御神木に硬貨を差し込む“さい銭”が「硬貨から成分が溶け出して悪影響」と物議 本当なのか専門家に聞いてみた
「参拝方法としてどうなのか」という点も取材しました。
御神木に硬貨を差し込む変わったさい銭(?)のやり方に対し、「最悪の場合、御神木が枯れてしまう」と注意するツイートが拡散しています。実際にはどのような問題があるのか、投稿者が取り上げた三島神社(大阪府)、神社本庁などに話を伺ってみました。
1月2日ごろ、三島神社の境内で生育し、国の天然記念物にもなっている巨大なクスノキ「薫蓋樟(くんがいしょう)」の写真を、あるTwitterユーザーが投稿。幹と樹皮のわずかな隙間に、1円玉などの硬貨数枚が差し込まれている様子が写っていました。はっきりとした意図は分かりませんが、一風変わったさい銭なのかもしれません。
この人物は「湿気や降雨で(硬貨から溶け出した)アルミニウム」は樹木に悪影響を及ぼすおそれがあり、最悪の場合、枯れてしまうとツイート。Twitter上では「このようなことをしている人は昔からいるが、疑問を感じていた」「神木を弱らせる罰当たりな行為」と同調する声が多数現れています。
この件について三島神社に取材したところ、同神社は「薫蓋樟」に硬貨が差し込まれる事例について把握。そのような参拝方法を推奨していないにもかかわらず、「いつの間にか」行われるようになったとのこと。しかし、同樹木には目立った被害が出ておらず、現時点では大きなトラブルとして認識されていないようです。
日本緑化センターにも話を伺いましたが、樹皮に差し込まれた硬貨が樹木にどう影響するのか断言するのは難しいとのこと。あまりにも硬貨が多く、樹皮が大きく損傷してしまう場合はともかくとして、「硬貨から成分が溶け出し、生育が阻害される」という研究事例が思い当たらないことから、「可能性としては否定できないが、正確なことは調べてみないと分からない」と判断を保留していました。
また、このような“さい銭”が参拝の方法として問題ないのか、神社本庁に質問してみました。同団体によれば、神社の信仰、風習は地域や時代によって異なるため、一概に善悪を判断できないとのこと。取材に応じた担当者は、鳥居の上に石を投げる行為(※)を例にあげ、「ある地域の人々にとっては不謹慎でも、また別の地域では認められている場合もある。神主らが、安全性などに配慮していれば問題ないのではないか」と各神社の考えを重んじる態度を示していました。
なお、三島神社は「樹木に対する感謝の表現なのかもしれないが、ちゃんとさい銭箱を用意しているので、そこに入れていただいた方がありがたい」とコメント。今回の場合は御神木ではなく、さい銭箱にお金を入れるのが正しい参拝方法のようです。
※「おそらく石占(いしうら)という古い占いから発展した風習」とのこと
(マッハ・キショ松)
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