「新しいものを生むチャレンジを支えたい」 日本のクラウドファンディング先駆者「Makuake」に聞く、“サービスの意義”と“トラブルから学んだこと”(1/2 ページ)

「プロジェクトの広報活動をプラットフォームの広報チームがサポートするサービス」が成功の秘訣か。

» 2019年05月06日 12時00分 公開
[Kikkaねとらぼ]

 自力では実現できないアイデアを現実にするため、ネットで多数の人から支援を募るクラウドファンディング。日本でもその仕組みが定着しつつあり、多額の支援を集めて成功するケースも見られます。


Makuake マクアケ クラウドファンディング 大成功をおさめた「片渕須直監督による『この世界の片隅に』(原作:こうの史代)のアニメ映画化を応援」プロジェクト

 日本のクラウドファンディング最大手はサイバーエージェントグループ参加のマクアケが運営するMakuake(マクアケ)。2013年にサービスをスタートし、これまでに5000件以上のプロジェクトを生み出してきました。アニメ映画「この世界の片隅に」や「glafitバイク」など大成功を収めた例もある一方で、「商品が届かない」といったトラブルも見られるように。マクアケにクラウドファンディング事業を始めた経緯、プラットフォーマーはどのような仕事をしているのか、課題への取り組みなどを聞きました。

なぜサイバーエージェントはクラウドファンディングサイトを作ったのか


Makuake マクアケ クラウドファンディング 左官で作られたロゴが印象的なオフィスはとてもオシャレ

インタビューをしたのは?

マクアケ 共同創業者・取締役の坊垣佳奈さん

2006年、新卒でサイバーエージェントに入社。株式会社サイバー・バズの立ち上げに携わり、2010年に取締役。その後、ゲーム子会社2社を経て、2013年 株式会社サイバーエージェント・クラウドファンディング(2017年に株式会社マクアケに社名変更)の立ち上げに参画、取締役就任。クラウドファンディングという仕組みの広報・PR活動や、大手企業・地方自治体とのプロジェクトの仕掛けを行い、クラウドファンディング市場の拡大に取り組んでいる。


――ここ数年「Makuake」と聞けば「クラウドファンディングのサイト」と認識する人が増えてくるなど、サービスが日本でもすっかり定着してきたと感じます。日本でクラウドファンディングサイトを立ち上げると決めた経緯を教えてください。

坊垣日本初のクラウドファンディングサイトは2011年にサービスをスタートした「Readyfor」さんで、「マクアケ」は、2013年5月1日に創業、8月7日に「Makuake」のサービスを開始しました。2011年東日本大震災が発生したときにクラウドファンディングサービスが開始したこともあり、当時の日本ではクラウドファンディングに対して、“寄付をすること”という認識を持っている方も多い印象で、募金的なサービスという感覚の方も多いように感じました。リターンもお礼状であったり、復興支援モニュメントに名前が刻まれたりというものが多かったと思います。そんな中私たちは「日本には残していく技術があって、クラウドファンディングというシステムが必要」だと考え、「Makuake」を作ることに決めました。

――日本でクラウドファンディングサイトを始めることによって、どんな効果があると考えていましたか。

坊垣「日本において新しいものが作りやすくなっていく」と考えました。例えばアメリカはスタートアップ支援の意識などが高く、ベンチャーが生まれやすい土壌がありますが、日本にはまだまだそういった環境が整っていないため、クラウドファンディングの必要性を感じたんです。一方で日本でサービスを提供することの難しさもあるなと考えていました。

――どういった点で難しさを感じましたか。

坊垣日本のユーザーは「早く正しく満足な製品が届く」という環境に慣れていますし、クラウドファンディングのサービス自体がEコマースに似ているというところもあり、審査の体制についてはできる限りきっちりとやらないと日本ユーザーの満足を得ることは難しいと思いました。

――審査というのはどのようなものなのでしょうか。

坊垣個別の審査基準は非公開となっていますが、私たちがやる審査というのは「実現性」の部分がメインです。「このプロジェクトはいくらぐらい達成しそう」とか「このプロジェクト発案者(企業)は後々伸びそうだ」とかそういう投資機関的な目利きをしてしまうことは「面白いところをそぎ落としてしまう作業」でもあるので、マクアケでは行っていません。あくまでも「製品化の能力があるか」「お届け予定のリターンの実現可能性があるか」「支援者に迷惑が掛からないような信頼性が担保されているか」、などを重視しています。

――集まった金額の20%(決済手数料5%を含む)が手数料とのことですが、具体的にはどんなことをしてもらえるんでしょうか。

坊垣1プロジェクトに1人、必ずキュレーターといわれる担当がつき、実際にお話を伺いながらクラウドファンディングプロジェクトの設計・グロース戦略の立案など丁寧にサポートさせていただきます。基本的にはプロジェクト実行者側でページを作っていただく「入稿」をお願いしています。支援者が「このプロジェクトを応援したい」と思うかどうかはプロダクトの見え方による部分が大きいため、ページの構成や写真の質などはかなり重視しており、プロジェクト実行者が入稿してきてくださったページを見て「このお写真だと製品の良さが伝わりづらい」とか「もっとこのポイントを推した方が共感されるのでは」といったことを客観的な視点でアドバイスさせていただいたりということは常に行っています。また、プロジェクトの魅力を発信する広報活動も広報チームがサポートしています。「Makuake」自体にリピーターの会員(支援者)が増えてきているので、メルマガやSNS等を活用しプロジェクトを告知したり、メディアへの情報発信をサポートしています。

――しかし例えばご年配の方などで、入稿が難しいという場合もありますよね。そういった場合はどうなるのでしょうか。

坊垣その場合は、「Makuake Creators Network」というサービスでプロのカメラマンやライターを特別価格で紹介することも可能です。

地銀がプロジェクト実行者を紹介する場合も

――プロジェクト実行者自らマクアケに対してクラウドファンディングの審査を申し込むというパターンが主だと思うのですが、紹介というパターンもあるのでしょうか。

坊垣お問い合わせ自体は毎月1000件程度いただいていますが、中には金融機関からご紹介していただいたプロジェクトもあったりします。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/01/news003.jpg パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  2. /nl/articles/2412/01/news031.jpg 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
  3. /nl/articles/2412/03/news082.jpg 「ほ、本人……?」 日本に“寒い国”から飛行機到着→降りてきた“超人気者”に「そんなことあるw?」「衝撃の移動手段」の声
  4. /nl/articles/2412/03/news111.jpg 才賀紀左衛門、娘とのディズニーシー訪問に“見知らぬ女性の影” 同伴シーンに「家族を大切にしてくれない人とは仲良くできない」
  5. /nl/articles/2412/02/news009.jpg 【今日の難読漢字】「誰何」←何と読む?
  6. /nl/articles/2412/05/news006.jpg 「今やらないと春に大後悔します」 凶悪な雑草“チガヤ”の大繁殖を阻止する、知らないと困る対策法に注目が集まる
  7. /nl/articles/2412/03/news148.jpg 武豊騎手が2024年に「武豊駅に来た」→実は35年前「歴史に残る」“意外な繋がり”が…… 街を訪問し懐古
  8. /nl/articles/2412/03/news092.jpg 大谷翔平、“有名日本人シェフ”とのショット 上目遣いの愛犬デコピンも…… 「びっくりした!!」「嬉しすぎる」
  9. /nl/articles/2412/03/news055.jpg ハローマックのガチャに挑戦! →“とんでもない偏り”に同情の声 「かわいそう」「人の心とかないんか」
  10. /nl/articles/2412/03/news034.jpg 古着屋で“インパクト大”なブランケットをリメイクすると…… 劇的な仕上がりに386万再生「これはいいね、欲しい!」【海外】
先週の総合アクセスTOP10
  1. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  2. 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
  3. 「中学生で妊娠」した“14歳の母”、「相手は逃げ腰」妊娠発覚からの経緯を赤裸々告白 母親の“意外な反応”も明かす
  4. 勇者一行が壊滅、1人残った僧侶の選択は……? 「ドラクエでのピンチ」描くイラストに共感「生還できると脳汁」
  5. 「笑い止まらん」 海外産アプリで表示された“まさかの日本語”に不意打ち受ける人続出 「何があったんだw」
  6. パパが好きすぎる元保護子猫、畑仕事中もくっついて離れない姿が「可愛すぎる」と反響 2年以上がたった現在は……飼い主に話を聞いた
  7. アグネス・チャン、米国の自宅が“度を超えた面積”すぎた……ゴルフ場内に立地&門から徒歩5分の豪邸にスタッフ困惑「入っていいのかな」
  8. 「理解できない」 大谷翔平と真美子さんの“スキンシップ”に海外驚き 「文化は100%違う」「伝説だわ」
  9. 「車が憎い」 “科捜研”出演俳優、交通事故で死去 兄が悲痛のコメント「忘れないでください」
  10. PCで「Windowsキー+左右矢印キー」を押すと? アッと驚く隠れた便利機能に「スゲー便利」「知らなかった」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」