「プラモにしたいんで図面ください」ホンダ「ありません」 異色の『美少女×耕運機』プラモデル誕生の秘密(前編)(1/4 ページ)

やりたい放題の結果生まれた、「オーバースペックな耕運機」の物語。

» 2018年07月14日 11時00分 公開
[しげるねとらぼ]

 2018年5月にマックスファクトリーから発売された、「minimum factory みのり with ホンダ耕耘機F90」。これまでアニメなどに登場するキャラクターをプラモデルという形で商品化してきたminimum factoryシリーズの新機軸となる製品だ。


 というのも、このキットのコンセプトは「メカ×女子」。山下しゅんや氏によるオリジナルキャラクターの“みのり”ちゃんと、1966年に販売されたホンダ製耕運機である“F90”とが組み合わされたキットなのである。これまでキャラクターのみを扱ってきたminimum factoryシリーズにとって、そしてマックスファクトリーにとっても、実在のメカを縮小して模型にするというのは初の試みである。

 しかし、「なんでいきなり耕運機、それも半世紀以上前の耕運機をいきなりプラモデルに……。大体F90って何……?」という疑問が次々に湧いてくるのもまた事実。



 というわけで、マックスファクトリーにてキット企画を担当した高久裕輝さん同行のもと、栃木県のレースサーキット「ツインリンクもてぎ」に併設されているホンダコレクションホールへ直行。コレクションホールに保存されているF90の実車や膨大な展示物を前にしつつ、本田技研工業パワープロダクツ事業本部所属の中島茂弘さんにお話を伺った。

 そこで明かされたのは、ホンダの「エンジンで暮らしを豊かにしたい」という理念と、それが具現化されたオーバースペックなある耕運機の姿だったのである。


本田製耕運機「F90」
実物はめちゃくちゃメカっぽくてかっこいい。スポーツカーのような雰囲気だ
ホンダコレクションホール。東京からは片道2.5時間くらいかかるぞ
マックスファクトリーの高久さん(左)と、本田技研工業の中島さん(右)

“願ったりかなったり”だった、耕運機のプラモデル化

――まず大前提からお聞きしたいんですけど、なんで耕運機をプラモデルにしようと思ったんですか?

マックスファクトリー・高久:もともと弊社で「minimum factory」という1/20スケールフィギュアのプラモデルシリーズを出してたんですけど、これって需要がキャラクター人気に左右されちゃうんです。お客さんがキャラを知ってるかどうかで売り上げが決まってしまうんですね。

 フィギュアだけだと遊び方が伝わりにくいし、人気のあるなしだけでプラモの売れ行きが左右されるのもアレだし、可能であれば何かメカをつけたほうがより模型的な応用力が上がるだろうと。

――1/20スケールで、しかも女の子と絡ませやすいメカが必要だということになるわけですね。

高久:1/20スケールのメカというとバイクや車が思い付くんですが、1/20だと車は大きすぎるしバイクは小さすぎるんです。もっというとバイクの模型とかはもう存在するので、今度はそっちと比べられてしまう。



 そういう条件のもとにアイデアを出し続けた結果、「耕運機、どうすか?」となったわけです。耕運機って、耕運機のことは何にも知らなくても、シチュエーションがパッと浮かぶじゃないですか。そういう機械ってあんまりないんですよ。特定のどこか停まっているシチュエーションがすぐ想像できる車やバイクってあんまりない。でも耕運機はフィギュアの服装も決まるし、シチュエーションも決まるし、非常にコンセプトがクリアだと。

――確かに、畑以外にはあんまりいないですね、耕運機……。

高久:で、一番かっこいいのはなんだろうといろいろリサーチをしているときに、2015年のモーターショーでF90が展示されてて、その写真を見て作ろうと思ったんですよ。そのときは今の耕運機の「こまめ」とかと並べて展示してあって。で、ホンダさんに声をかけたら初っぱなで中島さんに当たったんで、もういきなりすごい人に出てきていただいたという感じです。


Honda耕うん機 こまめ F220(JT)(公式サイトより)

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/07/news024.jpg 高校生時代に父と撮った写真を、29年後に再現したら……再生数1000万回超えの反響 さらに2年後の現在は、投稿者に話を聞いた
  2. /nl/articles/2412/07/news039.jpg コメダのテイクアウトで油断して“すさまじい量”になってしまった写真があるある 受け取ったその後はどうなったのか聞いた
  3. /nl/articles/2412/05/news178.jpg イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  4. /nl/articles/2412/07/news020.jpg “ひっつき虫”を簡単に取るには…… 身近なアイテムでスッキリするライフハックに「これでイライラしないで取れる」「今度、やってみます」
  5. /nl/articles/2412/07/news018.jpg 赤い毛糸3玉をどんどん編んでいくと……? 完成した“冬のオシャレアイテム”に「わかりやすくて感謝」「編んでみたい!」
  6. /nl/articles/2412/07/news031.jpg マッチョなザクが「ガンプラコンテスト」で大賞受賞 内部に秘密の仕掛けがぎっしり 「誰もが納得の大賞」「これぞオラザク」
  7. /nl/articles/2410/19/news010.jpg 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  8. /nl/articles/2412/01/news003.jpg パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  9. /nl/articles/2412/06/news205.jpg 辻希美、長女・希空の幼少期ショット初公開 赤ちゃんの弟を抱っこする、幼いにっこり笑顔がかわいい
  10. /nl/articles/2412/07/news004.jpg 「成長してる!」 小6→中2までドット絵を描き続けたら……? 3年間の変化に「かわいらしい」「うますぎ」
先週の総合アクセスTOP10
  1. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  2. 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
  3. 「中学生で妊娠」した“14歳の母”、「相手は逃げ腰」妊娠発覚からの経緯を赤裸々告白 母親の“意外な反応”も明かす
  4. 勇者一行が壊滅、1人残った僧侶の選択は……? 「ドラクエでのピンチ」描くイラストに共感「生還できると脳汁」
  5. 「笑い止まらん」 海外産アプリで表示された“まさかの日本語”に不意打ち受ける人続出 「何があったんだw」
  6. パパが好きすぎる元保護子猫、畑仕事中もくっついて離れない姿が「可愛すぎる」と反響 2年以上がたった現在は……飼い主に話を聞いた
  7. アグネス・チャン、米国の自宅が“度を超えた面積”すぎた……ゴルフ場内に立地&門から徒歩5分の豪邸にスタッフ困惑「入っていいのかな」
  8. 「理解できない」 大谷翔平と真美子さんの“スキンシップ”に海外驚き 「文化は100%違う」「伝説だわ」
  9. 「車が憎い」 “科捜研”出演俳優、交通事故で死去 兄が悲痛のコメント「忘れないでください」
  10. PCで「Windowsキー+左右矢印キー」を押すと? アッと驚く隠れた便利機能に「スゲー便利」「知らなかった」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」