NGT48暴行事件がなぜか“地域性”のせいにされてしまった新潟市に今の思いを聞く 行政とご当地アイドルとの関係とは
ご当地アイドルと行政が手を取り合うメリットについて聞きました。
元メンバーがファンから暴行被害を受けたことやその後の対応で波紋を呼んでいるNGT48について、新潟市がねとらぼ編集部の取材に応じ、「行政とアイドルが手を取り合うことのメリット」「NGT48はなぜ新潟市で活動を始めたのか」「第三者委員会の報告内容について」などを語りました。ご当地アイドルと行政の関係について掘り下げます。
NGT48とは
秋元康さんプロデュースにより2015年に誕生したアイドルグループ「NGT48」は、新潟市を拠点に活動するAKB48の姉妹グループ。結成当初から「地域密着・地元貢献」を活動テーマの1つとして掲げ、新潟県内で開かれるイベントや新潟県内の企業とのタイアップを行うなど、精力的に活動してきました。
AKB48グループの中でも特に「活動地域とのつながり」をアピールしてきたNGT48ですが、その思いを強く感じさせるのがグループの名称とロゴです。他の48グループは「秋葉原」「栄」「難波」など、劇場が所在する場所に由来したグループ名を採用してきたのに対し、NGT48だけは「新潟県」「新潟市」という県名や市名がモチーフとなっています。またグループのロゴには新潟県鳥の「朱鷺(とき)」をイメージしたデザインや白と赤の文字が採用されるなど、これまでの48グループとの差別化を図ってきました。
山口真帆さんの暴行事件
若者からお年寄りまで県内での高い知名度を誇っていたNGT48ですが、2019年に予期せぬ形で注目を集めてしまいます。2018年12月8日に元メンバーの山口真帆さんが新潟市内の自宅玄関先で、ファンとされる男性2人に顔をつかまれるなどの被害を受けたのです。当初こうした事件は表ざたにはなっていませんでしたが、2019年1月に山口さん本人が告発する形で発覚。男性2人はその後、暴行の疑いで逮捕されたものの、結果的には不起訴となり釈放されていたことや、メンバー内に事件に加担した人物がいる可能性があるといった報道が続き、物議をかもしました。
その後、暴行被害の騒動を受けて運営会社の「AKS」は第三者委員会を設置。3月22日には新潟市内で会見を開き、調査結果や今後の対応などを説明しましたが、山口さん本人が報告書の内容や運営側の言い分に対して、“リアルタイムTwitter反論”をする場面もあるなど、事態の収束には至りませんでした。
最終的に山口さんは5月18日をもってグループを卒業。山口さんの考えを支持していたメンバーもそれに続く形で次々に卒業を発表し、ファンに衝撃を与えているほか、これまでNGT48を応援してきた地元の人たちからも残念がる声があがっています。
新潟市に聞く、行政とアイドルの関係
騒動を受け、新潟市が5月23日に加藤美南さんらが務めていた南区のPR大使について、本年度の契約はしない方針を固めたほか、6月5日には新潟県の花角英世知事が「県民から歓迎される状態なのか」という質問に対して、「そうは思えない」と答え、これまでNGT48に依頼してきた「国民文化祭」などのスペシャルサポーターについて再契約しない考えを示しました。
そんなNGT48ですが、これまで地域密着型のアイドルとして地元貢献をしてきたことも事実です。ねとらぼ編集部では新潟市・文化スポーツ部文化政策課に対して「ご当地アイドルと行政」というテーマについての取材を申し入れました。
――NGT48に限らず、ご当地アイドルと行政が手を取り合うとどんなメリットが生まれますか。
新潟市:ご当地アイドルがインフルエンサーとなって、新潟の魅力や市が行っている取り組みを県内外広く発信、PRしてもらえる点は大きなメリットです。なかでも全国的に知名度も高く、発信力のあるAKBグループのNGT48が発足したことは「食と農と文化の融合都市・新潟」を情報発信するうえでも大きな推進エンジンになりました。県外のファンの方たちが新潟に関心を持って調べてくれたり、NGT48がきっかけとなって初めて新潟に来てくれる方が増えたりなど、認知度向上と交流人口の拡大に繋がりました。
――NGT48はどういった経緯で誕生しましたか。
新潟市:・NGT48の誕生に市は関わってはいませんが、誕生が決まった後(2015年3月12日)に、今村支配人(当時)とAKB48の高橋みなみさん(当時メンバー)、横山由依さんが市長への表敬訪問を行いました。
――NGT48は「地域密着・地元貢献」をテーマにどんな取り組みや貢献をしてきましたか。
新潟市:新潟の基幹産業である農業や食のPRとして、区のPR大使やイベントでの出演を通して、県内外に広く新潟の魅力をPRしていただいたほか、新潟への移住促進や、新潟市消防団募集の呼び掛けを促すプロモーションムービー等の広報媒体にNGT48のメンバーが出演することで、市の取組が認知されるきっかけになりました。
――新潟市の方はNGT48をどんな存在だと感じていますか。
新潟市:全国的にも知名度の高いグループでありながら、官民問わず地域に寄り添い、根付きながら、身近な存在として新潟の魅力を県内外に広く発信してくれる姿は、新潟の小学生、中学生、特に女の子たちに夢と元気を与え、市民もNGT48を“自分たちのチーム”として応援してくれていました。
――暴行問題発覚後の行政への影響(市民からの問い合わせ件数など)や新潟市との契約の状況について改めて教えてください。
新潟市:県内外から数多くの苦情やご意見をいただいておりますが、その半数以上が市外または匿名のものです。具体的には6月10日時点で、メール・電話が約500件になりますが、内容の多くは、市のイメージ悪化を懸念するものやNGT48との関係を断ち切ってほしいなど、運営会社に対する意見や批判です。現在、(新潟市として)NGT48に関する契約を含めタイアップを行っているものはなく、今後も予定はありません。
――メンバーやグループのトラブルが及ぼす影響について事前の取り決めや対応の方針は決まっていましたか。
新潟市:事前には決まっていませんでした。
――第三者委員会の報告書で新潟という土地への評価がありました。これについてはどう受け取りましたか。
新潟市:報告書の中で活動拠点の特殊性ということで、「都市部が狭い」「交通機関が発達していない」「ファンの絶対数が多くない」といった言及がありましたが、運営会社の管理体制の問題がすり替えられて、新潟の地域性が原因として取り上げられた点は非常に残念です。
――今後NGT48にどんなことを期待しますか。
新潟市:まずは運営側の体制の立て直しにしっかりと取り組んでもらい、失った信頼回復に努めて欲しいです。
5月25日には山口さんが新しい芸能事務所「研音」に所属することが発表された一方、7月10日にはAKSが山口さんを暴行したとされる男性2人に対して、損害賠償を求める訴訟の第1回口頭弁論が新潟地裁で開かれるなど、いまだ解決には至っていないNGT48と運営会社をめぐるさまざまな問題。一連の騒動の影響を気にする地元の声も聞かれますが、新潟市は「新潟には夏休みにぴったりなスポットがたくさんあります」としてPRに力を入れています。
新潟市がオススメする観光スポット
水都新潟を象徴するオススメスポット:「ミズベリング信濃川やすらぎ堤」
具体的には夏を告げる風物詩と言われている水辺のアウトドアラウンジで、6月29日にグランドオープンを迎えました。新潟市中心部を流れる信濃川(萬代橋〜八千代橋)のやすらぎ堤を舞台に、地元飲食店などが期間限定で出店し、来店客が川などの自然を眺めながらビールや地元料理を楽しむことができる水辺の非日常空間。
新潟の美食と名酒が楽しめる街歩き企画の「古町花街美食めぐり」
日本らしい歴史と文化が今なお息づく「古町」で、情緒ある雰囲気の割烹や日本料理店、居酒屋など、新潟の美食と名酒を味わいながら飲み歩きが出来る“ほろ酔いチケット(有料)”を片手に、“新潟の夜”を楽しめます。
マンガ・アニメの街:「新潟市マンガ・アニメ情報館」
数多くのマンガ家やアニメクリエーターを輩出している「マンガ・アニメのまち にいがた」の情報発信施設。話題の作品から往年の人気作まで幅広い特別展を定期的に開催しています。
(Kikka)
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