満足度は驚異の95% “大人のキッザニア”仕掛け人が「大人に伝えたかったこと」は何か聞いた(1/2 ページ)

あえて不親切なつくりにすることで、“究極の生きる力”を磨く。

» 2018年12月22日 11時30分 公開
[Kikkaねとらぼ]

 “子どもが入場できない”ことで話題を呼んだ「大人のキッザニア」、運営会社に開催の狙いを聞きました。仕掛け人が大人たちに伝えたかった「子どもの生きる力を育む」こととは――。


キッザニア 大人が本気で職業体験に取り組んだ大人のキッザニア

 3歳から15歳の児童を対象している子ども向けの職業体験施設「キッザニア」は、世界20カ国で26の施設(2018年12月現在)を展開しており、2006年には日本に上陸。現在は東京(東京都江東区)甲子園(兵庫県西宮市)の2つをKCJ GROUPが運営しています。


キッザニア キッザニア甲子園が入っているららぽーと甲子園

 そんなキッザニアの特徴は、「こどもが主役の街」であること。大人は子どもの付き添いで入場することもできますが、職業体験は子どもしかできません。そのため以前から「大人もやってみたい」という声が上がっており、今回の開催につながりました。


キッザニア 大人気だった大人のキッザニア

仕掛け人が語る「大人に伝えたかったこと」

 仕掛け人は「キッザニア甲子園事業部」で副事業部長を務める林実さん。キッザニア内では“ミゲール”の愛称で親しまれています。


キッザニア KCJ GROUPの林実さん

――「大人のキッザニア」を企画されたきっかけを教えてください。

キッザニアは「子どもを連れてこなければ入れない施設」のため、子どもと関わりのない大人からすると“謎の施設”という印象がありました。また子どもと一緒に入場したとしても、大人はパビリオンの中に入れないため、ガラス越しで体験を見守ったり、子どもから伝えてもらわないと、どんなやりとりを経て、どんな体験をしているのか分からないんです。そこで「“子どもの生きる力を育む”というキッザニアのコンセプトをより多くの方にお伝えできれば」と、甲子園オープン10周年を機に大人のキッザニアの開催を決めました。


キッザニアキッザニア オープン10周年を迎える「キッザニア甲子園」

――先ほど“子どもの生きる力を育む”という言葉が出ましたが、具体的にはどういったことでしょうか。

子どもたちがさまざまな体験を通じて自分たちで考えたり、学んだり、困ったりも含めて、自立心や自信を持ってもらうということです。

――あらためて、キッザニアの魅力はどんなところにありますか。

非日常でありながら、日常であるというところです。他のテーマパークや遊園地は非日常で夢を楽しむのが醍醐味ですが、キッザニアでは限りなくリアルな街を3分の2で再現して、現実を体験してもらえるように心掛けています。ですから、消防車などの車が通行したりもして、「万が一ぶつかってしまったら危ないから車道の真ん中は歩かないほうがよい」ということも学べるようになっています。


キッザニア 施設内では救急車も走行

キッザニア 消防車や

キッザニア

キッザニア ヤマト運輸の宅配トラックも

キッザニア 施設内を走行

――私も今回初めてキッザニアにやってきたので、働いたらお金がもらえたり、ATMから(キッザニア内の通貨を)引き出せたりとリアルで驚きました。街並みもかなりリアルですよね。

リアルさには本当にこだわっています。例えばキッザニアの中には「トイレはここです」といった看板が本当に少ないんです。今リアルの世界では携帯電話があれば何でも調べられるかもしれませんが、携帯電話を持たず、知っている大人も少ないという中で、どうやったら伝えられるのか、どうやったら答えを見つけられるのかを学ぶことが究極の“生きる力”体験だと考えています。現在「知らない大人と話してはいけない」と子どもに教育することが増えていますが、安全なキッザニアの中では、もしも困ったことが起きた場合には、知らない大人であるスタッフに自分から話しかけてもらうことで、道が開けるという経験をしていただきたいという考えで、あえて不親切な作りにしています。


キッザニア リアルな町並みが表現されている施設内

――「大人も体験したい」という声は以前からあったのでしょうか。

オープンした10年前からそうしたお声はいただいていて、今回の開催が決定すると「待っていました」という意見もありました。


キッザニア 働くともらえる報酬“キッゾ”はATMでの管理も可能(大人のキッザニアではATMの利用は制限されていました)

――反響が大きかった分、戸惑いの声もいくつか上がっていたそうですね。

10年間、キッザニアに通ってくださっているコアな方からは、「私たちのキッザニアをそんなに簡単に開放してしまうのか」という声も一部いただきました。オープン当初から大事にしてきたコンセプトを、大人が楽しむためだけに変えてしまうのかという戸惑いがあったようです。しかし、あくまでもコンセプトは一切変えておらず、大人用に何かをアレンジすることもなく、子どもたちがどのように体験を通して「難しい」と感じたり、「チームで働くことでこんな達成感があるのか」、ということを童心に帰って感じていただくという意図があって開催しますと説明すると、皆さんご理解してくださっていました。

――チケットは予約受付当日に即日完売となりましたが、大人からの注目度の高さは予測していましたか。

ここまで反響をいただくとは全く予想していませんでした。今回のイベントは「キッザニアをあまりよく知らない方に来ていただこう」と企画したものですが、その反面、そういった方々が「有料で体験しよう」というモチベーションになりにくいのではと考えていたので、短時間にこんなに多くの方に興味を持っていただけたことは驚きでした。

――お客さんの年齢層についてはいかがでしょうか。

16歳の高校生から50代後半の方まで幅広い年齢層の方がチケットを購入してくださいましたが、20代が4割強、30代が2割強と、予想以上にお若い方の来場が多い結果です。キッザニア甲子園をオープンさせて10年ですが、オープン当時16歳以上になっていた方々(キッザニアは3歳から15歳までが対象)が「行けるんだったら行ってみよう」と来てくださっているのかなと感じました。また入場時にカップルの方が多かったのも意外でした。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/17/news039.jpg 母犬に捨てられ山から転げ落ちてきた野良子犬、驚異の成長をみせ話題に 保護から6年後の“現在”は……飼い主に話を聞いた
  2. /nl/articles/2411/13/news167.jpg 砂が入り交じった汚い石 → 磨いたら……? “まさかの正体”に仰天! “200万円相当”の成果に「すごい」「私だったら気が狂う」【豪】
  3. /nl/articles/2411/17/news048.jpg 「すごっwww」 愛知県まで乗り換えなしで行ける都道府県を調べてみたら……驚きの結果が1000万表示 「日本の中心は愛知ってコト!?」
  4. /nl/articles/2411/18/news017.jpg 約2センチの「まりも」を本気で育てたら2年後…… 想像をはるかに超えた“衝撃の姿”に「こんなに大きくなるの!?」「成長条件知らなかった」
  5. /nl/articles/2411/18/news033.jpg 四角いハギレを全部つなげていくと…… プロの大胆リメイクで“便利グッズ”完成!「目からウロコ」「配色かわいい」
  6. /nl/articles/2411/16/news007.jpg まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  7. /nl/articles/2411/17/news029.jpg 沖縄の離島で夜の海を歩いたら…… “まさかの生物”に遭遇しまくり大興奮! 「巨大生物祭りですね」「高級食材いっぱい」
  8. /nl/articles/2411/18/news025.jpg “無給餌”で育てたメダカが2年後、驚きの姿に→さらに半年後…… 放置しておいたビオトープで起きた“奇跡”に「ロマンを感じる」
  9. /nl/articles/2411/18/news013.jpg 寝たい柴犬→お気に入りのクッションに“まさかの”先客が…… 激しい奪還戦に「卑怯なりw」「容赦ないwww」
  10. /nl/articles/2411/16/news013.jpg 自宅のウッドデッキに住み着いた野良の子猫→小屋&トイレをプレゼントしたら…… ほほ笑ましい光景に「やさしい世界」「泣きそう」の声
先週の総合アクセスTOP10
  1. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  2. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  3. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  4. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」
  5. イモト、突然「今日まさかの納車です」と“圧倒的人気車”を購入 こだわりのオプションも披露し光岡自動車からの乗り換えを明かす
  6. 「この動画お蔵かも」 親子デートの辻希美、“食事中のマナー”に集中砲火で猛省……16歳長女が説教「自分がやられたらどう思うか」
  7. 老けて見える25歳男性を評判の理容師がカットしたら…… 別人級の変身と若返りが3700万再生「ベストオブベストの変貌」「めちゃハンサム」【米】
  8. 「ガチでレア品」 祖父が所持するSuica、ペンギンの向きをよく見ると……? 懐かしくて貴重な1枚に「すげえええ」「鉄道好きなら超欲しい」と興奮の声
  9. 「デコピンの写真ください」→ドジャースが無言の“神対応” 「真美子さんに抱っこされてる」「かわいすぎ」
  10. 「天才」 グレーとホワイトの毛糸をひたすら編んでいくと…… でっかいあのキャラクター完成に「すごい」「編み図をシェアして」【海外】
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた