「漫画家はTwitterなんてやっている暇があるなら漫画を描け!」に対する答え――2018年に漫画を描くということ(2)(1/3 ページ)

ネットで漫画が「動く」時代。

» 2018年04月13日 12時00分 公開
[杉本吏ねとらぼ]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 AIの知性が人間を超える「シンギュラリティ」が訪れた後、ヒューマノイドが人間たちと同じように暮らす世界。SF漫画『AIの遺電子』には、テクノロジーによって変わった世界と、それでも変わらない人間たちの営みが描かれています。

 作者である山田胡瓜(やまだきゅうり)さんに、「2018年に漫画を描くということ」をテーマに話を聞いた連載の2回目は、「漫画家の役割の変化」について。胡瓜さんは読者に漫画を届けるにあたって「どうやって魅力をネットに乗せるか」を模索しているようです。




「Twitterなんてやっている暇があるなら……」

――最近はTwitterなどのSNSを使って自ら発信する漫画家も増えました。漫画家に求められる役割が変わってきたという意識はありますか?

胡:

 漫画家にはいろんな態度があると思っていて、中でも一番シンプルかつ王道なのが、「つべこべ言わずに全てのパワーを漫画に集中させろ」というもの。「Twitterなんてやっている暇があるんだったら、その時間を使って圧倒的な漫画を描け」というような考え方です。

 これは確かにその通りで、自分はこういう姿勢で漫画を描いている人を尊敬します。ただ一方で、Twitter発の漫画が書籍化されてヒットしたり、ファンの気の利いた口コミがバズって認知拡大のきっかけになったりと、ネットで漫画が「動く」時代になってきたのも事実だと思うんです。自分の魅力をうまくアピールできる作家がSNSを有効活用するケースは、今後も増えていくんじゃないでしょうか。

 好みの漫画が世間的にはマイナーだったりすることが多いので、出版不況の中でそういうタイプの漫画がどうやったら生き延びられるかなとか考えたりするんですが、今のところは「ネットをうまく活用する」ってのが近道なんじゃないかなと思っています。

――胡瓜さんのTwitterアカウント(@kyuukanba)では、ご自身の作品以上に(?)他の漫画家さんの作品をすすめていることが多いですね。



 今は自分の作品もせっせと宣伝していますけどね。他人の漫画を宣伝するのは単純にその漫画が好きで広めたいからです。

 漫画家になる以前、ITニュース記者をやっているときに痛感したことですが、頑張っていい記事を書いても、タイトルがイマイチだと全然読まれないし、気を引くタイトルになった途端すごく読まれたりするわけです。中身は一緒なのに。これと同じことが漫画でも起きてる気がするんですよね。せっかくの魅力が単行本を包むシュリンクの中に隠れてしまっていて、「届くべき読者」が知らないってケースが。

 なので、そういう作品の魅力をツイートに込めて、それがバズれば、手に取る人がぐっと増えるんじゃないかなと。本当はそういうことを出版社にやってほしいなというのもあるはあるんですけどね。

 雑誌離れがどんどん進むなかで、今の時代、「届く」プラットフォームってどこかなって考えると、TwitterとかYouTubeとかAmazonなんじゃないかって。

 だから今、漫画家が自分でつぶやいたり、自分自身の影響力で広げていって、本来作品を買ってくれるような人に届けようとするのは、自然なことなんじゃないでしょうか。

つづく

ためし読み「AIの遺電子」第29話 トゥー・フィー


       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

先週の総合アクセスTOP10
  1. 風呂に入ろうとしたら…… 子どもから“超高難易度ミッション”が課されていた父に笑いと同情 「父さんはどのようにしてこのお風呂に入るのか」
  2. DIYで室温が約10℃変わった「トイレの寒さ対策」が310万再生 コスパ最強のアイデアへ「天才!」「これすごくいい」
  3. 岡田紗佳、生配信での発言を謝罪 「とても不快」「暴言だと思う」「残念すぎ」と物議
  4. スーパーで買った半玉キャベツの芯を植え、5カ月育てたら…… 農家も驚く想像以上の結末が1300万再生「凄い」「感動した」
  5. 東京藝大卒業生が油性マジックでサンタを描いたら? 10分で完成したとんでもない力作に「脱帽です」「本当にすごい人」
  6. 定年退職の日、妻に感謝のライン → 返ってきた“言葉”が約200万表示 大反響から7カ月たった“現在の生活”を聞いた
  7. 【ヤフオク】“3万円”で購入した100枚の着物帯 →現役着付師が開封すると…… “まさかの中身”に驚き
  8. 「立体的に円柱を描きなさい」→中1の“斜め上の解答”に反響「この発想は天才」「先生の優しさも感じます」 投稿者に話を聞いた
  9. 「すんごい笑った」 “干支を覚えにくい原因”を視覚化したイラストが勢いありすぎで1700万表示の人気 「確かにリズム全然違う!」
  10. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  3. 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
  4. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  7. 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
  8. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  9. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  10. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」