「必ず座れる通勤電車」考察 東急「Qシート」は他と何が違うのか月刊乗り鉄話題(2019年2月版)(1/4 ページ)

なぜ「Qトレイン」ではなく「Qシート」なんですかね?

» 2019年02月15日 12時00分 公開
[杉山淳一ねとらぼ]

 平成の通勤電車を象徴するサービスといえば有料指定席の導入です。必ず座れる通勤電車として、関東の大手私鉄で続々と導入されました。

 最近は京王電鉄の「京王ライナー」(関連記事)や東急電鉄の「Qシート」(関連記事)が登場。2019年現在、関東大手私鉄は全て「座れる通勤電車サービス」を実施しています。

2018年12月に運行を開始した東急大井町線の有料座席指定サービス「Qシート」。急行長津田行きの東急電鉄6020系電車で、オレンジ色の3号車がQシート車両である

 登場順に並べてみましょう。

関東大手私鉄の有料座席指定列車・サービス
登場年 鉄道会社 車名・サービス名
1984年(昭和59年) 京成電鉄 モーニングライナー
1992年(平成4年) 京急電鉄 京急ウィング
1999年(平成11年) 小田急電鉄 ホームウェイ
2008年(平成20年) 東武鉄道 TJライナー
2008年(平成20年) 東京メトロ メトロホームウェイ
2015年(平成27年) 京急電鉄 モーニングウィング
2017年(平成29年) 西武鉄道 S-TRAIN
2017年(平成29年) 東京メトロ S-TRAIN
2017年(平成29年) 東急電鉄 S-TRAIN
2018年(平成30年) 京王電鉄 京王ライナー
2018年(平成30年) 小田急電鉄 モーニングウェイ
2018年(平成30年) 西武鉄道 拝島ライナー
2018年(平成30年) 東急電鉄 Qシート

 昭和末期から平成初期の京成電鉄「モーニングライナー」、小田急電鉄「ホームウェイ」はあまり驚きませんでした。どちらももともと有料特急の「スカイライナー」「ロマンスカー」を運転していましたし、朝夕時間帯は通勤通学者の利用も多かったからです。名前が変わっただけという印象でした。

 京急電鉄「ウィング」は、有料特急を運行しない京急電鉄の「有料化」として話題になりました。当時は「2扉、クロスシートなのに料金不要が京急の良さじゃなかったの?」と思ったものです。

 そして近年。2008年に登場した東武鉄道「TJライナー」は、「必ず座れる通勤電車」がブームになるきっかけとなりました。東武鉄道は、伊勢崎線系統では有料特急を運行していました。しかし東上線系統はTJライナー登場の半世紀以上前に2年ほど休日に走らせた時期があったものの、その後有料特急はありませんでした。

 東武鉄道はTJライナーを運行するために、普段はロングシート、有料座席列車になるときだけ座席を2人分ずつ90度回転させて進行方向に向けられる可変シートの仕組みを備えた車両を導入しました。その気合いの入れようも話題となったわけです。

 その後、小田急電鉄が夕刻からの下りロマンスカーを「ホームウェイ」と名付け、京急電鉄が朝の上りにも「モーニングウィング」を走らせます。この辺りから「どうも、大手私鉄の通勤電車に新しい流れができてきたぞ……!」とメディアが取り上げるようになり、経営戦略、沿線価値向上なども論考されるようになりました。

 それはともかく……。

 上記の表の中で、明らかに仲間はずれとなる有料座席があります。どれか分かりますでしょうか?










 正解は、新参者の東急電鉄「Qシート」です。

Qシート 有料座席指定 通勤電車 Qシート車両は、座席がセットされた状態で到着した。上り便ならばこの席に着席料金なしで乗れるようだ。でも後ろ向き

 他は全て「列車丸ごと有料指定席」です。東急東横線に乗り入れる「S-TRAIN」(関連記事)も列車単位です。しかしQシートは「車両の一部が有料指定席」なのです。

 だから東急電鉄はQトレインではなく「Qシート」と名付けたのです。では、何が違うのか、何がいいのか。「一部指定」のメリット/デメリットをじっくりと確認していきましょう。

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