ニュース
» 2017年08月11日 19時30分 公開

他界した猫が生き返って歌い踊る “天国帰りの猫”の音楽家「むぎ(猫)」は、異色なのに優しい(1/2 ページ)

着ぐるみのような猫のアーティストがフジロックに出演し、大評判に。謎の魅力を取材してきた。

[黒木 貴啓,ねとらぼ]

 他界したペットの猫が、現世に生き返って歌って踊っている。そんな異色なプロフィールのミュージシャン(?)が、先日行われた音楽フェス「フジロックフェスティバル2017」に出演し、やたらと評判を呼んでいる。


 その名も「むぎ(猫)」。見た目は猫の着ぐるみっぽいけど、これは飼い主が手作りしてくれた“新しい体”。音楽に合わせて歌い、楽器も演奏する、“天国帰りの猫”なのだという。沖縄県うるま市を拠点に活動している。

むぎ(猫) ライブ 猫 音楽 インタビュー フジロックに出演する様子

 ツッコミどころしかないが、現場からは「泣いちゃった」「エモい」と感動の声があがっている。フジロックに出ていた小沢健二やビョークなど名だたるアーティストを差し置き「ベストアクトだった」「今年一番の収穫」と評価する人すらいる。どうなってんだ。

むぎ(猫) ライブ 猫 音楽 インタビュー 大評判だった

 ちょうど下北沢でライブがあったので鑑賞。むぎ(猫)と、活動をサポートしている飼い主・ゆうさくちゃんを取材してきた。それにしても、むぎとゆうさくちゃん、雰囲気がやたらと似ているな。

演奏、MC……いい意味で期待を裏切る天国帰りの猫

むぎ(猫) ライブ 猫 音楽 インタビュー むぎ(猫)、下北沢に降臨

 下北沢のライブハウスに現れた大きな猫は、登場曲に合わせて何やらステップを踏み、ゆっくり両手を掲げ、不思議なダンスを始めた。

 「むぎ(猫)といいます。最初のはビョークちゃんの踊りです。昨日フジロックフェスティバルに出演したんですが、ただ演奏するだけでなく、ちゃんと他の出演者のライブも吸収してここに来ました!」

 あ、普通にしゃべるんだ。見た目とのギャップ、さらにビョークという世界的カリスマアーティストのダンスを猫がマネしてみせたシュールさに、会場は笑いと動揺に包まれる。

 1曲目の「どんなふうに」ではイントロから巧みな木琴さばきを見せ、場内から歓声が。跳ねるようなドラムとピアノに体を左右に揺らしながら、むぎの柔らかい歌声に耳を傾ける。見てくれだけではない良質な音楽に、観客もみんなにこやかにハマっていた。

野外音楽フェス「りんご音楽祭2016」での「どんなふうに」ライブ動画
むぎ(猫) ライブ 猫 音楽 インタビュー お得意の木琴さばき

 ジャンルも幅広く、引き出しも多い。音頭調の「アガってく音頭」では地球の“温度があがっていく”現実を皮肉りながら、祭りばやしのようにスティックでタムをたたく。テクノ調の「履いてくノロジー」ではデバイスが進化していく忙しさを歌い、ロボットダンスと高速の木琴テクを披露。猫離れした芸達者ぶりに興奮しながらも、どの楽曲にも猫らしい要素が盛り込まれており、むぎ独特のライブにどんどん引き込まれていく。

むぎ(猫) ライブ 猫 音楽 インタビュー 「アガってく音頭」でうちわで観客をあおるむぎ

むぎ(猫) ライブ 猫 音楽 インタビュー 「履いてくノロジー」ではテクノに合わせてロボットダンスも

むぎ(猫) ライブ 猫 音楽 インタビュー カリプソ調の「友達は食べちゃダメ」で、友達のネズミ・チュータくんのしっぽをくわえる場面

 曲が終わった後も肩で息をしながら「暑いですね……」「はぁはぁしていて心配するかもしれないけど、これが普通です」と、愛嬌たっぷりのMCに笑い声も絶えない。機材から曲を流すときも、その大きな指だと他のボタンに当たってしまうから、バチの後ろを使って慎重にクリックする。無言の数秒を、観客みんなでほほえましく見守る。多少の人間臭さや失敗も気にしない、ほっこりゆるーいやりとりが、猫ならではだ。

むぎ(猫) ライブ 猫 音楽 インタビュー 3回目の給水タイムに歓声をあげるフロア

 最後の「天国かもしれない」ではゆったりしたレゲエ調の音楽に乗せ、「僕はここにいるよずっとそばにいるよ きっとここは天国」と、天国帰りならではの気持ちをひたむきに歌う。終演後、「最高だった」「やばかった……」と感動に浸る声があちこちから聞こえた。

「天国かもしれない」PV
むぎ(猫) ライブ 猫 音楽 インタビュー

 ビジュアルがただ猫というだけではない、ライブパフォーマンス、音楽の良さ。それらを含めた「天国帰りの猫」にしか出せない世界観に、みんなほっこり癒やされているようだった。フジロックに出演したのは最終日となる3日目の夜と、参加者が疲労感たっぷりの頃合い……こんな優しいライブに触れたのだったら、泣いてしまった気持ちも大きくうなずける。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10

  1. /nl/articles/2105/13/news131.jpg 「なんて品の無い番組だろう」 光浦靖子、手作りした作品を笑い飛ばした番組演出にファンから怒りの声
  2. /nl/articles/1607/05/news111.jpg TBS、「行き過ぎた編集」で謝罪 バラエティー番組で出演者の姿を意図的に消すなどしていた問題
  3. /nl/articles/2105/13/news008.jpg 「子猫とは思えない」「前世はゴルゴかな?」 飼い主を起こしに来た子猫の表情が“必殺仕事人”の貫禄
  4. /nl/articles/2105/13/news014.jpg サーバーに魔よけのお札を!? 神頼みのIT企業描くギャグ漫画に「案外ウソでもない」と業界から証言
  5. /nl/articles/2105/12/news162.jpg 「USB 3.0機器はゆっくり差すと2.0、素早く差すと3.0として認識される」って本当? →メーカー「本当です」
  6. /nl/articles/2105/13/news011.jpg 夜にキッチンの窓から見た人影 振り返ってみると恐ろしかった出来事を描いた漫画がゾクッとする
  7. /nl/articles/2104/30/news103.jpg TBS「クレイジージャーニー」“ヤラセ発覚”から1年半ぶりに復活 「めっちゃ嬉しい!」「レギュラー復活を」と喜びの声あがる
  8. /nl/articles/2105/13/news105.jpg 【ぞっとする実話】泥酔したとき友だち面したおじさんに連れていかれそうになるも、介抱してくれた人が放った一言で見事に追い払った
  9. /nl/articles/2105/13/news015.jpg なぜ猫は何年たってもかわいいのか?→“猫に記憶を消されている説” 飽きない理由を描いた漫画に「すげえ納得した」の声
  10. /nl/articles/2105/12/news019.jpg トイレから戻ったら「猫がオンライン会議してた」 真剣な表情で参加するエリート猫ちゃんがかわいい

先週の総合アクセスTOP10