15年描き続け、完成目標は2028年 架空の国を地図に描く「想像地図」プロジェクトの濃度がすごい(1/2 ページ)

架空の地図を描き続けてきた人に話を聞きました。

» 2018年08月12日 08時00分 公開
[ねとらぼ]

 架空の国の全域を地図に描く――そんな壮大な創作活動「想像地図」に取り組んでいる人がいます。15年前に始まった活動はまだ完了しておらず、完成予定は2028年。地図を描いている「想像地図研究所」の中の人に話を聞きました。

想像地図 架空の国「城栄国」の首都「南栄」を描いた地図の一部。本物の地図っぽい(クリックで拡大)

 想像地図は、地球によく似た「泉星」という惑星にある「城栄国」という架空の国の全域を地図にすることを目指しています。城栄国は人口規模や面積が日本に近く、「日本によく似ているけれど日本ではない島国」。11の地方と73の都道府県で構成され、首都は「南栄」……など、詳しい設定も作られており、そうした設定は描き上がった地図の部分とともにWebサイトで見られます。

想像地図 城栄国全図
想像地図 「城栄国」の国旗も設定されている

 1万分の1の縮尺で描かれている地図には、生方府、新山県など、見たことがあるようで知らない地名が並び、鉄道網や道路網も詳細に書き込まれています。設定データベースでは、鉄道の駅や高速道路、各市町村の名称や人口などを公開。細部への凝りっぷりがすごい……!

想像地図 鉄道網が発達している城栄国。文明レベルは、平均すると今の日本とほぼ同程度。リニアは建設中という設定で、全区間が一度に開業する予定のため、日本のリニアよりも開業が遅くなる見通し

 地図は完成するとA4用紙6万1000枚になる予定(城栄国の面積:約38万平方キロメートル)。この壮大な計画について、地図を描いているSirnokaさんに詳しい話を聞きました。

想像地図 地図はPDFとPNGで公開されている

想像地図が生まれたワケ

 子どものころから架空の地図を描くのが好きだったというSirnokaさん。想像地図の出発点となったのは、2003年夏に描き始めた「茶柱市」という架空の都市の地図でした。それまでは道路や線路を描くだけで地名をつけることはほとんどなかったものの、このときは全ての土地に地名をつけ、この街を舞台とする小説を執筆することも予定していたとのこと。

想像地図 どこかで見たような、でも架空の都市

 しかし、次第に「地図を描くこと」が目的になり、小説を執筆するという構想は忘れ去られることに。地図は広がっていき、2006年にSirnokaさんは「このまま続けたら60年後に完成するだろう」という予想を立てたそうです(その根拠についてはよく覚えていないとのこと)。「架空の惑星にある架空の国」という世界観を確定させたのは2010年で、このときに「2048年までに6万〜7万枚の地図を描く」ことが目標に。

想像地図 鉄道網や道路が入り組む都市部

 6万1000枚という具体的な目標が固まったのは2011年。そのためには年間2000枚を描く必要があるという試算でした。その後は描画速度が速まったため、完成目標が2028年に前倒しされています。

 Sirnokaさんによると、2018年8月初めの時点で進捗は約58%となっています。

想像地図 高速道路の設定も作られている

想像地図の作り方

 想像地図は、A4用紙をテープでつないでその上にペンで地図を描き(1万分の1縮尺)、それをPCに取り込んで再配置する(このとき10万分の1に縮尺される)ことで作られています。当初は手描きのみでしたが、枚数が増え、描画済みの場所を把握しきれなくなったためPCに取り込み始めたといいます。

紙に手書きしてからPCへ

 地名は地形を考慮しつつ、現実の地名などを参考にしながら考えているとのこと。日本では地名から苗字がつくケースも多いので、苗字も参考にしているのだそうです。

想像地図 各自治体の設定も公開されている

 想像地図を見ていると実在の県をモデルにしたと思われる土地も見受けられます。Sirnokaさんによると、完全な創作か、実在の県をモデルにしているかの線引きは難しく、「ある部分は○○県をモデルに、別の部分は××県をモデルにした結果、全体としては完全オリジナル的になっている」というケースが非常に多いのだそうです。また、「名前がそれっぽくても、モデルが全然違うケース」もあり、例えば熊本と宮崎が混ざったような名前の「熊崎県」は、実際には愛知と静岡がモデルとなっています。

想像地図 最もオリジナル度が高いかもしれない(Sirnokaさん)のは「椎山県」とのこと
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2503/15/news044.jpg コメダ珈琲店で「軽い食事」を注文 → 出てきた“まさかの実物”に思わず大仰天 「逆詐欺ですね」「軽食という名の主食」
  2. /nl/articles/2503/14/news041.jpg 大阪梅田駅で撮影された“奇跡のような光景”に「今まで見たことない」「本当に贅沢な眺めだ」 全ホームにマルーンカラーが整列
  3. /nl/articles/2503/11/news009.jpg 雑草ボーボーの運動場に“180羽のニワトリ”を放ったら…… 次の日、まさかの光景に「感動しました」「すごい食欲」
  4. /nl/articles/2503/14/news019.jpg ペットのカエルを土に埋め、約半年間放置→掘り返してみたら…… 「すげぇ」予想外の結末に「ほんと不思議」
  5. /nl/articles/2503/09/news003.jpg 「恩師ビックリするやろなぁ」 中学3年で付き合い始めた“同級生カップル”が10年後…… まさかの現在に反響
  6. /nl/articles/2503/15/news054.jpg 106キロの女性、1年かけて約40キロ減量したら…… “別人級”の変化が1740万再生 「尊敬します」「私も頑張る!」【海外】
  7. /nl/articles/2503/08/news018.jpg 使わない靴下をザクザク切って組み合わせると…… 目からウロコの再利用法が2500万再生「とてもクリエイティブ」【海外】
  8. /nl/articles/2503/13/news112.jpg 「ひどすぎて販売中止に」 ウエディングドレスをネットで買ったら大失敗→完璧にリメイクした結果…… 「もはや芸術」
  9. /nl/articles/2503/14/news052.jpg 高3男子、髪を切る間も惜しんで受験勉強を頑張って…… カット後の“別人級の変化”に称賛「コレはモテる」
  10. /nl/articles/2503/11/news017.jpg 着古したマフラーとセーター、切らずに手縫いするだけで…… 春も大活躍のリメイクに「アイデアに脱帽」「素晴らしい」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「本当に迷惑」 宅急便の「不在連絡票」と酷似のチラシが物議…… ヤマト運輸「配布中止申し入れ」
  2. 愛猫が見つめる先にいるのは……? “まさかの来訪者”に思わず仰天 「うそっ?」「お庭に来るんですね!!」
  3. 【べらぼう】“問題のシーン”、「子供に見せられない」 身体張った27歳俳優へ「演技やばくない?」
  4. 壊れて捨てるしかないバケツをリメイクしたら…… 想像もつかない大変身が830万再生「想像力がすごい」【海外】
  5. そうはならんやろ ヤマト運輸公式とLINEで遊んでいたら…… 突然訪れた“予想外の展開”に28万いいね
  6. 「ウソやろ」 松屋の“530円丼”、衝撃的なビジュアルにネット騒然 「コレで良いんだよ丼」「開き直り感がすごい」
  7. ダイソーのセルフレジが「身に覚えのない商品」を認識→“まさかの正体”に大仰天 「そんなことあるんですね」
  8. 余ってるクリアファイル、半分折ってカットするだけで…… 目からウロコな便利グッズに「天才すぎる!」「素晴らしいアイデア」
  9. 「マジで天才」 無印良品から新発売の“350円文房具”に絶賛の声相次ぐ 「便利すぎる!」「これはいい」
  10. 「スト6」の公式世界大会で福島県のチームに所属する「翔」が優勝 賞金100万ドル獲得
先月の総合アクセスTOP10
  1. 最初に軽く結ぶだけで…… 2000万再生された“マフラーの巻き方”に反響「これは使える」「素晴らしいアイデア」【海外】
  2. コメダ珈琲店で朝、ミックスサンドとコーヒーを頼んだら…… “とんでもない事態”に爆笑「恐るべし」「コントみたい」
  3. パパに抱っこされる娘、13年後の成人式に同じ場所とポーズで再現したら…… 「お父さん若返った?笑」「時止まってる」2人の姿に驚き
  4. 和菓子屋で、バイトの子に難題“はさみ菊”を切らせてみたら……「将来有望」と大反響 その後どうなった?現在を聞いた
  5. 古いバスタオルをザクザク切って縫い付けると…… 目からウロコの再利用に「すてきなアイデア」【海外】
  6. 「14歳でレコ大受賞」 人気アイドルがセクシー女優に転身した理由明かす 家族、メンバー、ファンの“意外な反応”
  7. 希少性ガンで闘病中だったアイドル、死去 「言葉も発せないほどの痛み」母親が闘病生活を明かす
  8. “きれいな少年”が大人になったら→「なんでそうなったw」姿に驚がく 「イケメンの無駄遣い」「どっちも好きです!笑」
  9. ドブで捕獲したザリガニを“清らかな天然水”で2週間育てたら…… 「こりゃすごい」興味深い結末が195万再生「初めて見た」
  10. 芸能界引退した「ショムニ」主演の江角マキコ、58歳の近影にネット衝撃「エグすぎた」 突然顔出しした娘とのやりとりも話題に