「熱中症で死亡するのは脳のタンパク質が変質するから」ツイート拡散 本当か医師に聞いた

熱中症予防策についても聞きました。

» 2018年07月26日 11時00分 公開
[ねとらぼ]

 熱中症で死ぬ理由は「脳のタンパク質が熱で変質して戻らなくなるから」という投稿がTwitterで拡散していました。注目を集める一方、正しくないという指摘も。本当なのか、医師に聞きました。

熱中症 暑い日が続きます。熱中症に注意

 オンライン健康相談「first call」の総合診療医、田中公孝先生に、熱中症で死亡する理由についてだけでなく、熱中症はどういう症状なのか、どのような防止策をとればいいのかについても質問しました。


―― 「熱中症で死ぬ理由は脳のタンパク質が熱で変質して戻らなくなる」は事実でしょうか?

田中先生 脳のタンパク質が熱で変質するというメカニズムではなく、脱水で循環障害(血液やリンパの循環が阻害され、臓器や組織に障害が生じること)に陥り、脳や腎臓など臓器への血流が減ること、暑さで体温調節中枢が障害されることなどのメカニズムで体にダメージが与えられます。

 さらに、筋肉をつくる骨格筋細胞が融解や壊死を起こす横紋筋融解や、体のナトリウム不足による筋痙攣(けいれん)などが重なり、多臓器不全、ショックなどを起こし、最悪の場合、熱中症で亡くなってしまうという流れになります。なので、事実ではないと思います。

―― 熱中症はどういう状態で起こるのでしょうか

田中先生 主に、暑い環境に長くいること、さらには水分摂取と休憩の不十分が相まって熱中症を発症します。

―― 熱中症の症状はどういうものですか

田中先生 軽い熱中症は、こむら返りや筋肉痛程度ですが、中等症の熱中症になると頭痛や嘔吐(おうと)、食欲不振、倦怠(けんたい)感が見られます。実際に今シーズンも、この状態の方が外来にいらっしゃいました。

 重症の熱中症になると、血液検査で腎臓や筋肉の数値に異常をきたし、動けない状態にもなることから、入院加療が必要となります。私自身も診療で何人もの大変な熱中症患者さんに遭遇してきたので、「まだ大丈夫」と安易に判断せず、早め早めの予防を心がけてほしいと思います。

―― 熱中症を防ぐにはどうしたらよいでしょうか

田中先生 塩分の入った水分を大量に摂取すること(ポカリスエットやアクエリアスはもちろんですが、熱中症かなと思ったらOS-1も検討を! 水だけは不十分です!)、炎天下での不要な外出や長時間労働を控えること、定期的に涼しい環境で休むことなどを意識してください。また、体が熱い場合は、首や脇の下など太い血管が通っている箇所に氷を入れて体を冷やしてください。

 経験上、症状がなくても外の作業中に全くトイレに行きたくならない場合は要注意です。というのも、そんなときは、体に水分が足りないため尿が出ない状況であり、熱中症に極めてなりやすい状態と言えます。もし炎天下でトイレに行ってないな……と思ったら、まずは塩分の入った水分を摂るという行動を意識してもらえればと思います。

 特に熱中症で倒れた方が口をそろえて言うのは、「水分は摂っていた」ということです。でも、よくよく話を聞いてみると、炎天下にずっといたにもかかわらず、1日で1リットルちょっとしか飲んでおらず、暑さや汗の量を考えると、もっと飲まなくてはいけなかったというケースが非常に多いです。

 例年、屋外の仕事関係や、スポーツ・レジャーをされていた方が熱中症で倒れていますので、今年の猛暑は本当に注意してもらいたいと思います。


 消防庁によると、今年(2018年)7月16日〜22日に熱中症で搬送された人は2万2647人(速報値)。前年同時期の7196人のおよそ3倍となっています。気象庁の発表では、高温は8月上旬まで続く見込み(関連記事)。くれぐれも熱中症にはご注意を。

7月16日〜22日に熱中症で搬送された人数(消防庁Webサイトから)
気象庁の予報

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2410/02/news120.jpg 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  2. /nl/articles/2410/01/news047.jpg プロ警鐘「エアコン、夏が終わったらコレやらないと……」が530万再生 水漏れや“内部のスライム化”を防ぐコツが目からウロコ
  3. /nl/articles/2410/02/news185.jpg “医療ミス”で両頬に大きな火傷 「鏡見るたび涙が止まらない」フォロワー24万人のモデルが悲痛の声 「周りの目が怖い」
  4. /nl/articles/2410/02/news188.jpg 「平成に戻っちゃった」 マクドナルドが「まさかの内容」を投稿→“ネット老人会”のみなさんが思わず二度見
  5. /nl/articles/2410/03/news031.jpg 実家からヤバそうな「母のイチオシ」段ボールが届く→開けてみると…… 胸がじわっとあたたまる裏切りに「母様 最高」「愛がいっぱい詰まってる」
  6. /nl/articles/2410/03/news172.jpg 「驚愕の修理代」の金額明かす お見送り芸人しんいち、約2000万円の愛車が故障で「終わった」「お金がないです」
  7. /nl/articles/2410/02/news013.jpg 【今日の計算】「5−5÷5+5」を計算せよ
  8. /nl/articles/2410/03/news073.jpg 母が高校生娘に作る“モザイク弁当”をのぞくと…… 325万再生の芸術のような美しさとおいしそうな見た目に驚き
  9. /nl/articles/2410/03/news022.jpg 「こんなことになるなんて」 安全靴を購入→10分もしないうちに…… 買った直後に起きた“まさかの事態”に騒然
  10. /nl/articles/1809/23/news019.jpg 炊飯器いっぱいに炊けまくった米…! 「5.5合炊いて」が生んだ悲劇に「全米が泣いた」「笑いすぎてしんどい」
先週の総合アクセスTOP10
  1. ネットで大絶賛「ブラウニー」にカビ発生 業務スーパーに7万箱出荷…… 運営会社が謝罪
  2. 「全く動けません」清水良太郎がフェスで救急搬送 事故動画で原因が明らかに「独りパイルドライバー」「これは本当に危ない!!」
  3. トラックがあおり運転し車線をふさいで停車…… SNSで拡散の動画、運転手の所属会社が謝罪
  4. 「ヤヴァすぎる!!」黒木啓司、超高級外車の納車を報告 新車価格は5000万円超 2023年にはフェラーリを2台購入
  5. そうはならんやろ “ドクロの絵”を芸術的に描いたら…… “まさかのオチ”に「傑作」の声【海外】
  6. 「ウソだろ?」 ハードオフに3万円で売っていた“衝撃の商品”に思わず二度見 「ヤバいことになってる」
  7. 「結局こういう弁当が一番旨い」 夫が妻に作った弁当に「最強すぎる!」「絶対美味しいビジュアル」
  8. “メンバー全員の契約違反”をライブ後に発表 異例の脱退騒動背景を公式が釈明「繋がり行為などではなく」
  9. 「言われる感覚全く分からない」 宮崎麗果、“第5子抱いた服装”に非難飛び……夫・黒木啓司は「俺が言われてるのかな?」
  10. 大沢たかお、広大プールを独り泳ぐ“バキバキ姿”が絵になり過ぎ 盛り上がる筋肉の上半身に「50代とは思えない」「彫刻みたい」
先月の総合アクセスTOP10
  1. “緑の枝付きどんぐり”をうっかり持ち帰ると、ある日…… とんでもない目にあう前に注意「危ないところだった」
  2. 「しまむら」に行った58歳父→買ってきたTシャツが“まさかのデザイン”で3万いいね! 「同じ年だから気持ちわかる」「欲しい!」
  3. 友人に「100円でもいらない」と酷評されたビーズ作家、再会して言われたのは…… 批判を糧にした作品が「もはや芸術品」と490万再生
  4. 高校3年生で出会った2人が、15年後…… 世界中が感動した姿に「泣いてしまった」「幸せを分けてくださりありがとう」【タイ】
  5. 「ま、まじか!!」 68歳島田紳助、驚きの最新姿 上地雄輔が2ショット公開 「確実に若返ってる」とネット衝撃
  6. 荒れ放題の庭を、3年間ひたすら草刈りし続けたら…… 感動のビフォーアフターに「劇的に変わってる」「素晴らしい」
  7. 食べた桃の種を土に植え、4年育てたら…… 想像を超える成長→果実を大収穫する様子に「感動しました」「素晴らしい記録」
  8. 「天才!」 人気料理研究家による“目玉焼きの作り方”が目からウロコ 今すぐ試したいライフハックに「初めて知りました!」
  9. 「エグいもん売られてた」 ホビーオフに1万1000円で売られていた“まさかの商品”に「めちゃくちゃ欲しい」
  10. 義母「お米を送りました」→思わず二度見な“手紙”に11万いいね 「憧れる」「こういう大人になりたい」と感嘆の声