狂ったように「もしもしもしもしもしもし」 怪現象が起きるとウワサのおもちゃ、プロに実物を看てもらった結果……
電池が入っていないのに話し出すと話題に……。
2017年8月にTwitter上で流行したハッシュタグ「#夏だしフォロワーさんの怖い話教えてください」に関連して話題となった“ひとりでに喋るFAX型のおもちゃ”の漫画。その実物を編集部が入手し、本当に怪現象は起きるのか、はたまたその原因は一体何なのかを調査しました。
話題になったのは、Twitterユーザーのいろはにほへと(@iroha01746)さんが8月8日に投稿した「ばぁちゃんちはよく出ました」という3ページの漫画。
投稿者のおばあちゃんの家にあるというFAX型おもちゃは、ボタンを押すと音楽や音声が流れる他、FAX用紙を入れて遊ぶこともできるというもの。しかし、古いせいか度々不具合で操作していないのに音が鳴るといったことがあったといいます。
しかし、あまりにもうるさいため電池を抜いて保存していたところ、ある日突然音楽とともに「もしもし」という音声が流れ、「もしもし」「もしもし」と狂ったように喋りだしたというのです。狂気の「もしもし」祭りにおびえる投稿者ですが、更に震え上がらせたのは「ねぇ」という収録されていないはずのボイスが聞こえたこと。この投稿は3万2000件以上の“いいね”を集めた他、「こっ…怖いっ……」「鳥肌立ちました」というコメントや「うちも全く違う玩具ですが、同じ現象がありました」など類似体験をした人まで現れました。
投稿者によると、おばあちゃんの家では何もない場所に向かって犬が吠えたり、ひとりでに揺れる椅子があったりと不思議なことが多かったとのことですが、それにしても気になるのは「なぜFAX型おもちゃはひとりでに動くのか」。編集部は投稿者に接触し、怪奇現象(?)が起こるおもちゃの実物を貸し出してもらいました。
受話器はもともと欠品していたとのことで本体のみの貸し出しとなりましたが、実際に手に取ってみると「小さいな」というのが第一印象です。
まずは2日間に渡り、電池を入れない状態で観察を続けました。が、残念ながら何らかの動作や怪奇現象が発生することはありませんでした。
次に電池を入れた状態で3日間観察をしてみます。各ボタンを押しての動作には特に問題はなく、「もしもし、元気?」「ばいばーい」といったボイスが正常に流れます。
事態が動いたのは、1日目の深夜2時を回ったころ。突然「もしもし元気?」の声が聞こえてきます。ひ、ひとりでに喋ってる(!?)と大慌てでかけつけましたが、そのころにはもうボイスは止まっていました。更に翌日、夜10時ごろに「もしもしもしもしもしもし」の連呼が始まりました。もちろん手は触れていないのでひとりでに喋っていることになります。うーん、これは一体……なんか急に怖くなってきた。
徹底検証、「ひとりでに喋るFAX型おもちゃ」
製造メーカーを取材
詳しく調査するため、編集部はまずおもちゃを製造していた尾上萬(大阪市)に連絡を取りました。担当者に事情を説明すると、聞いたことが無い事象としながらも「10年以上前の製品のため不具合が発生している可能性がある」とのこと。ただし並列つなぎで電池2個を入れなくては動かない設計なので、基本的には電池が入っていなければ動作することはないはずとの見解でした。
また収録されていないはずのボイスが流れることに関しては、限りなく低い確率としながらも「音声を収録する基板(IC)は別製品と同一のものを併用しており、都度配線の位置を変えることにより製品ごとに別の音声を出力している。つまり今回の場合、何らかの手違いで配線ミスが発生し、本来流れないはずの『ねぇ』というボイスが流れるような回路になってしまっているかもしれない」と話してくれました。
日本おもちゃ病院協会の「おもちゃドクター」が健診
続いて連絡を取ったのはおもちゃの修理を専門に行うボランティア団体・日本おもちゃ病院協会。1996年から全国的に組織化しており、1407人のおもちゃドクターが各地でおもちゃを修理しています(2017年3月31日現在)。取材に応じてくださったのは日本おもちゃ病院協会の三浦康夫会長。おもちゃ修理歴は20年以上ですが、今回のような怪現象(?)は初めてといいます。
まずは電池の残量の確認。専用の機械で電力をチェックしますが今回は正常に作動する範囲とのこと。続いて各ネジを外しての分解作業に入ります。と、ここで中から1枚の紙が出てきました。「(名字)様 ばあば」と子どもの字で書かれたそれはFAX用紙をイメージした小さな紙切れ。三浦さんは「子どもは本当に面白いものをおもちゃに詰め込むことがある。中には本物のお金(お札)が出てきたことも」と話しますが、今回はこの紙が何らかの動作不良を誘発しているわけではないとのこと。
さらに詳しく中を見てみると基板には現在では一般的に使用されていない「ムギ球」と呼ばれる電球が使用されており、これだけでも今回の製品はかなりの年代物だと分かると三浦さん。現在はLEDが主流になっているのだそうです。
すると突然「もしもし元気」「もしもし元気」とひとりでに話し出すおもちゃ。分解されたことに抗議でもしているのでしょうか。三浦さんに原因を尋ねてみると「スイッチの接触が関係している可能性が高い」とのこと。接触部分を紙やすりで研磨したところ、おもちゃがひとりでに話す怪現象(?)はピタリと止まりました。
――今回の怪現象(?)の原因は何でしょうか。
三浦会長:スイッチの接触不良でしょう。ヤスリで磨いたことで収まったのでおそらくそれが主な原因だと思います。
――編集部でおもちゃを見張ったときには夜になるとひとりでに話し出したりしていたのですが。
三浦会長:かなり古いおもちゃなので、ちょっとした振動や気温、気圧の変化などで接点(スイッチ)に影響することがあります。たまたま夜にそういう影響が出たのかもしれませんね。
――な、なるほど。でも電池を入れていないのにひとりでに動き出すのは何でなのでしょうか。
三浦会長:単純な誤認だと思います。自分は電池を外したが、家族の誰かが電池を入れていたということに気が付かなかったのではないか思います。
――収録されていないはずの「ねぇ」が流れるということについてはどうですか。
三浦会長:これは電池の残量に関係した事象だと思います。通常おもちゃを正常に動かすためには電池1本につき1.5ボルトぐらいの電力が必要なのですが、これが1.2ボルト程度まで落ち込み、非常に弱い電力になると基板(IC)に不具合が起きるということがあるんです。今回も基板(IC)の誤作動によりたまたま発生した音が「ねぇ」と聞こえたのだと思われます。
――今回は怪奇現象だったという可能性は低くなりましたが、三浦さんご自身はこれまでに怪奇現象が起きるおもちゃを見たことがありますか。
三浦会長:残念ながらありません。そうした現象の原因となるのは、大抵は今回にも該当する経年劣化、故障、そして内部にごみが蓄積することです。分解してみると、内部にホコリがぎっしりと詰まっていて不具合の原因になっていたというようなケースは結構多いのですよ。
幼少期からX-ファイルを見て育った筆者は現在もまだひそかに「投稿主さんのおばあちゃんの家にこそ、怪現象(?)の原因があるのでは」と胸をおどらせているのですが、今回はひとまず製品の経年劣化や気象条件などによる不具合である可能性が高いという結論に至りました。
とはいえ、世の中には不思議な現象を起こすおもちゃがまだまだ存在しているかもしれません。おもちゃドクターの三浦会長も「ぜひ心霊おもちゃを見てみたい」と仰ってくださっているので、お心当たりの方はぜひ編集部までお問い合わせください。その謎、解明してみせます……!
漫画提供:いろはにほへと(@iroha01746)さん
心霊おもちゃ(?)問い合わせ方法
怪現象が起きる、心霊現象が疑われるおもちゃをお持ちの方はねとらぼ公式TwitterのDMから「お名前(ニックネーム可)・年齢・おもちゃの詳細・現象の内容」を明記の上お問い合わせください。
なおお問い合わせは記事でご紹介しても大丈夫なおもちゃに限ります。またお問い合わせいただいた全てのおもちゃに対応ができるわけではございませんので、あらかじめご了承ください。
(Kikka)
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