「スマホ育児」ってほんとにいけないこと? お母さんたちの本音を聞いてみた
お母さんたちのリアルな声と専門家の見解を聞いてきました。
スマートフォンが広く普及した近年、小さな子どもにスマホを使わせる「スマホ育児」にさまざまな意見が出ています。
例えば夕食の支度などでお母さんの手が離せないときや、電車の中などで子どもがぐずって泣き止まないときに、スマホで動画を見せておとなしくしていてもらう。こんな風に子守りの手助けとしてスマホを利用するのが「スマホ育児」です。
忙しいお母さんにとっては子育ての大きな助けになっている一方で、「スマホに子守りを任せるのは怠慢ではないか」「子どもに悪影響を与えるのでは」といった批判的な声も聞こえます。最近はネットやテレビ番組でも特集され、そのたびに議論を呼んでいます。
スマートフォン「arrows」シリーズを販売する富士通やそのPR記事を作ってきたわれわれ編集部にとっても、これは見過ごせない問題。そこで今回は実際に育児の場でスマホを使っているというお母さんに集まってもらい、リアルな声を聞いてみました。
ママ友の会に参加してみた
集まってもらったのは5組の母子。皆さん2歳ごろのお子さんを連れての「ママ友ランチ」の会にお邪魔しました。
圧倒的に多いのは「YouTubeを見せる」
―― 2歳くらいの子ってどんな風にスマホを使うんですか?
- 「やっぱりYouTubeが多いです。アニメの動画を見せたり子どもの好きな音楽を聞かせたりするときに使っています」
- 「うちの子は少し前まで『キッズYouTuber』の動画を夢中で見ていました。最近は興味が変わったみたいで、プラレールの動画をよく見てます」
- 「関連動画から子どもが新しい動画を見つけることもありますね。今っておじさんが人形を動かしながら喋ってくれる子ども向けの動画もあるんですよ。今はそれがお気に入りみたいです」
やはり多いのは「動画を見せる」という使い方。特にYouTubeは子ども向けの動画も多く、子どもによって見ているものはさまざまでした。
その他の使い方としては「写真を見せる」「(アニメなどの)HPを見せる」といったものもありました。自分が写っている写真を興味深そうにじっと見ているときもあるのだとか。また、アニメ「カーズ」のキャラクターの名前を聞かれたお母さんがスマホで調べているのを見て、「自分も見たい!」と興味を示したというケースもありました。
どんな場面で使う?
―― どんなときにスマホを使うことが多いですか?
- 「朝など忙しいときの着替えの時間に使ってます。スマホを見ている間はおとなしくしてくれるのでその間に着替えさせちゃう」
- 「静かにしていないといけないお店や電車の中でぐずったときは使いますね。絵本やおもちゃも持ち歩くようにしているんですが、どうしてもかさばるのでスマホに頼ってしまうことがあります」
- 「車のチャイルドシートに座らせているときは、直接面倒が見られないので使います。スマホを固定できるホルダーを使ってます」
利用法はどのお母さんも「手が離せないとき、やむを得ないときに短時間」という感じ。飛行機など電波が入らない場所で使うためにスマホに動画を保存しているというお母さんもいました。
テレビとスマホ、子どもはどっちが好き?
―― 僕が子どものころはテレビで夕方のアニメを見ている間にお母さんが夕飯を作ってくれる、というのが毎日の流れだったんですが、今の子どもたちはテレビは見ないんですか?
- 「教育テレビなども見ますけど、好きな番組が終わると『YouTubeのあれが見たい』と言ってきたりしますね」
- 「うちも今はスマホのほうに食いついてますね。朝起きるとすぐ『YouTube!』『iPad!』っておねだりが始まって……」
- 「うちはなるべくスマホを使わせないようにしてるのでテレビ派ですね。でも放送されているものを見るというより、好きなDVDがあるのを分かっていてそれを流してほしいって感じです」
例えばテレビで「ピタゴラスイッチ」を見て、YouTubeでそれによく似た動画を見る、といったこともあるそうです。子どもの好きなものは今も昔も変わりませんが、スマホの登場でさらに便利な時代になったんですね……。
実はスマホはそれほど万能ではない?
―― ここまで聞くとかなりスマホが子育てに活躍している印象なんですが、スマホ1つあれば子守りは全部できちゃう感じですか?
- 「全然! 子どもは飽きっぽいのでスマホを見ていても途中で飽きてまたぐずりだすことも多いです。だからおもちゃや絵本など違うものをたくさん持ち歩かないといけないんですよ」
- 「うちの子だと、一番強いのは子どもが好きなお菓子やジュースを渡すこと。隠しておいてここぞ、というときに出すのが大事なんです。スマホは生活の中で親もよく使っているのを見ているので、必殺技にはならないんですよ」
- 「いろんな知育アプリなんかも出てますが、うちの子は全然興味を持ってくれませんでした。スマホでなんでもできるというより、あくまでおもちゃの1つという感じ」
どのお母さんも口にしていたのが「世間で言われているほどスマホは万能じゃない」という意見。実際今回の取材でもお母さんたちはみんな大きなバッグでたくさんのおもちゃやおかしを持ってきて、あの手この手で子どもの面倒を見ていました。
「スマホ育児」で不安なこと
―― 「スマホ育児」に否定的な見方をする人もいますが、そうした意見についてはどう思いますか?
- 「むしろ1番不安に思ってるのは私たちですよ! やっぱりあまり使わせすぎたらよくないんじゃないかなって……いつも気を付けています」
- 「目が悪くなるという意見もありますよね。それでうちはテレビでYouTubeを映せるようにしました」
- 「ときどき子ども向けっぽい絵柄でも過激な表現のあるアニメなどもあるので、スマホを使うときはそういうのを見せないように一緒に動画を選ぶようにしています」
- 「うちではYouTubeを見せるときは15分だけと決めて、見せるときはキッチンタイマーで時間を計っています。最初は『もっと見たい!』ってぐずってたんですが、最近はタイマーが鳴ると自分で止めて『おしまい』ができるようになりました」
どのお母さんも「子どもにスマホを使わせることに不安がある」「なんとなく後ろめたい」という気持ちがありいろいろと気を付けている様子。ただ、いろいろな意見が出ていて分からない、とお母さんたちが一番困惑しているようでした。
スマホで新しい言葉を覚えた
―― 子どもにスマホを使わせてよかったことはありますか?
- 「同じ動画を繰り返し見ているうちに、子どもが新しい言葉を覚えて話すようになりました」
- 「うちもそう! 車の動画をいろいろ見ていたら英語の動画があって、ときどきすごいネイティブな発音で『Car』って言ったりする(笑)」
- 「友達の子はそれで数字や色を『ワン、ツー』とか『レッド、ブルー』とかで覚えちゃって逆に日本語のほうを教えるのが大変だったみたい」
実際に話を聞いてみて分かったのは、どのお母さんも慎重に考えながらスマホを使わせているということ。はしゃいだり泣いたり元気いっぱいな子どもたちに、どのお母さんも根気強く寄り添っている姿が印象的でした。お母さんは偉大だ……。
子育ての専門家の意見は?
「スマホ育児」について賛否両論の意見があるのはお母さんたちも把握しているものの、現実的に「全く使わないのは難しい」という意見がありました。そこで「NPO法人 子育て学協会」のチャイルドファミリーコンサルタント、河本晃さんにも話を聞いてみます。
―― 「スマホ育児」にさまざまな意見が出ています。どの意見を参考にしたらよいのでしょうか?
河本 まず、こうした話になると「スマホはいいか、悪いか」という正解を決めようとする話になりがちです。子育てではどうしても「親が上で子どもは下。だから正しいことを教えないといけない」と思ってしまう人が多いからなんですが、決してそうじゃないんです。子どももしっかり意思を持った1人の人間。親と子は対等な関係なんです。だから、子どもが「スマホを使いたい」となったら「どうしてそう思うのか」を考えてみましょう。
―― 頭ごなしに「スマホはダメ!」と決めつけてはいけないと。
河本 そうです。例えば車や電車などの「のりもの」が大好きでそれらの動画を見たがる子どもがいるとします。せっかく子どもが興味を持っているのにそれを「スマホはいけないものだ」という思い込みだけで否定してしまうと、子どもの個性や可能性を1つ潰してしまうことになりかねません。子どもってめちゃくちゃ好奇心のかたまりで、好きなことにはものすごい集中力を発揮するすごい存在なんです。
一方で社会性を身に着けるという問題もありますね。のりもの動画を見るのは悪いことじゃないけど、それに没頭しすぎて夜ふかしして翌日調子が悪い、子どもの本来のパフォーマンスが発揮できない、となるとそれはよくないかもしれない。だから「スマホを見てもいいけど20時には寝る」といったルールを決めて、それを守ろうねと教える。日本人だと「他人に迷惑をかけない」ためにルールを決めがちですが、「子どもがいい状態でいるため」に必要なルールを家族でちゃんと決めるわけです。
―― 朝起きるとすぐ「YouTubeが見たい」という子どももいました。こうした要求に応じすぎると「スマホ依存」になるのではないか、という意見もあります。
河本 確かに小さなころから何か1つのことに集中させすぎるのも、逆にほかの多くの可能性を狭めてしまうことですね。子どもは遊びの中でいろんな能力を開発していくので、いろいろな機会をバランスよく設けてあげる必要があります。
遊びの指標として「屋内と屋外」「静と動」という見方があります。例えばおもちゃの楽器でリズム遊びをするのは「屋内の動」、公園で落ち葉を探したりアリを観察したりするのは「屋外の静」といった感じですね。のりものの動画が好きな子どもなら「駅に電車を見に行こう」「公園で電車ごっこをして遊ぼう」など、バランスがよくなるように親が誘導してあげることが大事です。
―― なるほど……! それでも「スマホで動画を見るほうがいい!」とぐずる場合はどうでしょう?
河本 子どもが何かに固執する場合、その裏側に何か違う原因があるかもしれません。
―― 例えば「外に出たくない」とぐずっているけど、実は「外にいる犬が怖いだけ」みたいな感じですか?
河本 そうですね、それを親が決めつけてしまわず対話で探っていくということです。子どもってちゃんと何かを考えて生きているし、意外といろんなことを見てるんですよ。決してみくびってはいけない。もちろん、ただ駄々をこねてるだけのこともあるので、そういうときはしっかり怒りましょう(笑)。
―― 子どもがスマホに興味を持つ背景として、親が生活必需品として子どもの前で使うからというのもあるようです。子どもの前でスマホを使いすぎないほうがいいとかは?
河本 ちゃんと対話に応じてあげれば、わざわざスマホを遠ざける必要はないですよ。でも、子どもが話しかけてきたときに、親がスマホに没頭しているのはよくないです。大人同士でもこちらが話しているのに相手がスマホばっかり見ていたら嫌な気持ちになりますよね? それは子どもも一緒です。
―― そう考えると分かりやすい気がします。「スマホ育児」を行う上でどんなことに気を付ければよいですか?
河本 「スマホがいい、悪い」という考え方をせず、「どういう家族を作りたいか」ということを考えるといいのではないでしょうか。
子どもの「これが好き」という感情はすごく重要です。子どもが何かに没頭しているとき、つい「いつまでやってるの!」と叱ってしまうこともあるかもしれませんが、そうやってばっさり集中を切ってしまうと子どもにもストレスですし、集中力を育む機会を失ってしまうかもしれません。「あと5分でおしまいだよ」と一声かけてあげるだけでも子どもが準備をすることができる。それはスマホに限らずおもちゃや絵本などでも同じですよね。
また、それと同じようにママやパパがちゃんと好きなことをやる時間があることも大切です。特にママはどうしても子育てに追われて「そんな時間はない」「私のしたいことってなんだろう」となりがちです。そうしたストレスが行きすぎると「スマホ育児」ではなく、スマホに子守りを任せきりにする「スマ放置」になりかねない。それだと親と子が対等とはいえません。
僕は月1回1時間でいいので「家族会議」をすることを勧めてます。パパにはこれをさせてあげよう、そのかわりママがこれをやりたいときは協力しよう、そのために子どもはこのルールを守るようにしようね、と。全部できなくてもいいので、「10回のうち3回はできたね」とポジティブに考えてください。家族それぞれが健やかに過ごせるように話し合う、これが対話なんです。
家族の間で起こる問題の多くは、仕事や子育てに追われてコミュニケーションが不足することで生まれていたりします。「スマホの使い方」も自分たちの家族ではどうしたいかを話し合って決めるのがよいと思いますよ。
「スマホ育児」は家族で話し合って行おう
メリットもデメリットも語られている「スマホ育児」。子どもの年齢によっても使い方や起きうる問題などは違うため一言で結論を出すことはできませんが、単純に「アリかナシか」と結論を急ぐのではなく、親子のコミュニケーションの中でスマホをどう扱うかを考えていく必要がありそうです。
最後にちょっとだけ宣伝を。富士通の「arrows NX」は厳しい落下試験をクリアした画面割れに強い構造や、防水・防塵性能付きで、お子さんに使わせる機会の多いご両親にもオススメです。電波状況に応じて速い回線を選んでくれる高速通信機能「マルチコネクション」もあり、外出時や移動中に子どもに動画を見せたい場合などにも活躍してくれるかも。「どんなスマホを使いたいか」についてもぜひ家族で話し合ってみてください。
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アイティメディア営業企画/制作:ねとらぼ編集部/掲載内容有効期限:2017年3月31日