「尊い」とは「見えざる関係性」のこと――『どうして私が美術科に!?』×『ステラのまほう』作者が語る、“尊さビリティ”の正体(1/4 ページ)
どうびじゅはいいぞ。
高校生の酒井桃音には、ほかの人に言えない恥ずかしい秘密がありました。普通科に入るつもりが、願書を出し間違えて美術科に入学してしまったのです。まさに、『どうして私が美術科に!?』。
そんな桃音をはじめ、“何か”を間違えたキャラクターたちが手を取り合って成長していく姿が「尊い」と話題になり、「次にくるマンガ大賞2018」や「AnimeJapan2019 アニメ化してほしいマンガランキング」にもノミネート。特に、進路や将来に悩むことが多い学生読者からの支持を集めました。
完結巻となる単行本3巻の発売を記念して、作者の相崎うたう先生と、自身も「どうびじゅ」のファンでもある『ステラのまほう』のくろば・U先生による豪華対談をセッティング。連載当初はまだ高校生だった相崎先生が本作に込めたメッセージ、「どうびじゅは尊さビリティが高い」など相次いで発せられるくろば先生のパワーワード、2時間に及ぶ濃密な対談の模様をお届けします!
どうして相崎先生とくろば先生はマンガ家に!?
相崎:今日はお忙しいところありがとうございます。これ、よければ召し上がってください(と、くろば先生と取材陣にお菓子を差し入れしてくださった相崎先生)。
くろば:こちらこそありがとうございます! 「ステラおばさんのクッキー」なのは、『ステラのまほう』だから……?
相崎:そこまでは考えてなかった(笑)。
――今回、『どうして私が美術科に!?』の記事をできるだけボリュームのあるものにするために、単独インタビューではなく対談の形を取らせてもらいました。そして、相崎先生の対談相手といったらくろば先生しかいないだろうと。
くろば:よろしくお願いします。それこそ「どうしてくろば・Uが相崎先生のインタビューに!?」といった感じですが。
――お二人は、これまでにもご対面したことがあるんでしょうか。
くろば:3回目くらいですね。先日きらら作家さん同士で集まった飲み会の時にもお話させていただいて。最初にお会いしたのは、『ステラのまほう』のアニメアフレコレポートを描いていただいたときかな。
相崎:担当さんからアフレコレポートの仕事の話をいただいて、ぜひとお受けしました。『ステラのまほう』は、私がデビューする前から読んでいた作品だったので。
――この機会に、相崎先生がマンガ家になった経緯もお聞きしたいです。デビュー当時はまだ学生だったとか。
相崎:きらら編集部に持ち込みをしたのが中3の11月で、翌年の3月に「まんがタイムきららMAX」に最初の読み切りの『つぼみアレンジメント』を載せてもらいました。だから、デビューしたときはギリギリ中学生でしたね。
――いくつもある雑誌の中から、どうしてきららに持ち込みを?
相崎:『ゆゆ式』とか、好きな作品が一番多い雑誌だったからです。最初は自分が描いたマンガに編集者目線での意見が欲しくて、批評シートをくれる「りぼん」に投稿していたんですけど、デビューまではいかなくて。りぼんでだめだったらきららに持ち込もうと決めていたので、満を持してという感じです。
――ちなみに、くろば先生のマンガ家デビューのきっかけは。
くろば:僕の場合、どれをデビューと呼ぶのか……。大学の漫研に入ってからマンガを描き始めて、そのとき作った同人誌を見た他社の編集さんに声をかけてもらって、学生時代に成年向けの百合マンガを何本か描かせてもらったことがありました。だけど、当時は20ページ描くのに2カ月かかるくらい筆が遅かったので、マンガ家になるのは無理だと思ってたんですよね。
それで趣味としてのんびり描きながら、これからどうやって生きていこうかなとふわふわしていた時期に、今の担当さんに「きららで描いてみないか」とオファーをいただきました。自分の作風はきらら受けしないだろうと覚悟の上でしたが、やれるだけのことはやってみようと挑戦してみて、今に至ります。
――相崎先生もくろば先生も学生時代からマンガを描かれていたとのことですが、学業と両立させるコツはありましたか?
相崎:コツというか、とにかく力技だった気がします。通学中の電車の中でスマホでプロットを考えたり。学校ではなるべくマンガを描かないようにしていたんですけど、締め切りが近いときは授業中に4コマ用のネームの紙を1コマサイズに折ってこっそり描いたり。家に帰ってからも、ご飯とお風呂の時間以外はマンガにかかりっきりで。それでも間に合わなければ、親に謝って学校を休んで描かせてもらったりしてましたね。
くろば:リアルすいにゃん先輩じゃないですか! 僕はお世辞にも学校とマンガを両立できていたとはいえないので、卒業するまでやりきった相崎先生は本当にすごい。
相崎:いえ、学校といっても高校ですし……。
くろば:高校のほうが絶対大変ですよ。大学なんて、授業中にいくらでもマンガ描けますから(笑)。
――高校を卒業されてからは、マンガ家一本で活動を?
相崎:はい。基本的にはマンガ家専業ですけど、時間に余裕があるときはお花屋さんのバイトもしています。小さいころの将来の夢が、マンガ家の前がお花屋さんだったんです。だから、今のうちにそっちも叶えておこうと思って。
くろば:そこが『つぼみアレンジメント』の設定につながっていたんですね。
――高校に通いながらマンガを描いていたころと比べて、変わったことはありますか?
相崎:とにかく、睡眠時間をちゃんと取れるようになったのがうれしいです。高校時代は、家に帰ってきたら夜中の2時までマンガを描いて、寝て起きたらまた学校に行ってという生活だったので。
逆に、マンガ家を職業にしている実感がないのが最近の悩みですね。学校以外の時間で描くものがマンガ、という感覚で3年間ずっと描いてましたから。友達はみんな、進学したり就職したりしてるのに、私だけ取り残されているような感じがして。
くろば:そういう意味でも、外でバイトをするのは気分転換になるし、いい経験にもなると思いますよ。僕も大学生のときにファストフード店で働いたことがあって、その体験をマンガの中で使えましたし。
相崎:なるほど、だから藤川先輩が!
くろば:アルバイトじゃなくて、旅行でもなんでもいいですけど。マンガを描く以外の時間を意識的に作ることが、結果として作品の引き出しを増やすことにつながるんじゃないかなと。……なんか偉そうなこと言ってますね。すみません。
相崎:いえいえ! 別のことをしないとネタが浮かばないというのは、本当にそうだと思います。お花屋さんでのバイト経験も、いつか作品に生かしたいですね。
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