顔文字の元祖「:-)」の生みの親が語る、「なぜインターネットには顔文字が必要なのか」
1980年代のシンプルな炎上対策。
近年、ネット上で頻発している炎上。原因は多岐にわたりますが、何気ない投稿が物議を醸し、批判の声が集まってしまうケースもあります。
実は、こういったトラブルを回避するために30年以上前に考案されたのが、現代でもおなじみの顔文字。今回は顔文字の元祖「:-)」が誕生した理由をご紹介します。
顔文字の元祖「:-)」が生まれた理由は、炎上対策
米カーネギーメロン大学名誉教授・Scott Fahlman氏は、1982年9月19日にスマイリーフェイスと呼ばれる「:-)」を提案した人物。“世界初の顔文字”といわれることもありますが、記号を組み合わせて顔のように見えるものを描くという発想自体はさらにさかのぼることができ、同氏は「(類似のアイデアはあったかもしれないが、この顔文字が)全世界に広まり、何千ものバリエーションが生まれた」と説明しています。
本当に世界初かどうかはさておいて、さまざまな顔文字の祖先にあたるスマイリーフェイスはなぜ誕生したのでしょうか。1982年当時、カーネギーメロン大学には教職員、生徒などが利用できるオンライン掲示板があり、ユーモアのある投稿が多かったとのこと。しかし、「誰かが皮肉な発言をすると、それをジョークとして受け取れなかった少数の読者が、長々とした告発の書き込みをする」ことがあり、問題になっていたようです。
そこで、Fahlman氏は「『:-)』を使って、シリアスに受け取る“べきではない”メッセージであることを明示しよう。反対に、真剣に考えてもらいたいときは、口の向きを逆にして不快感や怒りを表現する「:-(」を使おう」と提案したとのこと。自分の表情を伝えるものというよりは、いわば「ネタがネタであると見抜けない」ことによるトラブルを回避するためのマークだったというわけです。
今でこそ顔文字は当たり前になっていますが、当時は「文章力があれば、ジョークであることを明示するマークなんていらないはず」「むしろ、そのマークのせいでジョークがつまらなくなるかも」というような反対意見があったとか。
Fahlman氏はこれらの考えに同意しつつも、「掲示板を利用する全ての人が、シェークスピアなどの作家のような文才を持っているわけではない」「本と違ってインターネットでは、ジョークを理解できなかった1%の読者による批判的な書き込みでトラブルが起こることがある」としています。
炎上にはさまざまな理由があるため、一概には言えませんが、現代のネット事情にも通じるものがあるのではないでしょうか。
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