40年前のガイドブックで大阪・道頓堀を食べ歩く
今も残っているお店は絶対おいしいはず!
ガイドブックというものがある。旅先のおいしいお店や、美しい景色などの情報が載っている本だ。毎年最新の情報が載ったものが出版されるけれど、例えば40年前に出版されたガイドブックに載っているお店が、今もあれば間違いなくおいしいのではないだろうか。
そこで40年前に出版されたガイドブックを持って、大阪・道頓堀周辺に行ってみようと思う。有名な観光地だからこそ、最新のガイドブックには載っていない、昔のガイドブックならではの情報が載っているのではないだろうか。
肩こりを治しながら
ピップ株式会社というものがある。あのピップエレキバンを作っている会社だ。1908年に創業した歴史ある会社で、1972年にご存じ「ピップエレキバン」を発売した。「磁気によって血行をよくして、老廃物を流し、こりをほぐす」というものだ。
大阪の道頓堀にそんなピップの看板がある。最初は1982年に「かに道楽」の横にあって、1994年からはグリコのあの有名な看板の斜め上にある。それが2017年10月にリニューアルされた。
誰もが知る道頓堀も日々変化しているのだ。そこで1975年(昭和50年)の大阪のガイドブックだ。ピップエレキバンが登場した1972年と初代の看板が設置された1982年ごろの間の時期。当時の大阪はどんな感じだったのだろうか。
昭和50年の大阪
昭和50年といえば、ロックバンド「キャロル」が解散し、コンビニのローソンが生まれ、缶コーヒーの「ジョージア」が発売された年だ。当時生まれた人は今きっとピップエレキバンを使っている年齢だ、間違いない。
そのころのガイドブックに載っているお店が今もあれば間違いなく名店だ。そんな期待を胸に大阪・道頓堀にやってきたのだ。ガイドブックを見ると当時の道頓堀の様子を知ることができる。
大きくは変わっていない。かに道楽の看板もある。ただ幼児向けの間違い探しのような変化はある。今も昔も活気はあるけれど、お店の様子は異なるようだ。ガイドブックに載っているお店は残っているのだろうか。
最初のお店はコーヒー一筋30年と書いてある「マヅルカ」というお店だ。道頓堀に面していてデートにはうってつけ、とある。今もあればコーヒー一筋70年ということだ。あったところでまだコーヒー一筋かは別だけど。カツ丼に力を入れている可能性もある。
昔の地図を頼りに歩く。日本橋の近くだ。人の波をかき分けながら進む。東京よりも活気があるような気がする。そして、外国人観光客が多い。40年前もこのような感じだったのだろうか。マヅルカのオーナーに聞いてみようと思う。
マヅルカは中華料理のお店になっていた。建物は残っているけれど。そして、思い出した。私は以前、別の昔のガイドブックでこのお店を探しに来たことがある。いろんなガイドブックに載る有名な喫茶店だったのだ。ただ15年ほど前になくなっている。
肉を食うぞ!
朝だからと少し弱気に喫茶店でモーニングを求めてしまった。もっと朝からボリューミーに行こうではないか、ということで、マヅルカの隣のページに載っている「アストリア」に行こうと思う。ここは牛肉一筋30年のお店。大阪・道頓堀は一筋が多いのかもしれない。
地図に従いアーケード街を歩く。「アストリア」は牛肉をマリーネして網で焼くそうだ。料理のサンプルがショーウィンドウに置かれ値段がわかるようになっていて、レストランでは珍しいとある。今では高級店でもネットでメニューや価格が調べられるけど、当時は入るまで値段がわからないレストランが多かったのだ。勇気のいる時代だ。
地図がざっくりしているので、「この角だよな」とじっくり探していたら謎のおじさんに話しかけられた。ガイドブックを見て、「それはこっち、もうないけど」と先導してくれた。親切な人がいるものだ。後で200円ちょうだい、と言われたことはまた別のお話だ。
おじさんに導かれて到着した場所はスマホケースを売るお店になっていた。ただし、たぶんここはもともと「アストリア」ではない。あきらかに地図と場所が違うのだ。謎のおじさん的にはここのようだけれど、違う。ということで、さらに探して回った。
こっちがおそらく「アストリア」の場所だ。どちらにしろアストリアはなく、お好み焼き店の「ぼてぢゅう」になっていた。「ぼてぢゅう」も昔からあるお店で別のガイドブックには載っているけれど、この店舗ではない。今はもう肉は食べられないのだ。
昼から飲むぞ!
マヅルカもアストリアも今はもうないお店だった。これが時代の変化だ。ちなみに今回選んでいるお店は、ガイドブックに外観が載っているお店。万が一なかった時に比べられないからだ。先の「ぼてぢゅう」のように内観や食事だけが載っているお店も多いのでそれは選ばなかった。
もう昼から飲もう、と「初かすみ」という飲み屋に行くことにした。朝の10時からやっていて、店と同じ名前の奈良の地酒を飲むことができるお店とのこと。値段も高くなく、どこにでもあるメニューだけど味付けはおいしいそうだ。
虹の街は道頓堀付近にある地下街の名前。聞いた話では1970年ごろにできて、1994年に今の「なんばウォーク」になったそうだ。リニューアルしてきれいになり、通りの名前も変わったようだ。
当時の通り名で行けば、私のいる場所から「初かすみ」へは、ローズ通りからスズラン通りに進み、ボタン通りに進めば到着する。今は16番街北通りから2番街北通りに進み、2番街南通りに進めばいい。なんだか北欧みたいな呼び方になっている。
すっごいきれいになっているけれど、お店があった。何度も看板を確認したけれど、「初かすみ」で間違いない。2017年の9月にリニューアルしたそうだ。ガイドブックから今年のリニューアルの間にも1度リニューアルしているらしい。
ガイドブックに書いてある「はも皮」、「うまき」はなかったけれど、何を食べてもおいしいと書いてあったので「いわし天ぷら」を頼んだ。確かにおいしい。日本酒と合う。私は日本酒の味に詳しくないけれど、ガイドブックによれば甘口の日本酒らしい。
間違いない味だった。「初かすみ」はこの地下街ができた時からあるお店らしい。やはり昔のガイドブックに載っていて今も残っているお店はおいしいのだ。私は1人で初めて飲み屋に入ったのだけれど、店員さんも優しく、緊張感がなかった。残っているお店はお店の人もいいのだ。
締めだ、お茶漬けだ
お酒を飲んでお店を出ると締めを食べたくなった。と言っても、時間はまだ14時くらいなのだけれど、おいしい料理とお酒で私は完全に出来上がっていた。そこで昭和43年のガイドブックに載っているお茶漬けのお店に行くことにした。
道頓堀に面したところにあるようだ。お茶漬けで締めたいのだ。完全なる締めを作り出したい。朝から雨の中歩き回り、三脚を設置して撮影をして、と疲れもあり、そこにおいしい日本酒。もう締めたいのだ。
酔ったからだろうか、12年前に大阪に住んでいる女の子と付き合っていて道頓堀に来たな、ということをふと思い出した。昔のガイドブックでわかるように、今も残っているものはおいしいし、いいものだ。その女の子がいま私の隣に残っていないということは、いい女性ではなかったということだ。ポジティブに考えるのだ。
お茶漬けで締めたかったのにお店が閉まっていた。閉まっていたというかなかった。ガイドブックにある建物はなくなり、地図が曖昧だからこれだ! とは言い切れないけれど、「ギャラクシー」というビルになっていた。恵方からギャラクシーへ。まさに宇宙規模での変わり様だ。
看板の今と昔
締まらなかったけれど、4軒のお店を回り、1軒は今もあり、大変おいしかった。大阪・道頓堀は変化が激しい街のようだけれど、変わるものもあれば、変わらないものもあるのだ。先のピップの看板もそうだ。
今とは看板の場所が異なり、かに道楽のビルに看板があった。ビルが新しくなったのだろうか、今はかに道楽のビルの看板の配置も変わっている。ピップの看板は1994年から現在の位置であるグリコ看板の左上に変わった。
そして今回のリニューアルだ。最大の変化はLEDビジョンに変わったことと時計が付いたことだ! 普段はアナログ時計が表示されているが、決まった時間になると時報の映像が流れて道頓堀に時を知らせてくれる。そのときには昔から変わらぬ象徴的な「P!」のロゴも表示されるのだ。
道頓堀は日々変化しているのだ。そして、時間がたっても残っていたものがスタンダードになるのだ。新しくなったピップ看板は、これから「大きな時計がある道頓堀」がスタンダードになるまでの時を刻み始めたのだ。
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提供:ピップ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ねとらぼ編集部/掲載内容有効期限:2017年10月25日