世界最長の「破られることのなかったゲーム内ハイスコア」記録が無効に 36年を経て不正と判定される

5.51秒というハイスコアに対し「事実上再現不可能だ」という論争がプレイヤーの中でたびたび沸き起こることがあった。

» 2018年01月31日 18時01分 公開
[Takayuki SawahataAUTOMATON]
AUTOMATON


Twin Galaxies 

 アーケードゲームハイスコア記録組織である「Twin Galaxies」が1月29日、Atari 2600専用レーシングゲーム「Dragster」において、プレイヤーRogers氏が持つ5.51秒の世界記録をレギュレーション違反として取り消したことがわかった。また記録が取り消しとなったことで、記録認定組織であるギネス世界記録にRogers氏が持つ「世界で最も長い間破られなかったゲームのハイスコア」という記録を無効とするよう要請したことも判明した。

 Rogers氏の記録取り消しまでの推移はこうだ。1982年当時、氏が『Dragster』開発元であるActivisionに5.51秒のスコアを写したポラロイド写真を送付したことから始まった。そして2000年、Activisionによって記録されたRogers氏のスコアは、最終的に正式に世界のビデオゲームの記録を記録するグループであるTwin Galaxiesのデータベースに記録されることになる。この経緯を元に、2001年にギネス世界記録組織は彼が持つ5.51秒のハイスコアを「世界で最も長い間破られなかったゲームのハイスコア」として世界記録として認定したのだった。

 しかし、Rogers氏が持つ5.51秒というハイスコアに対し「事実上再現不可能だ」という論争がプレイヤーの中でたびたび沸き起こることがあった。その中でもゲームプレイヤーであると同時にコンピュータエンジニアでもあったEric Koziel氏は『Dragster』のプレイを最適化するプログラムを開発。計算の結果、理論上実機で再現できるハイスコアは5.57秒であるという仮説を打ち立てたが、残念ながらその主張が認められることはなかった。だが彼の仮説を元にDick Moreland氏という名の別のプレイヤーが2017年の8月、記録の認定元であるTwin Galaxiesへ直接疑問を呈したことでこの論争は再び注目を集めることとなる。Moreland氏の訴えにより開始されたTwin Galaxiesによる記録正否の調査は、『Dragstar』のゲームデザイナーであるDavid Crane氏といったRogers氏の支持者を巻き込みながら数カ月もの間続いた。

 2017年末には著名なハード改造系ビデオブロガーBen Heck氏が記録を再現できるかハード検証の段階から挑戦しており、渦中にあるRogers氏本人と共に実証を試みたものの、結局のところKoziel氏の提唱した仮説通り、ベストスコアは5.57秒という結果に終わっている。

 そして最終的な調査の結果、Twin Galaxiesは「当時Activisionによって記録された5.51秒という記録を否定する気は無い」としながらも「当時の状況を確認できるものがない以上、このスコアが正式なものであるとは認められない」として、Rogers氏の記録を取り消すこととなった。

 この発表を受けて、Rogers氏の記録を否定する仮説を打ち出したEric Koziel氏はワシントン・ポスト紙に対し「この判決を長い時間待っていました」「スピードランをしたいと思っている全ての人の励みになれば」とコメントを残している。また、redditのr/speedrunスレッド内ではKoziel氏とMoreland氏両名の働きに対して「よくやった」「ありがとう」という称賛の反応が多く見られる中、今回あやふやな判断を下したTwin Galaxiesに対し、記録の認定基準の不透明性など、組織の運営方式に疑問を投げかける声も少なからず見受けられる。

関連リンク

Copyright (C) AUTOMATON. All Rights Reserved.

先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」