メールを送られると「俺の事好きなのかも」と勘違いしてしまう現象 「かぐや様は告らせたい」4話(1/2 ページ)
藤原書記の才能が光る回でした。
恋愛は告白した方が負け! 「かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜」(原作/アニメ)は、相手から自分に告白させるためにあらゆる知力体力を用いて戦うエリートたちを描いたラブコメディー。とっても愛しくてとっても面倒くさい少年少女の、青春の無駄遣い物語。
ところで、3話特殊エンディング「チカっとチカ千花」はご覧になりましたでしょうか。期間限定公開されていますので、見てない人は今すぐ見ましょう。見た人はもう一度見ましょう。音楽をやっていた藤原書記のリズム感の良さがよくわかる上に、原作ネタてんこ盛りです。
猫耳の非日常
財閥の令嬢にして生徒会副会長、四宮(しのみや)かぐや。努力家の生徒会会長、白銀御行(しろがね・みゆき)。2人は自らの意地とプライドにかけて、自分からは告白しない、相手に告白させる、と心に決めて戦い続けている間柄。
今回はフランスの姉妹校との交流準備編。といってもさほど今までとは大きく変わりません、二人の頭の中は、気になる相手のことでいっぱいで、フランスどころじゃない。
藤原書記の発案で、おもてなしといえばコスプレ、という謎理論で猫耳をお互いがつけるシーンがあります。確かにフランスのごくごく一部では日本のコスプレ文化が有名ですが、みんながしているわけじゃないぞ藤原書記。
どんなに理性的で気が強いかぐやと言えども、強引に場を回す藤原書記には大抵勝てません。猫耳を着用するはめに。これが、爆弾だった。
普段ツンケンして飾り気のないかぐやに、猫耳。白銀御行の心に激震が走る。
ナレーション「この世には組み合わせるべくして生まれてきたと言っても過言ではない関係が存在する」「奇跡的相性(マリアージュ)!!」「白銀キまる!!」
これは混乱するのもしょうがない。そもそも白銀が猫大好き人間なのもあって、「かわいい」の嵐が脳を混乱させます。
その一方で御行が猫耳をつけたとき、同様にかぐやも大パニック。「奇跡的相性!!」そ、そうかな……?
パーツひとつをつけたことによる「非日常」で、すっかり本能がダダ漏れになる二人。いつもは我慢して駆け引きしているのに、今回は駆け引きできていません。
特に御行は、イベントになるとテンションがあがり、熱血漢っぷりと(いい意味での)中二病っぷりを全開にする人間。心が高ぶるスイッチがオンになることって、すごく人生を楽しんでいるってことだと思う。
メールを送り合う日常
一方で、かぐやはお嬢様すぎて、一般的な日常を知らない一面を持っています。準備のための買い物で連絡を取り合うということで、ケータイ(かぐやはガラケー、御行はスマホ)でメールのやりとりをすることになりますが、そこでの動けなさがいかにもかぐや。
最初にメールを送るというのは「貴方と交流したいです」という宣言でつまり告らせ合戦のパワーバランスに云々。面倒くさい。まあでも中高生時代って「俺の事好きなのかも」現象は、大いにあるのでわからんではないですが、送る前に考えることではない。この回は意外にも、御行側はあまり考えていないようで、余裕があります。
告らせ合戦は基本学校の生徒会室で行われます。そこではお互い全力勝負。手加減はありません。しかしこと学校外、特に双方の家にいる状態となると、ちょっと状況が変わってきます。
もちろん御行側も、ある程度オフェンスな行動を取ります。ただ、日常の一般的なレベルが違うため、向き合い方が必ずしもかみ合うとは限らない。彼もかぐやの家の状況がわかってくるにつれ、かぐやのフォローにまわることもあります。
今回はまさにそういう部分。電話での会話はうまくリードするし、メールもするっと出す。しかも待ち合わせでは……。
何も言わぬ彼のフォローの(ちょっとズレているけれども)かっこよさが光ります。恩を着せないから、かぐやは気を使わず、みんなと同じ日常を感じて楽しめる。彼のフォローが分かっているからどんどん好きになる。
その一方で、上流階級側の日常をおさえた上で御行を守るのは、かぐやの立ち回り。フランス姉妹校との交流で御行が狙われた時、かぐやは容赦しませんでした。
御行がさりげない思いやりと気の回し方でかぐやをフォローするスタイルだとしたら、かぐやは「手助けのためならなんでもする」という超実力行使型の子。この回だけじゃなく、かぐやがキレると本当に大変なことになっています。なんだかんだいって本気を出すと一番ヤバイのはこの子。
彼女も助けたからといって、御行に恩は着せません。自分の行動はないしょのままです。
この作品は「人助けは心に秘す」という精神が強いので、全員の行動をチェックしておきたいところ。特に御行はその点、名誉を受け取らないヒーロー的な部分が強いです。
謎深まりまくる藤原書記
今回、土産菓子の買い物係を二人決めるため「NGワードゲーム」を行うシーンがあります。別の人が書いたNGワードをかかげ、それを言ってしまったら負け。負けた人二人が買い物に行く=藤原書記が勝てばかぐやと御行は買い物に行ける、というのをたくらむ御行。今回の狙いはいつにもまして幼くてかわいい。
問題は、藤原書記の立ち回りです。彼女は普通に勝つつもりのようですが、御行が投げたパス回しの発言「藤原書記は『嫌いな事』ってあるのか?」に対して、今までにない反応をします。
藤原書記「空気読めないってよく言われるんですYO……」「ちょっぴり疎外感を感じます……YO 知らぬ間にみんなに迷惑かけてるのかなって考えると 悲しくて」
藤原書記は自分の行動に対して、基本超絶ポジティブなので、こういうメランコリックな発言は二人をぎょっとさせます。かぐやが慌ててフォローしてしまうほど。「かぐやさんは私の事嫌いじゃ無い?」
そこでのかぐやの「えぇまぁ……好きですよ」という発言。
実は全てブラフで(嘘ではないと言い張る)、かぐやの感情を揺さぶるのが目的。これによって、理知的なかぐやの足元を崩して勝利する、という御行でもできない完全勝利を見せます。
しかし、あまりにも演技のレベルが高すぎる。本当に全てブラフなのか、どこまでが本当でどこまでが嘘なのか? 空気を読めないと言うのは、本当に人に言われたのか、寂しいと感じていたのか、それとも全部偽物?
考えすぎかもしれない、と思いつつも御行は藤原書記の言葉に真剣に向き合います。なんにせよこの試合は、藤原書記がかぐやと御行をよく観察していて、どう動くかを予測できていたという鋭さが、明確になったのは事実です。
結局はどうなのかは、誰にもわかりません。見た限りそんなことはなさそうですが、藤原書記は御行いわく「ミラクル属性」、偶然なのかわざとなのかわからない行動で場をひっくりかえす存在なので、注意のしようがない。彼女の本心は謎のまま。
もっとも今回に限って言えば、彼女のミラクルが御行とかぐやを(意図せず?)結んだわけで、結果オーライ。
こういうタイプの子には「実は◯◯なんじゃないか」みたいな隠れ属性を想像したくなりますが、藤原書記に限っては「全くなにもない」可能性もあるから油断なりません。
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