ニュース
» 2017年12月11日 11時07分 公開

波線がジグザグに見える信じられない錯視 「曲がり盲」はなぜ起きる?

錯視画像を作成した、中京大学心理学部の高橋康介准教授が解説論文を発表しました。

[たけしな竜美ねとらぼ]

 2016年に開催された「第8回 錯視・錯聴コンテスト」で入賞した錯視画像「曲がり盲」(関連記事)。波線がジグザグに見えてしまう不思議な画像です。その作者の中京大学(愛知県名古屋市)心理学部准教授、高橋康介氏による「曲がり盲の錯視効果」についての研究論文が発表されました。

高橋康介准教授の作品「曲がり盲」

 「曲がり盲」は、背景が白、灰色、黒の3色で塗り分けられ、その上にウネウネの波線と、ジグザグの折れ線が引かれています。ですが実のところ、これらの線はすべて「線の色の変わる場所が異なるだけの、同じ形状の波線」なのです。

 にわかには信じられないかもしれませんが、高橋准教授自身「錯視画像としては錯視量(錯視によってもたらされる誤差の量)が極めて大きく、そう言っても信じてもらえない」としており、確かに画像の一部を隠して折れ線の方だけを見ても、なかなか波線には見えません。

アップで見ても信じられない

 波線が折れ線に見えてしまう理由は「曲がっている部分で明暗が反転しているため」です。高橋准教授によれば、線の色と背景の色の相乗効果によって曲がりが見落とされ、折れ線に見えてしまうのでないか、とのこと。

 論文では、3つの実験を通じて「曲がり盲」において錯視の起きる要因とメカニズム、線の色が変化する位置の影響、背景色の影響、線の色と背景の色どちらが重要なのか、などが解説されています。

線の色の付け方や曲がり方などの比較図。太線で囲われているのが、実験で最も錯視を引き起こしたもの

 上の図は「波線の曲がりの角度および色が変化する位置」を比較したものです。左側が波線、右側は本物の折れ線で、左側の太線で囲まれたものが、最も強く錯視を引き起こした波線となります。

 この図については「波線は高すぎても低すぎても効果が薄れる」「色の変化する場所が重要」「曲線の上下の頂点部分に点を付けても同様の効果が発揮される」という解説が付けられています。

背景色の比較図。太線で囲われているのが、実験において最も錯視を引き起こしたもの

 次に「波線の後ろの、背景色とコントラスト」を比較。こちらも左側が波線、右側が本物の折れ線で、太線で囲まれたものが、最も強い錯視を引き起こす背景色となります。

 こちらの図に関しては「背景色がグレーであることが重要で、白や黒だと錯視効果がほとんど見られない」「線の色の切り替わる場所が重要で、線の色の濃さはあまり関係ない」など解説されています。

 ほかにも「横に引かれた波線が並んでいると、背景色が切り替わっていると、各々は相乗効果を発揮しさらに強い錯視効果を見せる」などの実験結果が掲載されていました。

 最後に、高橋康介准教授のTwitterにて取り上げられていた「“曲がり盲”の線の色を左右に動かせるスクリプト」を紹介します。錯視図への理解がより深まる上、何より「自分の目がだまされている」ことを楽しめますので、ぜひお試し下さい。

(画像は論文より)

たけしな竜美

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2311/29/news051.jpg 900万再生のワンコに「電車で笑ってしまった」「つられてめちゃくちゃ笑っちゃうw」 “突然魔王になった犬”に腹を抱える人続出
  2. /nl/articles/2311/29/news033.jpg 秋田犬が娘の宿題を見守ると……「驚くほど美脚すぎる!」と900万再生 「立ち方凄い」「人にしか見えない」
  3. /nl/articles/2208/06/news075.jpg 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  4. /nl/articles/2311/28/news159.jpg サントリーのウイスキー値上げ額詳細が公開されSNSでも嘆きの声 「もう買えない……」「今ですら厳しいのに」
  5. /nl/articles/2311/29/news146.jpg “ベスト級に美しい芸能人”、出会った上沼恵美子が大絶賛 あまりの完璧超人ぶりにほれぼれ「人間として魅力を備えてて」「頭がいい育ちがいい」
  6. /nl/articles/2311/29/news022.jpg 留守番中の子猫を見守りカメラで確認したら…… 何度も「ママぁー!!!」と泣く姿に「切ない」「一目散に帰らなければ」
  7. /nl/articles/2311/29/news116.jpg 32歳になった河北麻友子、“家族そろった記念ショット”を出産後初公開 幼子抱えて大笑いの夫婦に「最高だねえって言いたくなる」
  8. /nl/articles/2311/28/news170.jpg DAIGO、コンビニで“大物スター”とまさかの遭遇 2日連続の出会いに「すごい奇跡」「これは運命」
  9. /nl/articles/2311/29/news043.jpg マックで「プレーンなバーガーください」と頼んだら……? 出てきた“予想外の一品”に驚き「知らなかった」
  10. /nl/articles/2311/29/news028.jpg 寂しくて「えーんえーん」と泣くワンコ、後ろにいる飼い主に気付くと…… 激変する表情のギャップがたまらない
先週の総合アクセスTOP10
  1. 大好物のエビを見せたらイカが豹変! 姿を変えて興奮する姿に「怖い」「ポケモンかと思った」
  2. 「3カ月で1億円」の加藤紗里、オーナー務める銀座クラブの開店をお祝い “大蛇タトゥー”&金髪での着物姿に「極妻感が否めない」
  3. 愛犬と外出中「飼いきれなくなったのがいて、それと同じ犬なんだ。タダで持ってきなよ」と言われ…… 飼育放棄された超大型犬の保護に「涙止まりません」
  4. ミキ亜生、駅で出会った“謎のおばさん”に恐怖「めっちゃ見てくる」 意外な正体にツッコミ殺到「おばさん呼びすんな」「マダム感ww」
  5. 永野芽郁、初マイバイクで憧れ続けたハーレーをゲット 「みんな見ろ私を!」とテンション全開で聖地ツーリング
  6. 道路脇のパイプ穴をのぞいたら大量の…… 思わず笑ってしまう驚きの出会いに「集合住宅ですね」の声
  7. 柴犬が先生に抱っこしてほしくて見せた“奥の手”に爆笑&もん絶! キュンキュンするアピールに「あざとすぎて笑っちゃった」
  8. 病名不明で入院の渡邊渚アナ、1カ月ぶりの“生存報告”で「私の26年はいくらになる?」 入院直後の直筆日記は荒い字で「手の力も入らない」
  9. 小泉純一郎元首相、進次郎&滝クリの第2子“孫抱っこ”でデレデレ笑顔 幸せじいじ姿に「顔が優しすぎ」「お孫さんにメロメロ」
  10. デヴィ夫人、16歳愛孫・キランさんが仏社交界デビュー 母抜かした凛々しい高身長姿に「大人っぽくなりました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 病名不明で入院の渡邊渚、3カ月ぶりSNS更新で「表情に違和感」「そこまで酷い状況とは」 ベッド上で「人生をやり直すこともできません」
  2. 動かないイモムシを助けて1年後のある日、窓の外がありえない光景に 感動サプライズが「アゲハ蝶の恩返し」と話題
  3. 「スカートはないわ」「常識無視の番組でびっくり」 山下リオ、登山中の服装批判巡って反論「私が叩かれているようですが」
  4. 「千鳥」大悟、大物美人俳優にバッグハグされた表情に注目集まる 「マジ照れのお顔ですね」「でれでれやん」
  5. 渋谷駅「どん兵衛」専門店が閉店 店内で見つかった書き置きに「店側の本音が漏れている」とTwitter民なごむ
  6. 神田愛花アナ、拡散された女子中学生時代ショットにスタジオ騒然「ヤバい」→“アネゴ感”でSNSもざわつく
  7. 「生きててよかった」 熊谷真実、美麗な初“袋とじ”グラビアで63歳の色気全開 真っ赤なドレス着こなす姿に「すごいプロポーション」
  8. 尻尾がちぎれた小さな子猫をサーキット場で保護→1年後“ムキムキ最強生物”に 驚異の成長ビフォーアフターに注目集まる
  9. 双子モデル・吉川ちえ、美容整形後のひたいが“コブダイ”状態へ 多額の費用要した修正手術で後悔も「傷がこんなに残りました…」
  10. 「犬ぐらい大きくなれよ」と願い育てた保護子猫が「まさか本当に犬ぐらいになるとは」 驚異の成長ビフォーアフターが192万表示!