「正直疲れてしまった」 五輪ボランティアを巡る「ネット工作説」はいかにして広がったか “診断メーカー”作者が明かした苦悩(1/3 ページ)

現在は「工作ではなかった」説が優勢に。編集部でも検証しましたが、工作を裏付ける証拠は見つかりませんでした。

» 2018年08月31日 08時00分 公開
[池谷勇人ねとらぼ]

 2020年東京オリンピック・パラリンピックのボランティア応募を巡って、Twitterで「ネット工作」疑惑が持ち上がり、一時混乱が広がりました。騒動の中、この「工作疑惑」をネタにした“診断メーカー”(TwitterのIDを入力すると、ランダムでさまざまな診断テキストが出力されるサービス)も作られましたが、作者は最終的に「余計なことをしてしまった」としてこれを削除しています。

 本当に「ネット工作」があったかどうかは今もって不明ですが、なぜ作者(仮にOさんとします)は診断メーカーを削除しようと思ったのか。どのように「工作疑惑」が広がっていったのかと併せて、本人に聞いてみました。


オリンピック ボランティア 工作疑惑 診断メーカー「君はオリンピックのボランティアになれるか」(現在は削除済み)

「ネット工作始まったな」――きっかけは不審なツイートから

 そもそもの発端は、8月16日夜のほぼ同時刻(実際には20分差)に、ほとんど同じ内容の文章をツイートしている2つのアカウントが見つかったことでした。どちらも「オリンピックのボランティアに一般枠で申し込んだ」という内容で、文面も冒頭の一部を除いて完全に一致していました。


オリンピック ボランティア 工作疑惑 話題になっていたツイート(現在はどちらも削除済み/モザイク加工は編集部によるもの)

「自分磨きの一種?として2020年のオリンピックボランティアに応募することにしました! 語学とかはさすがに無理だから一般枠で応募します! 意気込みとか書く場所ないから悩まなくていいのありがたい ただ私には大したスペックがないんだよね…」


 これを受けて、ネット上ではたちまち「オリンピックの関係者が、ボランティア志願者を後押ししようとしているのでは」という“工作疑惑”が持ち上がることに。Oさんもかなり初期にこのツイートを発見し、画像とともに「ネット工作始まったな」とツイートしていました。

 その後、Oさんの投稿はかなりの勢いで拡散され、やがてフォロワーが面白がって上記ツイートの文面をコピペして投稿するように。これを見て「診断メーカーにしたら面白そう」「そもそもステマがくだらないツイートでぐちゃぐちゃにされるのは面白いじゃないか」と思ったのが、診断メーカーを作ったきっかけでした。


オリンピック ボランティア 工作疑惑 特に印象的だったフレーズ「自分磨きの一種?として」は一時Twitter上で爆発的に流行(Yahoo!リアルタイム検索より)

「例のツイートはたまたま『オリンピック ボランティア』などで検索していて見つけました。その後のツリーにぶら下がっている文言まで一緒なのを見て、安倍首相を持ち上げる“M軍団(※1)”クラウドワークスの案件(※2)が頭をよぎりました」(Oさん)

※1:安倍晋三首相のツイートに一時期頻繁にリプライを送っていた不審なアカウント群のこと。なぜか名前の末尾に共通して「M」のマークが入っていたことから「M軍団」と呼ばれていた(Togetter
※2:特定の政党を支持、あるいは批判する記事の作成依頼がクラウドワークス上で発見され話題になった件。クラウドワークスはこの件を受け、政治系ブログの記事作成案件の掲載を停止した(関連記事


       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」