーフ」や「硝子の少年」など、松本隆が作詞した曲しばりでやってみようかなぁ。
発売元・デザインはXaquinel(@xaquinel)。価格は1セット1944円(税込)、Amazon.co.jpや楽天市場、各アナログゲームショップで販売中(取扱店舗)。
(黒木貴啓)
関連記事
- 西野カナ「トリセツ」の歌詞を法的解釈する猛者あらわる 「永久保証の私だから」←「保証契約を締結しなくてはならない」
乙女心を取り扱い説明書になぞらえて歌った「トリセツ」に、マジメな法的ツッコミを連発。 - BUMP OF CHICKENの曲から「オーイエアハーン」を取ると何が残る?→実際に調べてみた結果がすごい
これってトリビアになりませんか? - マイケル・ジャクソンはどれくらい「ポー」してる?→実際に調べてみた結果がやっぱりすごい
またお前か! - 小池一夫(80)せンせい、「マジンガーZ」「科学戦隊ダイナマン」などの作詞家・東文彦は自分の別名だったと明かす
これらの楽曲を聞いて育った人たちも多いはず。 - 音楽を聴きながら「J-POPでよく出る単語」を取り合うかるた「狩歌(かるうた)」発売 ありがちな歌詞が新しいゲームに変貌する!
歌詞が凡庸であればあるほど激しいバトルが展開される。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
-
生後5日の赤ちゃん、7歳のお姉ちゃんから初めてミルクをもらうと…… 姉も驚きの反応がかわいい
-
9カ月の赤ちゃん、バスで外国人の女の子赤ちゃんと隣り合い…… 人生初のガールズトークに「これは通じあってますね!」「ベビ同士の会話、とろけます」
-
【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
-
「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」 こだわり満載のクラシカルな一着に「すごすぎて意味わからない」「涙が出ました」
-
大谷翔平選手、ハワイに約26億円の別荘を購入 真美子夫人とデコピンとで過ごすかもしれないオフシーズンの拠点に「もうすぐ我が家となる場所」
-
「ケンタッキー」新アプリに不満殺到 「酷すぎる」「改悪」の声…… 運営元「大変ご迷惑をおかけした」と謝罪
-
「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
-
「ハーゲンダッツ硬すぎ!」と力を入れたら……! “目を疑う事態”になった1枚がパワー過ぎて約8万いいね
-
「そうはならんやろ」をそのまま再現!? 「ガンダムSEED FREEDOM」のズゴックを完全再現したガンプラがすごすぎる
- 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
- 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
- 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
- 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
- “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
- 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
- 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
- お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
- 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
- 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
- フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
- 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
- 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
- フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
- スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
- 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
- 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
- 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
- がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
- 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」