「正直疲れてしまった」 五輪ボランティアを巡る「ネット工作説」はいかにして広がったか “診断メーカー”作者が明かした苦悩(2/3 ページ)
その後もOさんの「ネット工作始まったな」のツイートのRT数は増え続けます。しかし、Oさんはそんな様子を見ながら、徐々に違和感を覚えるようになっていったといいます。
「1万RTくらいまでは笑って見ていられましたが、3万RTあたりで『?』となるような引用ツイートが増えてきました。著名人の方もRTしていたようですが、濁流のような通知欄でそれを追うことは私にはできませんでした。『ネット工作』というキーワードにここまで皆が反応するとは思いもしませんでした」(Oさん)
Oさんはさらに続けます。
「5万RTを過ぎたあたりで『診断メーカーがこのコピペの原因』というツイートを見るようになりました。それは明らかに違うのですが、私としては『どうせ沈静化するだろう』と思っていた節はあります。ただ、思ったよりもその人数が増えていっているような印象はありました」(Oさん)
このころになると、もはや最初の投稿文面は“大喜利”化しており、もはやどれが工作でどれが便乗なのか分からない状態になっていました。その中にはもちろん、Oさんが作った診断メーカーの利用者も含まれていました。
また、このあたりから複数のニュースサイトが「工作が行われている」としてこれを取り上げ、話題はTwitterの外にも広がっていきます。中には「恐ろしいまでに大規模なステマが始まったということは明白」(netgeek)など断定型で報じるサイトもあり、あくまで“疑惑”段階だったはずの「ネット工作説」はいつのまにか“確定”したものとして報道されるようになっていきました(他にも複数のまとめサイトやニュースサイトが断定型で報じているのを確認)。
実は工作ではなかった? 批判の矛先はフォロワーにも
しかし、Oさんの投稿が7万RTを超えたあたりで、今度は「工作ではなかったのでは」と指摘するブログが現れ注目を集めます(現在は騒動が沈静化したため削除済み)。
主な根拠としては、そもそもオリジナルの「ボランティア応募ツイート」は最初に話題になった2件だけで、「工作」だったとしたら少なすぎる、あるいはたまたま2つのアカウントを使い分けている人が同じ内容を両方のアカウントでツイートしただけなのでは――といったもの。もちろんあくまで推測ですが、それを言えば最初の「工作説」も同じく推測でしかなく、これがきっかけで一気に流れが変わり、「工作説」はまたたく間に勢いを失っていきました。
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