「大学生活はスマホがあれば十分」は誤解? 大学が今「ノートPC必携化」を進める理由(2/2 ページ)

» 2019年03月12日 11時00分 公開
[ねとらぼ調査隊ねとらぼ]
前のページへ 1|2       

 “スマホではなく、PCでなければならない事情”が明確なのは、「情報通信技術の活用能力を有する人材を育成する」「就職活動などを見すえ、ITスキルを養う」のようなもの。これもよく見られる理由の1つで、ざっくり言うなら「もうじきPCを使わなければならない時期が来るから、早めに覚えておこう」というものです。

 立命館大学の学生約1000人を対象としたアンケート調査(2017年度)によると、タッチタイピングに習熟している学生は少なく、「ほぼキーボードを見ずに文字入力している」人は約15%。約7割の人が「たまに見ながら」「頻繁に見ながら」打っているという結果になっています。

 「2000文字のレポートを課された場合に、あなたはどのように作業をするか」という設問に対しては、約8割が「最初から最後までPCで作業をする」と回答。約1割が「スマホで下書きしてから、再度PCで入力している」と答えており、調査結果に基づく論文の中では「クラウドサービスの理解度が低いことの表れ」と分析されています。最終的にはPCを使っているため、「若者のPC離れ」というよりは「若者のPC不慣れ」が起こっているのかもしれません。


必携ノートPCのスペックは学校、学部によってマチマチ

 ちなみにノートPC必携の場合、大学側がOSやスペックの指定を行うことが多く、筆者が調べた限り、よくある構成は以下のようなもの。

  • OSはWindows/Macの新しいもの
  • 無線LAN接続機能
  • Microsoft Office、ウイルス対策ソフト(大学側で無償提供)
  • バッテリー駆動時間はマチマチだが、「学校で充電しなくても使えるように」などと説明されることがある
  • メモリ、プロセッサなどの指定がある場合は「core i5/7」「メモリ4〜8ギガ」程度が多い

 学部によってスペックが異なる場合もあり、例えば、広島大学では医学部だけ「タッチペン対応」という条件がつけられています。おそらく他学部では使わない専用ソフトなどがあるのでしょう。

 PCと学習内容の関連性が強いほど、こういった指定は厳しくなる傾向があるらしく、東京情報大学では、総合情報学部の学生は基本的に「大学特別仕様必携ノートパソコン」を使用。これは実際にPCを使ってネットワーク設定などを学ぶ際に、メーカー独自のセキュリティ機能などが邪魔してしてまうと、講義の進行を妨げるためだとしています。

 なお、「Microsoft Surface」はノートPCではなく、「タブレットPC」と呼ばれることもありますが、一部大学では指定要件に「着脱式キーボードでも可」と書かれているほか、同端末が大学推奨PCとして販売されているケースも。端末選びの制約は、講義の内容次第といったところでしょうか。


「スマホで何でもできる時代」だからこそ

 ここまで見てきた通り、スマホ全盛の現代においても、大学におけるPCの必要性は変わらずに存在していると考えられます。

 冒頭のマイクロソフトの広告も、SNSの反応を分析するツールによれば約9割がポジティブに解釈しており、「うまい広告」「やはりPCは必須だと思う」などの意見が目立ちました。


「Microsoft Surface」の広告「大学生に、ノートPCはいらない」に対するTwitter上の反応(Social Insightによる分析)

 「最近の若者はなんでもスマホで済ませてしまう」という見方は、一面では確かに正しくもあるのでしょうが、それはあくまでも学生時代までの話。その先を見据えるのであれば、PCスキルの獲得は必須――大学機関のPC必携化の流れには、そんな考えがあるように見て取れます。

 「スマホでなんでもできる」が故に、逆にPCリテラシーを体系的に習得できる場が求められているというのが、今の「大学におけるPCの必要性」の一つの回答といえるのではないでしょうか。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2501/06/news046.jpg 北海道の用水路で“巨大な外来魚”を捕獲→さばいてみると…… 中から出てきた“ヤバすぎる物体”に大興奮「ずっと釘付け」
  2. /nl/articles/2501/07/news151.jpg 「3人目!?」「妊娠何ヵ月?」 榮倉奈々、公開した動画に映ったまさかの“ぽっこりおなか” 仲良すぎな夫婦ショットにファン爆笑
  3. /nl/articles/2501/06/news149.jpg アレン様、りゅうちぇるさんの“暴露”が「中居正広のことでは?」という説に言及
  4. /nl/articles/2501/07/news027.jpg 四つん這いで撮影中、背中に乗ってきたのは…… フォロワー48万人の人気写真家に起こった奇跡に「羨ましい」「動けない」
  5. /nl/articles/2501/07/news103.jpg 登録者80万超の34歳YouTuberが“健康上の理由”で死去……逝去前日に“体重”巡って意気消沈「情熱と目標なくなった」「とても寂しい」
  6. /nl/articles/2501/06/news043.jpg 「こんなおばあちゃん憧れ」 80代女性が1週間分の晩ご飯を作り置き “まねしたくなるレシピ”に感嘆「同じものを繰り返していたので助かる」
  7. /nl/articles/2501/05/news001.jpg 幼稚園の「名札」を社会人が大量購入→その理由は……斜め上のキュートな活用術に大反響 2024年に読まれた面白記事トップ5
  8. /nl/articles/2501/07/news066.jpg Amazonから“まさかの箱”で荷物が到着 珍しすぎる光景に「剥き出しで届いたのかと」「これ欲しさで買い物する」の声
  9. /nl/articles/2208/06/news075.jpg 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. /nl/articles/2501/06/news015.jpg 67歳マダムの「ユニクロ・緑のヒートテック重ね着術」に「色の合わせ方が神すぎる」と大反響 2024年に読まれたコーディネート記事トップ5
先週の総合アクセスTOP10
  1. ryuchellさん姉、母が亡くなったと報告 2024年春に病気発覚 「ママの向かった場所には世界一会いたかった人がいる」
  2. ハードオフに1650円で売られていた“まさかの掘り出し物”→修理すると…… 見事な復活劇に「相場が上がってしまうw」
  3. 巨大深海魚のぶっとい毒針に刺され5時間後、体がとんでもないことに……衝撃の経過報告に大反響 2024年に読まれた生き物記事トップ5
  4. 北海道の用水路で“巨大な外来魚”を捕獲→さばいてみると…… 中から出てきた“ヤバすぎる物体”に大興奮「ずっと釘付け」
  5. 【ハードオフ】2750円のジャンク品を持ち帰ったら…… まさかの展開に驚がく「これがジャンクの醍醐味のひとつ」
  6. 「脳がバグる」 ←昼間の夫婦の姿 夜の夫婦の姿→ あまりの激変ぶりと騙される姿に「三度見くらいした……」「まさか」
  7. 幼稚園の「名札」を社会人が大量購入→その理由は……斜め上のキュートな活用術に大反響 2024年に読まれた面白記事トップ5
  8. 米津玄師、紅白で“205万円衣装”着用? 星野源“1270万円ネックレス”も話題…… 「凄いお値段」「びっくりした」
  9. 【今日の難読漢字】「手水」←何と読む?
  10. サバの腹に「アニサキス発見ライト」を当てたら……? 衝撃の結果に「ゾワっとした」「泣きそう」と悲鳴 その後の展開を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  3. 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
  4. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  7. 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
  8. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  9. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  10. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」