「コンビニの成人向け雑誌をフィルムで包装」、堺市×ファミマの取り組みの今は

コンビニの成人誌販売中止が決まった今、あの取り組みがどうなったのか聞いてみた。

» 2019年03月17日 11時00分 公開
[谷町邦子ねとらぼ]

 大手コンビニ各社が2019年1月に、成人向け雑誌の販売中止を発表しました。女性や子どもが利用しやすい店舗作り、万博・オリンピックでの訪日外国人への配慮を理由として挙げています。2018年1月にはその先駆けとしてミニストップが取り扱いを中止していました。


雑誌色付き帯 大阪府堺市ホームページ

 さらにその前の2016年、大阪府堺市ではファミリーマートと協力して、店頭の成人誌を緑色のフィルムで包装し、性的な表現を見たくない人や子どもから見えないようにする取り組みを行っていました(関連記事)。その取り組みは続いているのか、どのように評価されているのか、堺市とファミリーマートから話を聞いてみました。

成人誌のフィルムがけはどのように始まったか

 堺市は2013年から女性や子どもにとって安全安心なまちを目指す「堺セーフシティ・プログラム」に取り組んでおり、その一環として2014年に市内の女性や女児を取り巻く環境について調査と分析を行いました。その結果、誰でも日常的に利用するコンビニで、成人向け雑誌の性的表現が子どもの目の高さからでも簡単に見える形で陳列されている状況が問題視されました。それを解決するべく、複数のコンビニに協力を呼びかけたところ、最初にファミリーマートから積極的な賛同を得られたとしています。


雑誌色付き帯 成人向け雑誌の自動販売機は目立たない場所に置かれる一方、コンビニでは表紙が見える状態で陳列されていた(堺市の資料より)

 ちょうどその頃、ファミリーマートも女性や子どもを含むさまざまな人が、より便利に快適にコンビニを利用できるための方法として、成人向け雑誌の陳列や販売の仕方について議論していたタイミングでした。こうして、コンビニでの成人誌の取り扱い方について、堺市とファミリーマートがタッグを組んで取り組むことになったのです。


雑誌色付き帯 これが、「雑誌色付き帯」だ!

 雑誌の表紙の性的な写真や絵を、目に触れないように状態にする。そのために使用されたのが緑色のフィルム「雑誌色付き帯」です。堺市が提案したデザインで、ファミリーマートとともに、雑誌を傷めないか、タイトルやバーコードを隠さないかなどを確認しながら決定。店頭の雑誌に雑誌色付き帯をかける取り組みは2016年3月に11店舗でスタートしました。

現在も続いており、支持もある

 雑誌色付き帯に取り組む店舗は一時期12店舗に増加。閉店などもあり、現在は10店舗で継続中です。


雑誌色付き帯 陳列棚には取り組みについて説明する表示が


雑誌色付き帯 雑誌色付き帯をかけて並べると、このような感じに


雑誌色付き帯 協力店舗の入口に貼られたシール

 この取り組みについて2017年に堺市が行った調査によると、インターネット調査では39.8%、店頭での聞き取り調査では65.3%の人が肯定的にとらえています。また、ファミリーマートにも取り組みの開始当初、肯定的な意見が複数届いていたとのこと。


雑誌色付き帯 堺市100人、北海道 、東北地方、関東地方、中部地方、近畿地方、中国地方、四国地方、九州・沖縄地方、各100人、計902人の20〜60代以上の男女に行われたインターネット調査

 コンビニと成人向け雑誌の平和的な共存が図られるなか、今年ファミリーマートを含むコンビニが成人向け雑誌の販売中止を発表しました。もちろん雑誌色付き帯も撤去となります。それについて、堺市は「取り組みについて賛否両論の声がありましたが、子どもや女性に優しいまちづくりを進めるという観点で、先駆的に取り組み続けてきたことが、今回の各社の判断に影響したのではないかと思います」と肯定的に評価しています。


雑誌色付き帯 堺市内の指定したファミリーマート3 店舗に来店した10 代〜60 代以上、男性177人、女性183人、計360人に行われた対面聞き取り調査

 雑誌色付き帯が支持を受けて今も続いていることを考えると、少しもったいない気もしますが、今後はより「見たくない人、見せたくない人の目に触れない」「買いたい人は書店やネット通販で買う」といった方向での販売が進められていくのでしょう。

(谷町邦子 FacebookTwitter

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/14/news063.jpg 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  2. /nl/articles/2412/14/news081.jpg 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  3. /nl/articles/2412/12/news089.jpg フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. /nl/articles/2412/14/news005.jpg 大谷翔平の妻・真美子さん、「5000円バッグ」「特製ジャケット」に注目 2024年のファッション
  5. /nl/articles/2412/13/news195.jpg 西川貴教イメージのクリスマスケーキに“ぐちゃぐちゃ”報告…… 大手スーパー謝罪 「心よりお詫び」
  6. /nl/articles/2412/08/news033.jpg 「一生ツボってるwww」 ミスドで「ディグダ」購入→よく見ると…… “あるはずないもの”が150万表示
  7. /nl/articles/2412/10/news133.jpg 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  8. /nl/articles/2412/13/news054.jpg 道北から旭川より遠い札幌を目指すのはなぜ? 稚内市民が解説したイラストに「納得」「天気さえ良ければ」の声
  9. /nl/articles/2412/14/news030.jpg 母「昔は男性の誘いをたくさん断ってきた」→本当? 娘が公開した“信じられない姿”が驚異の1100万再生「とても衝撃的」【米】
  10. /nl/articles/2412/14/news019.jpg ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
先週の総合アクセスTOP10
  1. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  2. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  3. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  4. 高校生のときに付き合い始めた2人→10年後…… 現在の姿に「めっちゃキュンってした」「まるで映画の世界」と1000万表示突破
  5. 大谷翔平の妻・真美子さん、ZARA「8000円ニット」を着用? 「似合ってる」「シンプルで華やか」
  6. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」 投稿者に感想を聞いた
  7. 高校生時代に父と撮った写真を、29年後に再現したら……再生数1000万回超えの反響 さらに2年後の現在は、投稿者に話を聞いた
  8. 散歩中、急にテンションが下がった柴犬→足元を見てみると…… 「そんなことあります?」まさかの原因が860万表示「かわいそうだけどかわいい」
  9. コメダのテイクアウトで油断して“すさまじい量”になってしまった写真があるある 受け取ったその後はどうなったのか聞いた
  10. 「やめてくれ」 会社で使った“伝言メモ”にクレーム→“思わず二度見”の実物が200万表示 「頭に入ってこない」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」