ついにサービス終了のポケベル、今も使っている人に「何に使っているのか」聞いてみた

いろんな使われ方がある。

» 2018年12月07日 17時30分 公開
[宮原れいねとらぼ]

 2019年9月30日、ポケットベル(ポケベル)を利用した個人向け無線呼び出しサービスが終了します(関連記事)。同サービスを現在、日本で唯一提供している東京テレメッセージの発表によると、契約者の数は現在1500人を下回っているとのことですが、ネットではむしろ「まだ動いてたのにびっくり」と驚く声も多くみられました。


ポケベル サービス終了  利用者 使い方 目覚まし D-FAX 全盛期の1996年には契約数(※東京テレメッセージ)が120万を超えていたというポケベル

 そこで、編集部のTwitterで呼びかけるなどして今も使っている人を探してみた結果、2人のポケベル利用者の方から「何に使っているのか」などのお話を伺うことができました。利用者の割合や端末のことを考えると、使えるポケベルを所持しているというだけでも貴重に感じられる……。



 ちなみに募集ツイートのリプライ欄では「山奥の農家が使ってるんじゃないか説」や「災害時や病院などで活躍している説」などが推測として寄せられていましたが、今回のお2人の使い方はそれらの角度とはちょっと違っていました。


「現役でポケベルを使っている人に聞いてみた」1人目 〜398Mさんの場合〜

 1人目は、Twitterで見つけて声を掛けた398M(@6000JR)さん。最初に言ってしまうと、398Mさんは“目覚まし”としてしか使っておらず、厳密には“ポケベルとしての契約”はしていませんでした。



―― いつから使っていますか?

398Mさん:去年から使っています。

―― どんなきっかけで使い始めたんですか……!?

398Mさん:父からもらいました。たしか親の実家に帰った時に見つけて、そのままもらった感じですね。タンスの中で眠ってた感じです。

―― 使っている機種は?

398Mさん:三菱電機「Bellcome」です。



―― 目覚ましに使っているとツイートで書かれていましたが、ポケベル本来の使い方はしていましたか。

398Mさん:時計として使っていますが、送受信はしたことはないです。恐らく、とっくの昔に契約は解除していたかと……。

―― 契約者1500人未満と聞いてどう感じましたか。

398Mさん:思っていたより多いと思いました。

―― ポケベル終了で今後困ることはありますか?

398Mさん:少し使ってみたい気持ちもあったので残念です。今後も、時計として使い続けたいと思っています。




 個人向け無線呼び出しサービス終了後、ポケベル端末が使われることがあるとすれば、このシンプルな時計としての使用が一番あり得そうです。全盛期当時、お父様へのメッセージを受信して鳴っていたポケベルは、これからも398Mさんを起こすために鳴り続けるのでしょう。それだけに、鳴らないと困る気持ちは共通していそうです。


「現役でポケベルを使っている人に聞いてみた」2人目 〜芒果豆腐花さんの場合〜

 2人目の芒果豆腐花(@hongkong_blog)さんは、今でも実際に使っているとねとらぼに名乗り出てくれた方で、伺うと“ある1つのサービス”として長く利用されていました。

―― 何に使っていますか?

芒果豆腐花さん:D-FAX(※)」を使っているので、FAXを受信した際に鳴ります。それだけの利用です。

※D-FAX……Faxをメールで受信できる、東京テレメッセージのインターネットFaxサービス



―― いつごろから利用していた?

芒果豆腐花さん:いつから利用してたか忘れましたが、NTTコムで060サービスが終了してから、D-FAXに切り替えましたので、結構長く使ってると思います。

―― 060サービスが終了してからということは、2010年ごろでしょうか。

芒果豆腐花さん:それくらいで合ってます。D-FAXは東京テレメッセージのサービスですが、Webサイトを見てもサービス終了のアナウンスは出てないですね。


ポケベル サービス終了  利用者 使い方 目覚まし D-FAX 芒果豆腐花さんが使用しているポケベル(芒果豆腐花さんのツイートより)

―― 維持費はどれくらいでしたか?

芒果豆腐花さん:これは無料です。D-FAXのポケベルは020番号が付与されているので、FAXを送信した側が割高な通話料を支払っています。当方は月額維持費は一切掛かりません。このポケベルもD-FAXからもらったものです。

―― 実際に使っていてどのあたりが便利でしたか。

芒果豆腐花さん:どこに居てもFAX着信を即時知ることができるという点です。ただこのポケベル、単四アルカリ電池1本入れるんですけど、意外と持ちが悪いんです。待ち受けだけで3週間持てばいい方です。1回でも鳴ればさらに持続時間が短くなります。

―― 意外と持たないものなんですね……。ポケベル終了で今後困ることはありますか。

芒果豆腐花さん:ポケベルがなくなっても不便はないです。D-FAXはメール添付でFAXが送られてくるので、特段不自由はしないでしょうね。




 東京テレメッセージの「D-FAX」は、Fax機器がなくてもメールでFaxの受信を行えるようになり、受信料金も無料という、Faxを日々使う方には便利なサービス。芒果豆腐花さんの利用するポケベルは、その中の「D-FAX着信通知」というお知らせサービスのようで、POCSAG方式(※通信方式)の端末が登録者に配布されているようです。

 それぞれ少し思わぬ方向の利用報告でしたが、ポケベル全盛期以降も実際に使われており、現在でも人によって違う理由で利用され続けていることがわかりました。どちらも必須とまではいきませんが、それでも使われ続けていたのは、その受信専用という限られた性能により小さくまとまった端末のおかげかもしれません。これでポケベル本体が大きかったら、きっと使われていなかったでしょう。

 今後はその無線呼出サービスの「受信力」という強みを生かし、防災無線等の地方自治体向け情報配信サービスに注力していくと発表した東京テレメッセージ。ポケベルは来年の新元号まで“使われていた”サービスとして歴史に残り、より大事な通信サービスとして形を変え、これからもどこかで誰かのために情報を知らせるベルを鳴らすのかもしれません。


398Mさん提供、「Bellcome」画像・動画集


ポケベル サービス終了  利用者 使い方 目覚まし D-FAX

ポケベル サービス終了  利用者 使い方 目覚まし D-FAX

ポケベル サービス終了  利用者 使い方 目覚まし D-FAX

ポケベル着信音1

ポケベル着信音2

ポケベル着信音 ラストクリスマス

ポケベル着信音 未来予想図

ポケベル着信音 星に願いを

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2503/25/news050.jpg 初めて夫の実家に挨拶した妻、初々しかった表情が9年後…… “そうはならんやろ”な変わりっぷりが1150万再生
  2. /nl/articles/2503/23/news042.jpg ニットで口元が隠れた赤ちゃん、そっと脱がせてみると…… “想像を超える”表情が2300万再生「心に刺さった」「今まで見た中で1番!」【海外赤ちゃん記事3選】
  3. /nl/articles/2503/24/news034.jpg 「多分日本で1位、2位を争う」 3児のママが書いた“通園経路図”がすごい! 「えーめちゃ最高ですね」「中高生だったら溜まり場」
  4. /nl/articles/2503/23/news036.jpg サイゼリヤのメニューを片っ端から注文→10人がかりで完食したら…… 驚がくのレシートに「やすぅ」「すごすぎ」
  5. /nl/articles/2503/23/news033.jpg 段ボールに切れ込みを4つ→“信じられない変形”をするライフハックに80万再生の反響 「今世紀最高の技だ」
  6. /nl/articles/2503/25/news066.jpg 「なんだこの暗号は……」 マクドナルドの“大人だけが読めるメッセージ”が410万表示「懐かしい〜」「読める人同世代w」【マクドナルド面白投稿まとめ】
  7. /nl/articles/2503/25/news047.jpg セリアのクッションカバーを2枚縫い合わせるだけで…… “まさかの完成品”に「なるほど!」と驚きの声
  8. /nl/articles/2503/24/news181.jpg つるの剛士、大学卒業式で判明した“本名”が珍しすぎて読解困難 証書に書かれた一文字へ「難しい漢字だったの忘れてました」「鶴じゃなくて」
  9. /nl/articles/2503/25/news028.jpg 「これはうれしい」 引っ越しのあいさつでもらった手土産、開封したら…… “センス抜群の中身”に「参考にしたい」
  10. /nl/articles/2503/25/news039.jpg ドイツ人女性「今まで自分で髪を切っていた」→日本で“美容室”を初体験すると…… “印象激変”のビフォアフに仰天「生まれ変わったみたい」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「うそでしょ!?」 東京ディズニーランド、“老舗”レストランの閉店を発表 「とうとう来てしまったか」「いやだああああ」と悲しみの声
  2. Koki,、豪邸すぎる“木村家の一室”がウソみたいな広さ! 共演者も間違えてしまうほどの空間にスタジオビックリ「コレ自宅!?」「ちょっと見せて」
  3. 息子の小学校卒業で腕を組んだ34歳母→中学校で反抗期を迎えて…… 6年後の姿に反響 「本当に素敵!」「お母さん、変わってない!?」
  4. プロが本気で“アンパンマンの塗り絵”をしたら…… 衝撃の仕上がりが550万再生「凄すぎて笑うしかないw」「チーズが、、、」 話題になった作者に話を聞いた
  5. ディズニーランドがオープンした1983年当時、カップルだった2人→37年後…… 目頭が熱くなる現在の姿に感動
  6. ニットで口元が隠れた赤ちゃん、そっと脱がせてみると…… “想像を超える”表情が2300万再生「心に刺さった」「今まで見た中で1番!」【海外赤ちゃん記事3選】
  7. 水族館のイカに“指でハート”をしてみたら… “まさかのお返し”が190万表示「こ、こんなことあるのか」
  8. 「ひどすぎ」 東京ディズニーランドで“約100人のドジャースファン”が一斉に“迷惑行為” 「やめてほしい」と物議
  9. 19万8000円で購入した超高級魚を、4年間育てたら…… ド肝を抜く“大変化”に「どんどん色が」「すごい」
  10. 初めて夫の実家に挨拶した妻、初々しかった表情が9年後…… “そうはならんやろ”な変わりっぷりが1150万再生
先月の総合アクセスTOP10
  1. 最初に軽く結ぶだけで…… 2000万再生された“マフラーの巻き方”に反響「これは使える」「素晴らしいアイデア」【海外】
  2. コメダ珈琲店で朝、ミックスサンドとコーヒーを頼んだら…… “とんでもない事態”に爆笑「恐るべし」「コントみたい」
  3. パパに抱っこされる娘、13年後の成人式に同じ場所とポーズで再現したら…… 「お父さん若返った?笑」「時止まってる」2人の姿に驚き
  4. 和菓子屋で、バイトの子に難題“はさみ菊”を切らせてみたら……「将来有望」と大反響 その後どうなった?現在を聞いた
  5. 古いバスタオルをザクザク切って縫い付けると…… 目からウロコの再利用に「すてきなアイデア」【海外】
  6. 「14歳でレコ大受賞」 人気アイドルがセクシー女優に転身した理由明かす 家族、メンバー、ファンの“意外な反応”
  7. 希少性ガンで闘病中だったアイドル、死去 「言葉も発せないほどの痛み」母親が闘病生活を明かす
  8. “きれいな少年”が大人になったら→「なんでそうなったw」姿に驚がく 「イケメンの無駄遣い」「どっちも好きです!笑」
  9. ドブで捕獲したザリガニを“清らかな天然水”で2週間育てたら…… 「こりゃすごい」興味深い結末が195万再生「初めて見た」
  10. 芸能界引退した「ショムニ」主演の江角マキコ、58歳の近影にネット衝撃「エグすぎた」 突然顔出しした娘とのやりとりも話題に