「人として終わってる」――“情報弱者”を狙う「悪質ポイントサイト」ビジネス 手口や集客方法を関係者に聞いた(1/4 ページ)
悪質ポイントサイトだけでなく、広告代理店やまとめサイトも共犯、との指摘も。
「manekin」や「キラキラ☆ウォーカー」といった、ポイントサイトの偽キャンペーンが相次いで問題になってからおよそ1カ月半(関連記事)。一時は新規登録受付を停止していたこれらのサービスですが、「キラキラ☆ウォーカー」は既にサービスを再開、manekinについても、関係者によれば近々復活を予定しているとされています。
今回のケースでは、牛角や吉野家といった企業の名前やロゴを無断で使用し、「吉野家牛丼15000円分食べ放題キャンペーン」といった“偽のキャンペーン”をうたっていた点が大きな問題とされていました。しかし、あるアフィリエイト広告関係者は次のように指摘します。
アフィリエイト広告関係者:
「彼らにはサイトを閉じる気もないし、今回も「1回言われただけならワンアウト」程度にしか感じていないと思います。偽キャンペーンはあくまで問題の1側面にすぎず、彼らのビジネスの仕組みそのものが規制されないかぎり、今後もサービスは続けるでしょう」
――なぜ悪質ポイントサイトは儲かるのか、彼らはどうやってユーザーを集め、利益をあげているのか。「ガチャ無料引き放題の裏技見つけたwww」などの2ちゃんねるまとめ風広告は誰が作っているのか。悪質ポイントサイトの仕組みと実態について、関係者や実際に被害にあった人、出稿していた企業などに取材しました。
大手3グループが悪質サイトの9割以上を運営
「ポイントサイト」とは、指定のアンケートに答えたり、広告をクリックしたりといった依頼をこなすことでポイントが得られ、一定量たまると電子マネーやプリペイドカードなどと交換できるサービスのこと。サイト側は“依頼”として企業からの広告を掲載し、ユーザーはその広告費の一部をポイントとして受け取る――というのがポイントサイトの基本的な仕組みです。こうしたサービスは2000年代中ごろには既に存在しており、これ自体は何ら怪しいものではありません。
実際、ポイントサイトの中で悪質なのはごく一部で、きちんと運営されている「安全なポイントサイト」も数多くあります。あるアフィリエイト広告関係者によれば、悪質ポイントサイトの9割は、「manekin」のメディアラスタライズ、「キラキラ☆ウォーカー」のヴィヴィット、そして「ポイントGO」「ポイントモール」などを運営するアドラインプラスの3系列が占めているとのこと(“系列”と書いたのは、1社で複数のサイトを運営していたり、別会社を作って別名義で運営しているケースもあったりするため)。
ちなみに、これらのポイントサイトはいずれも「PMC」と呼ばれる共通システムを使っており、サイトは無数にあっても、名前やデザインが違うだけで内容はどれもほとんど同じです。この「PMC」を開発・提供しているVERVEも「悪質ポイントサイト側」の企業の1つだといいます。
アフィリエイト広告関係者:
「彼らを排除してこなかった業界側にも責任はあると思っています。彼らの存在が大きくなりすぎて、『悪質サイトがある』という状態が当たり前になってしまっていた。悪質サイトへの広告出稿をせき止めるなど、もっと内側から協力して排除に動くべきでした」
こうした悪質サイトの多くは運営元を明らかにしておらず、また頻繁に名前を変えたり、新しいサイトを立ち上げたりするため、パッと見ただけでは安全なサイトと見分けがつかないようになっています。例えば「manekin」のメディアラスタライズは「ポイントリッチ」というサイトも運営していましたが、騒動後は「ペタリッチ」という名前に変更しており、また運営元がメディアラスタライズであることも記載していません。
しかし、関係者によれば、悪質かどうか「一発で見分ける方法がある」と言います。
アフィリエイト広告関係者:
「そのサイトが悪質かどうかは『最低換金可能ポイント』を見れば分かります。1000円以下ならちゃんとしたサイトで、それ以上は危ない。そこだけ分かっていれば大丈夫です。悪質サイトのほとんどは1万5000円に設定していて、2000円や3000円といった“中間”は見たことがないですね。1000円以下か、1万5000円かで悪質かどうかは100パーセント見分けられます(※)」
実はこの「1万5000ポイントから換金可能」という部分が、悪質サイトの仕組みを支える重要なカラクリとなっています。次の項目では、悪質サイトがどのようにユーザーを集め、どのようにして利益をあげているかを説明します。
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