「熱海旅行から帰ってきた息子の様子がおかしい。」 熱海秘宝館のコピーがどれも秀逸と話題に 生まれた経緯は
他には「心のパンツがはじけ飛ぶ。」など。
「心のパンツがはじけ飛ぶ。」「熱海旅行から帰ってきた息子の様子がおかしい。」――日本唯一の秘宝館「熱海秘宝館」(静岡県・熱海市)に貼られているポスターのキャッチコピーが、「すごい」「秀逸」とTwitterを賑わせています。
秘宝館とは、古今東西の性風俗にまつわる道具を集めた施設。バブル期には全国に数十カ所以上あったものの少しずつ減り続け、2015年に栃木の「鬼怒川秘宝殿」が閉館して以降は、熱海秘宝館の1カ所のみとなっていました(※個人経営を除く)。
そんな熱海秘宝館では2015年12月から館内のいたるところに新キャッチコピーを書いたポスターを掲出。全7種類で、冒頭に紹介したもの以外は次の通り。
「友達が、フレンドになった。」
「ナニがあるでしょう?」
「よくしゃべるあいつが、黙った。」
「ほんとは、好きなんだろ。」
「後楽園ホテルの、後ろにある楽園です。」(※こちらのみ熱海後楽園ホテルに掲示)
いずれも熱海秘宝館について直接的に説明した言葉がないのに、同館ならではの雰囲気や魅力が伝わってくる、秀逸なコピーです。
これまでも定期的にSNSの一部で話題になっていましたが、12月11日にあるTwitterユーザーが「心のパンツがはじけ飛ぶ。」のポスターの写真を「熱海秘宝館のキャッチコピーがすごい 」とツイートしたところ、2万回弱リツイートされるなど大きく注目を集めることに。「すごいインパクトw」「今年の漢字より好き」と称賛が寄せられました。
熱海秘宝館の支配人に取材したところ、「何で今になってこんなに盛り上がっているんだろうと驚いています」と一言。
キャッチコピーが生まれたのは、2015年9月に熱海後楽園ホテルで開催された「熱海広告祭」にて。深夜に熱海秘宝館のコピーを考えるワークショップを行い、現役のコピーライターや大学生など30人が1人6案ずつ出してプレゼンし合い、180案ほどから審査を経てグランプリと優秀作品6点を選出しました。
審査員6人は、株式会社コピーライター代表の長谷川哲士さんや電通クリエイティブディレクターの澤本嘉光さんなど著名なコピーライターばかり。いずれもクオリティーが高いのも納得です。最終審査に加わった支配人も「作者様の洞察力というかセンスの鋭さに脱帽です」と振り返っていました。
コピーが秀逸である一方、ネットでこれだけ反響を呼んだのは、息子の様子をおかしくしたり友達をフレンドにしたりする特別な“魔力”が秘宝館にあり、それを多くの人が感じ取っていたから。最後の1館となり、熱海秘宝館側で経営や心境における変化はあったりしたのでしょうか。
「残り1つになってからはやはり入館者は増えました。熱海秘宝館もいつ閉館するかわからないという状況なので、日本から秘宝館無くなる前にと、興味をもっていらっしゃる方が多いんだと思います」(支配人)
「だからといって今後について、特別な責任感や義務感はもっていません。ただ、日本にこういう施設が1つあってもいいな、とは考えています。若い人や女性にも楽しんでもらえる施設でありつづけるために、時代に合わせた展示のリニューアルは継続的に行っていきたいです」(支配人)
各展示は定期的に修正しており、2017年はオリエント工業のラブドールを組み込んだアトラクション「秘密の昼下がり」を新設。またどんな施設かわかりやすく知ってもらうため、11月1日には初の公式動画をネットで公開しました。禁断の館はこれからも熱海のロープウェイの山頂で、来館者の心のパンツをマイペースに「はじき飛ばし続ける」のかもしれません。
(黒木貴啓)
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