100年後にも残るものって何だろう? 博物館のウラ側に触れる漫画『へんなものみっけ!』にロマンを感じる
博物館の裏側で、みんなが知らない仕事をしている人たちがいるのです。
「この漫画を読んだ人は、隠れた博物館の裏側まで知ることができる」(国立科学博物館館長)――月刊!スピリッツで連載中の漫画『へんなものみっけ!』の単行本1巻が7月12日に発売されました。博物館勤務の新人漫画家、早良朋先生がリアルな現場を描きます。
市役所から出向して博物館で働くこととなった主人公・薄井透(うすいとおる)は、新たな職場に向かう道中、動物を背負った何かに遭遇します。
慌ててバイクを止めた薄井の前に現れたのは、研究員・清棲(キヨス)。キヨスが背負っていたのは、なんとひかれたてで死後硬直も始まっていない、新鮮なカモシカの死体!
普通ならあまり関わりたくない状況ながら、キヨスの切実そうな「お願い…!!」を断れなかった薄井。キヨス(とカモシカの死体)をバイクに乗せ、気が付けばカモシカの解剖にまで付き合う羽目に。流されすぎの薄井君ですが、ここには彼なりの出会いがありました。
薄井はキヨスの仕事を通じ、博物館の目的や研究員たちの情熱を知ったのです。動物を残していくことが、動物の存在の証明につながること。そうして残した動物は、「百年後の未来にも届く」ということ。薄井は「残す」ための仕事に感銘を受けます。
薄井の目から見る研究員の行動は、相変わらず常軌を逸した場面ばかり。仕事を手伝うたび、新たな驚きが待ち構えています。
※アンコウは口が大きいから底引きでひきずられる時に海底の珍しい魚を飲み込むことがある。踏んづけるのはそれらの魚を吐き出させるため
フクロウの巣立ちを待つために5日も山に居座ったキヨスに三度目の「お願い」で付き合わされ、海では新たな研究員がアンコウを踏んづける現場(※)に立ち合っては硬直。
まるで変人の群れに放り込まれてしまった薄井。しかし、博物館の裏側で見られる光景の一つ一つにはれっきとした理由があり、薄井はそこに潜むさまざまなロマンに触れます。これだから博物館はやめられない! そんな思いのたけが聞こえてくる作品です。
(C)早良朋/小学館
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