漫画家志望者や漫画好きは必見 漫画家が「コミックスができるまで」の長い道のりと衝撃の事実を解説(1/2 ページ)
作家向けの裏技も紹介しています。
漫画家の江野スミ(@shiro_saijo)先生が投稿した「コミックスができるまで」の作業解説が分かりやすくて勉強になります。漫画家志望者やコミックス作業未経験者、または編集志望者などに向けたものですが、少しでも漫画に興味がある人ならその裏側を知っておくことでよりコミックスに愛着が湧くかもしれません。そして最後の雑学に涙……。
今回の解説では、フルデジタルの環境でかつ、Web・アプリ雑誌の場合の工程を紹介。最初に“雑誌掲載までの順序”として、まず「原稿を担当編集へデータで送る」際の注意点(PSDファイルでは「トンボは出力しない」など)を含む送り方を説明。次の流れとして編集者が写植指定(※文字の大きさ、フォントの種類などを決める)したデータを印刷所へ送り、受け取った印刷所が写植しつつ、ここで不備が見つかった場合は「印刷所→編集者→作家」と連絡してデータのやりとりが行われます。
なお印刷所ではたまに誤植が起こり、「消えたり増えたり関係ないところに出現したり」といろいろパターンがあるそうです。それらを確認したらすぐ編集者に連絡するようにして、その確認前でネット上に「編集者に原稿を改ざんされた」などのデマや被害妄想を書いたりしないよう注意しています。
これらの流れを経て完成したデータがようやく雑誌に掲載されますが、ここまでは上で言ったようにまだ“雑誌掲載まで”。この時点ではコミックスになるかどうかはまだ分かりません……!
ついにここから“コミックス作業”の解説が始まりますが、まずやってくるのが「校了(※ここでは、校正用にためし刷りしたものの確認のこと)」。本のページ構成を決める「台割」をもとにコミックス一冊分が紙にコピーされた「著者校」から、作家と編集が「おまっ、キャラの年齢設定間違ってるやないかーい」などさまざまな修正箇所を見つけ(見つかりまくる)、そこからできた修正データを再び担当→印刷所の流れで送ります。
と、この大事な作業ですが、同じかまたはそれ以上に大事な作業として「コミックスのカバーとカバー下」の用意があります。こちらは「修正してる場合じゃね〜〜!!」という言葉の通り、デザイナーさんに送るため“発売日の1カ月以上前が締切”と早めに作る必要があるものの、作者以外にも編集者、デザイナー、まれに編集長も参加してみんなバラバラの意見が上がるため「地獄のようなリテイクとラフが必要になりがち!」ということで、時間とクオリティーに追われるかなり大変な作業のようです。想像するだけで精神にきそう……。
ちなみに作家向けに「コミックスカバーデータ」について、横に長い画像で大きくなりがちなデータ容量を、レイヤーの一番上に“全部を黒ベタ塗り”したレイヤーを作ることで3〜4割減らして軽くすることができる裏技も紹介。こちらは別でツイートもされ「ほんまや…」「これは衝撃」と話題になりました。
重要なカバーができたら今度は「カット」。これは話と話の間や巻末にあるページのことで、ここに小話や挿絵や漫画を入れることでコミックス限定のプレミアム感を出します。他にも本分最初のページの「中扉(または総扉)」に、自身で挿絵をデザイン可能な「目次」、担当編集に任せることもできる「人物紹介やあらすじ」といったもろもろも用意して、それぞれのデータが編集者によって印刷所やデザイナーさんに送られます。
するとそれらの完全なデータを受け取った印刷所から修正された校了が到着。ここでもまれにデータミスで誤植等があるのでチェックしたり、またデザイナーさんにも早めになら届いたその日に注文をつけることもできるとのこと。そうやって締切まで修正を繰り返して完璧になったらコミックス作業がついにほぼ完了に。
あとは最終段階としてカバーとカバー下、そして帯の色校(見本)がやってくるので、ここでも修正したい箇所がないか確認したら終わりとなります。……が! 実は「コミックス販促作業」が同時進行だったり、これからその作業がやってくるとのことで実質まだ終わってません。
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