ネットでつながるサウナ愛 国内初&最大のサウナポータル「サウナイキタイ」はなぜ生まれ、どうサウナ人気を支えていくのか:【特集】ネットと銭湯サウナ(1/3 ページ)
「サウナ」とググると一番上に表示される、国内最大のサウナポータルサイト「サウナイキタイ」。開設1年でここまで愛用されるようになったのはなぜか、運営側の立ち上げに対する思いはどのようなものか。創案者2人への1万字インタビュー。
4人のサウナ好きが有志でスタートさせ、オープンからまだ1年ちょっとにもかかわらず、Googleで「サウナ」と検索すると1番上に来るようになった注目サイトがある。全国のサウナ施設を5000件以上網羅した、日本初のサウナ情報ポータルサイト「サウナイキタイ」だ。
サウナが設置された銭湯やスパの名前とその場所を1つのサイトから探し出せるだけでなく、その最大の特長は、サウナのマニアックな情報を共有し合える点にある。
各サウナの紹介ページでは、サウナ室や水風呂の温度に始まり、サウナの種類、テレビの有無、水風呂の深さ、休憩スペースの有無、休憩イスの数まで、さまざまなきめ細かいデータを利用者自身の手で打ち込めるようになっている。他の利用者は検索時に各項目をフィルタリングすることで、理想のサウナを簡単に探せる。サウナーにはたまらない夢のサービスだ(サウナー:サウナ好きの総称)。
実は「サウナイキタイ」が登場するまでは、各地のサウナの情報をここまでしっかり集約したサイトは存在しなかった。例えば銭湯にサウナがあるかどうか確認したい場合は、施設の公式サイトまで行っていちいち確認しなければならなかった。交互浴に必須な水風呂があるかどうか書かれていない場合は、Twitterやブログなど口コミを頼らざるえない。理想のサウナ探しに不便な状況が続いていた。
この1年でサウナイキタイに入力されたサウナデータは約2800件。2018年4月にはサウナの入浴体験を記録して共有する「サ活」もスタートし、すでに2万7000件ほどサウナ体験が投稿されている。ネットという場を有効的に活用しながらよりサウナを楽しめる、そんなサウナ界の港として、昨今のサウナ人気のさらなる盛り上げ役を担っているのは間違いない。
そんなサウナイキタイは、どのようなサウナ愛を持って立ち上げられ、ここ1年でどのような変遷をたどってきたのか。また現代のネット社会において、サウナという、一般的にはスマホを持ち込むことができない場所の人気が高まっている現象について、“サウナーをネットでつなぐ”ポータルを作った人たちはどのように考えるのか。
サウナイキタイの創案者である2人、代表兼エンジニア担当のありさん(@arieee0)、デザインやSNS担当のかぼちゃさん(@kabochao)に話を聞いた。
ひそかに理想のサウナデータベースを作っていた2人
――2017年11月にティーザーサイトがオープン、12月に正式オープンしたわけですが、そこからずっと4人で運営されているんですか?
あり: そうですね。最初はぼくとかぼちゃさんの2人だったんですが、運営にあたってもう2人のエンジニア、ゆかりさん(@yukari37z)とひぎつねさん(@higitune)に加わってもらいました。4人とももともとWeb畑の人間であり、みんなサウナ好きです。ぼくは普段もエンジニアをしていて、サウナイキタイではバックエンドのシステム部分などを手掛けています。
かぼちゃ: ぼくは会社ではHTMLとかを書いています。サウナイキタイではデザインとフロントエンド、SNS運営、マガジンやストアを担当していますね。
――2人は普段、サウナにどれくらい行くんでしょうか。
あり: 今だと週3〜5ぐらいですね。武蔵小山の清水湯や大崎の金春湯あたりが多いです。
かぼちゃ: ぼくは週5、6です。笹塚のマルシンスパや下高井戸の月見湯が多いですが、池袋西口の池袋プラザもよく行きます。
――年の3分の2はサウナに行くってすさまじい……そんな2人が、どういう経緯でサウナイキタイを作ることになったんでしょう?
あり: もともとお互いサウナ好きとしてSNSで知り合いだったんです。2017年9月のある日、ぼくがフィンランドのサウナに行ったときの写真をSNSにあげたところ、かぼちゃさんから「話を聞きたいから1回サウナ行きませんか?」と連絡が来たので、鶯谷の萩の湯へ2人で行きました。サウナオフ会ですね。
で、休憩室でフィンランドの写真見せたりサウナの話をしたりしながら、ぼくが個人でひそかに作っていたサウナのデータベースサイトを見せたんです。するとかぼちゃさんも「ぼくも作っている」と食いついてくれて。
かぼちゃ: サウナの情報があっちこっちに散らばっている状況に不満があって、ぼくも個人で、ほぼ今のサウナイキタイに近いようなサイトを作っていたんです。@nifty温泉のような温泉のデータベースサイトはあるのに、サウナ版がないのはなんでなんかな、誰もやらないんかな、じゃあ自分がやろう、みたいな流れで。
するとありさんもほぼ同じようなコンセプトのサイトを手掛けていたことがわかって。しかもぼくはデザインがメインだったのに対し、ありさんはシステム中心とそれぞれ別の分野に力を入れていたんです。じゃあ一緒にやろう、と次の日には2人で作り始めました。
あり: 三日後に打ち合わせをスカイスパで、と解散しましたね。
――バンドの結成秘話みたいですね。コンセプトが同じだった、というのは?
かぼちゃ: 食べログのようにレビューや口コミがメインのサイトではなく、とにかくフラットなデータベースを作ろうと思ったんです。
あり: いいサウナというのは人それぞれ違うので、点数化したくなかったんです。水風呂の温度やサウナ室の温度室温のセッティングに重きを置く人もいるし、サウナで頭をすっきりさせてから仕事をしたいのでWi-Fiや電源設備が必須っていう人もいる。サウナ後のビールが最高だから食事処を重視する人もいます。
そうした自分好みのサウナが、近くでどこにあるか、行きつけ以外にもあったりするのか。ちゃんと項目でフィルタリングして検索できるサイトを目指そうと意気投合しました。
――サウナイキタイを初めて見たとき、検索項目の多さには本当に驚きました。休憩イスの数も、内風呂と外スペースに何個ずつあるのかまで調べられるってやばいなぁと。
あり: 項目はむしろ削ったくらいだったんですよね(笑)。何をデータにするかは、最初にスカイスパでかぼちゃさんとすごーく話し合いました。かなり数を出した後で、これだと項目が多すぎてユーザーさんに負担を強いすぎてしまう、入力してもらえなくなるかもしれない、と減らしていった結果、今の項目になりました。
かぼちゃ: 本当は湿度も入れたいんですけどね(笑)。
――全国のサウナ施設の名前と場所だけが箱のように用意されていて、そこへみんなで細かい情報を打ち込んでいく仕組みも楽しいですよね。
あり: データベース作りは全国のサウナーさんの協力なくしては無理だと思っていたので。オープン時には全国4420件のサウナ施設マップを用意しましたが、それができたのはサウナ愛好家のひろぽんさん(@hirohiro3)のおかげです。日本のサウナマップを作るため、全国の施設にドライサウナがあるかどうか9カ月かけて電話をかけ続けたすさまじい情熱を持つ方で。サウナイキタイでもその全国版サウナマップを使わせていただきました。
――9カ月……なんという猛者。
かぼちゃ: コンセプトを固めた後、ありさんの知り合いかつサウナ好きなだった2人に手伝ってもらえることになりました。
あり: システム部分は2カ月で作って……サウナがあるところで合宿もしたり、朝からサウナで集まって作業したりと、サウナも楽しみながらがっつり作っていきましたね。
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