「君の名は。」から「東方Project」まで 合唱で歌えるアニメ・ゲームソングをまとめた同人誌が実にマニアック:司書メイドの同人誌レビューノート
そんなアニメ・ゲームソングを歌うサブカル合唱団もいるんです。
先日、図書館の中で「春ですね」「新学期ですねぇ……」「そういえば、女学生さんって、寄ると触ると歌いだしません?」という話になりました。歌います。なぜか、女子学生さんは下校しながらとか、ハモったりしますよね! けれど、学生時代を過ぎると、誰かと歌声をあわせたりすることも、めっきり少なく……。カラオケだって楽しいですが、大勢で一緒に一つの歌を作り上げるのも心高鳴るもの。歌いたい、合唱したい! そしてどうせなら、自分のお気に入りの歌を! ということで、今回の同人誌は、アニメやゲームにまつわる曲を合唱するご本です。
今回紹介する同人誌
『合唱で歌えるアニメ・ゲームソング』 A5 32ページ 表紙カラー・本文モノクロ
『このサブカル合唱団がすごい!2016』 A5 40ページ 表紙・本文カラー
『このサブカル合唱団がすごい!2017』 A5 20ページ 表紙・本文カラー
作者:いずみー/表紙イラスト:みゆき
合唱曲はジブリ一強? 実は多様な合唱曲の傾向とは
学校の音楽の時間や、発表会で歌った合唱曲。それがアニソンだったら? 作者さんは「発表会とかで、クラシックに混じってジブリの曲とか歌うくらいでしょ?」「子ども向けか、年配が喜びそうな古めなアニソンとかばっかりなんじゃない?」というイメージが浮かびがちな、合唱曲とアニソン・ゲームソングの関わりを、“合唱のためにどんな曲が存在しているか”という観点から調べてらっしゃいます。
市販の楽譜から、アマチュア団体が自分たちで歌うために準備したものまで、広く“合唱に使えるアニソン・ゲームソング”のデータを集め、合唱の編成(混成・男・女)といった区分けで情報が整理されて掲載されています。その数300曲以上! 「鉄腕アトム」から「君の名は。」までのデータを並べることで、「やはりスタジオジブリ作品、圧倒的」という結論が出つつも、「マクロスF」「エヴァンゲリオン」「時をかける少女」などのSF系もがんばっている! という発見も。確かに、「マクロス」なんて、ぐっと盛り上がる曲が多いですよね!
聞きに行く? 歌いに行く? 同人誌から活動へつながりのライン
一方で、ゲームソングの調査では、「アイドル系」や「東方Project」のアレンジも強く、作者さんはその要因を「アマチュアの合唱団の影響ではないか」と分析されます。なるほど、アマチュア合唱団として、アニソンやゲームソングを楽しむ存在があり、活発な活動が広がっているのですね! アニメやゲームから受けた、「楽しい、うれしい、この思いを形にしたい!」と思ったときの方法として、実際に歌ってみる、しかも一人ではなく多人数で、という、楽しさを共有する活動を見つけて、実践されているのって、すごい!
その名も『このサブカル合唱団がすごい!』シリーズでは、そんな、実際に活動している合唱グループを、26グループ取り上げて紹介されています。
例えば「白浜坂高校合唱同好会」さんは、合唱部の活動を描いたアニメ「TARI TARI」の楽曲を歌いたい、という目的で結成されたグループで、最初に参加した合唱祭にはなんと160人を超えるメンバーで参加したとか! そのあとも次の本番に向けて、その都度メンバー募集をし、「TARI TARI」に限らず、歌う曲の幅を広げていることなどが紹介されています。
合唱祭、発表会で歌うことを目標にしている「企画型」、継続的に活動している「定期型」という活動スタイルや、演奏曲の傾向、団体の参加人数などのデータとともに、各グループの動画への案内もされていて、お部屋で動画を巡っているだけでも、いろんなファン活動の楽しみ方が感じられてワクワクします。合唱という、多くの人と声をそろえる、どこかおごそかな雰囲気の中で、「好きな曲をみんなで一緒に!」という高揚感が伝わってきます! ご本を読んだら、動画で見聞きし、そのあとは合唱祭に足を運ぶもよし、もしかしたら合唱グループに参加したりも……!?
実際にやってみたことを、同人誌という形にまとめ直すことで、もう一度、活動への道筋をガイドする、歌いたくなる人に手招きする……という、「楽しい」のすてきなループを感じました。
サークル情報
サークル名:白浜坂高校アルバム委員会
Twitter:@izmit777
入手先:BOOTH
次回参加予定イベント:コミックマーケット94
連絡先:izmit777☆gmail.com(☆を@に)
今週のシャッツキステ
著者紹介
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