「4分間のマリーゴールド」前髪で大きく変わった菜々緒の印象 美男美女ばかりのホームドラマにやがて訪れる悲劇(1/2 ページ)

横浜流星のお辞儀が美しかった。

» 2019年10月25日 11時40分 公開
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 福士蒼汰主演の金曜ドラマ「4分間のマリーゴールド」(TBS系金曜よる10時〜)がスタートした(原作レビュー)。すでに2話まで放送されている。福士蒼汰が静かに立っているドラマだけど「Heaven?」じゃないよ(諦観)、今回の役どころは救急救命士。


4分間のマリーゴールド 福士蒼汰と菜々緒の禁断の恋 イラスト/まつもとりえこ

 救急救命士の花巻みこと(福士蒼汰)には、手を重ねるとその人の「死の運命」が見えるという特殊な能力があった。そんな彼が、同居する義理の姉・沙羅(菜々緒)と禁断の恋に落ちる。しかし、みことだけは知っていた。沙羅の余命があと1年だということを――。

 「救急救命士」「特殊な能力」「義姉との禁断の恋」「余命1年」という「詰め込みすぎじゃね?」という設定を、意外なほど余白&余韻たっぷりに描いてわずか3巻で完結させた原作をどのようにドラマ化するのか? 注目していたところ、「なるほど!」というドラマオリジナルの展開が待っていた。それが「ホームドラマ化」である。鍵はみことと沙羅の弟・横浜流星にあった。

意外と大丈夫だった菜々緒

 1話は、ほぼ原作どおりの展開で、みことの救急救命士としての仕事と「死の運命」が見える特殊能力が描かれていた。みことは手を重ねた相手の臨終の様子を知ることができるが、その運命を変えることはできない。なんとか患者を助けたいと思って必死に努力をするが、そもそも救急救命士にできることは限られている。

 彼はなぜそんなに焦っているのか。それは、彼が同居する義理の姉、沙羅の「死の運命」を偶然知ってしまったからだ。自分が運命を変えなければ、愛する沙羅の命は助からない。どうやって沙羅の運命を変えるのか、あるいは死を受け入れるのかが、物語の大きな縦軸になる。

 で、薄幸のヒロイン役を演じる菜々緒である。原作の沙羅は、飾り気がなく、絵を愛し、屈託なく大きな口で笑い、すぐに誰かに感情移入して泣く。ひとことで言えば、ナチュラルビューティ。これまでサイコパスな悪女やハイキックで男をなぎ倒す役柄が多かった菜々緒に務まるのか? と心配していたのだが、これが意外と大丈夫だった。ちゃんと「素朴できれいなお姉さん」になっていたのだ。

 色白で、手足が長く、細い首がまた長い。これまで必ず見せていた額を隠し、前髪を作っているのも印象を大きく変えた一因だろう。声はいつも通り低かったが、2話では少しトーンを上げていた。徐々に役柄にフィットしていくと思う。

 作中、沙羅とみことの距離は非常に近い。悩んで落ち込んでいるみことに、密着するように慰める場面もあった。一部の視聴者からは「義理とはいえ姉弟なのに」という批判もあったようだが、これは沙羅とみことが完全に相思相愛だからである。そのあたりは徐々にわかってくるはずなので、腹を立てるのは少々待ってほしい。


4分間のマリーゴールド ひとめでわかる人物相関図 イラスト/まつもとりえこ

幸せそうな家族ほど悲劇が際立つ

 「血はつながらなくても、俺たちは家族」

 花巻家は、みこと、沙羅、警備員として働く熱血漢の長兄・廉(桐谷健太)、高校生で食事を担当するクールな末弟・藍(横浜流星)の4人暮らし。あ、忘れちゃいけないのが犬のシロ(ちゃんとメインビジュアルにも登場している)。きょうだいの中では、みことだけ血がつながっていないが、みことが1話のモノローグで語っていたように彼らは「家族」だ。

 それにしても美男美女ぞろいの一家だこと……。何気に戦闘力も高そうだ。なんなら、この4人が殺人ブラザーズとして活躍するアクションドラマが見てみたい(横浜は無口な殺人マシーン役)。

 冗談はさておき、2話でフィーチャーされたのが末弟の藍だった。藍は日村和江(松金よね子)という老女と交流があった。藍が高校に馴染めず、周囲から暴力をふるわれていたとき、惣菜を振る舞う彼女とのやりとりで救われていたのだ。

 いつもはクールな藍も「和江ちゃん」と呼んでなついていたが、ある日、和江が急性硬膜外血腫で倒れてしまう。みことは弟を救ってくれた和江をなんとか助けようとするも、和江はそのまま亡くなる。彼はまたしても運命を変えられなかった

 藍は専門医でも判断できなかった急性硬膜外血腫だと、とっさに診断を下したみことを疑う。最初はごまかしていたみことだが、藍に真実を告げる。自分は「死の運命」が見えるのだ、と。

 「それ、もし本当なら、ありがとう。和江ちゃんのために、ありがとう」

 横浜流星のまっすぐなお辞儀が美しい。かなりとんでもない秘密を告白されたと思うのだが、藍はあっさり受け入れる。帰宅後、藍は和江に教わったさば味噌を作り、家族4人で和やかに食卓を囲む。

 食事シーンが多いのは、このドラマが「ホームドラマ」に舵を切ったからだ。かつてホームドラマは「めし食いドラマ」とも呼ばれていた。2話で藍に焦点をあてて彼の優しい人間性をクローズアップしたのも、ホームドラマの側面を強調するためだろう(彼が一家の食事を担っているという設定も役に立っている)。端々には、家長としてきょうだいを守ろうとする廉の描写も織り込まれていた。 脚本の櫻井剛と演出の河野圭太は、血のつながらないものが集まったホームドラマ「マルモのおきて」をヒットさせたコンビ


4分間のマリーゴールド 横浜流星と菜々緒、美しかった イラスト/まつもとりえこ

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2407/24/news014.jpg 庭で見つけた“変なイモムシ”を8カ月育てたら…… とんでもない生物の誕生に「神秘的」「思った以上に可愛い」
  2. /nl/articles/2407/25/news017.jpg 「これが生えたら庭終了」 プロも降参する“何をやっても全部ムダな最恐雑草”の正体が400万再生「ほんとこれ厄介」「土ごと変えないと不可能」
  3. /nl/articles/2407/26/news151.jpg イトーヨーカドー春日部店が閉店へ 「クレヨンしんちゃん」に登場するスーパーのモデル 「残念」「寂しい」惜しむ声
  4. /nl/articles/2407/25/news012.jpg 夜、山中の側溝をのぞいてみたら…… 思わず声がもれる“あらぬ生物”の姿に「ヤバいw」「生で見てみたい」
  5. /nl/articles/2407/25/news007.jpg 水槽の中で卵を発見→慎重に見守って1カ月後…… 小さな命の誕生に飼い主も視聴者もメロメロ「まじで可愛すぎるほんとに可愛い」
  6. /nl/articles/2407/25/news138.jpg 「お父さんはママのオタクだった」 母親が「元・おニャン子」のタレント、アイドルとオタクが“つながっちゃいけない理由”を問いかける
  7. /nl/articles/2407/25/news050.jpg 「立体的に円柱を描きなさい」 中1の“斜め上の解答”に「この発想は天才」「先生の優しさも感じます」
  8. /nl/articles/2401/26/news015.jpg スーパーで買ったレモンの種が1年後…… まさかの結果が635万再生「さっそくやってみます」「すごーい!」「手品みたい」
  9. /nl/articles/2407/26/news119.jpg 工藤静香、15歳の愛犬が天国へ 感謝の言葉つづるも……「泣いてばかり」「心が追いつかない」と悲痛な思い
  10. /nl/articles/2407/26/news008.jpg 外国人が来日して“3年後”…… マクドナルドの“オーダーの変化”に「胃袋が日本人のそれなんよw」とツッコミ
先週の総合アクセスTOP10
  1. プロが本気で“アンパンマンの塗り絵”をしたら…… 衝撃の仕上がりが360万再生「凄すぎて笑うしかないww」「チーズが、、、」
  2. 6年間外につながれっぱなしだったワンコ、保護準備をするため帰ろうとすると…… 思いが伝わるラストに涙が止まらない
  3. 「お釣りで新紙幣来た!!!!!と思ったら……」 “まさかの正体”に「吹き出してしまった」「逆に……」
  4. 赤いカブトムシを7年間、厳選交配し続けたら…… 爆誕した“ウルトラレッド”の姿に「フェラーリみたい」「カッコ良すぎる」
  5. ダイソーで買った330円の「石」を磨いたら……? 吸い込まれそうな美しさが40万回表示の人気 「夏休みの自由研究にもいいのでは?」
  6. 「これ最初に考えた人、まじ天才」 ダイソーグッズの“じゃない”使い方が「目から鱗すぎ」と反響
  7. もう笑うしかない Windowsのブルースクリーン多発でオフィス中“真っ青”になった海外の光景がもはや楽しそう
  8. アジサイを挿し木から育て、4年後…… 息を飲む圧巻の花付きに「何回見ても素晴らしい」「こんな風に育ててみたい!」
  9. スズメの首は、実は……? 「心臓止まりそうでした」「これは……びっくり!」“真実の姿”に驚愕の声
  10. 【今日の計算】「8×8÷8÷8」を計算せよ
先月の総合アクセスTOP10
  1. 18÷0=? 小3の算数プリントが不可解な出題で物議「割れませんよね?」「“答えなし”では?」
  2. 日本人ならなぜかスラスラ読めてしまう字が“300万再生超え” 「輪ゴム」みたいなのに「カメラが引いたら一気に分かる」と感動の声
  3. 「最初から最後まで全ての瞬間がアウト」 Mrs. GREEN APPLE、コカ・コーラとのタイアップ曲に物議 「誰かこれを止める人いなかったのか」
  4. 「値段を三度見くらいした」 ハードオフに38万5000円で売っていた“予想外の商品”に思わず目を疑う
  5. 「思わず笑った」 ハードオフに4万4000円で売られていた“まさかのフィギュア”に仰天 「玄関に置いときたい」
  6. かわいすぎる卓球女子の最新ショットが730万回表示の大反響 「だれや……この透明感あふれる卓球天使は」「AIじゃん」
  7. 「これはさすがに……」 キャッシュレス推進“ピクトグラム”コンクールに疑問の声相次ぐ…… 主催者の見解は
  8. 天皇皇后両陛下の英国訪問、カミラ王妃の“日本製バッグ”に注目 皇后陛下が贈ったもの
  9. 「この家おかしい」と投稿された“家の図面”が111万表示 本当ならばおそろしい“状態”に「パッと見だと気付けない」「なにこれ……」
  10. 和菓子屋の店主、バイトに難題“はさみ菊”を切らせてみたら…… 282万表示を集めた衝撃のセンスに「すごすぎんか」「天才!?」