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» 2019年12月05日 17時00分 公開

森永卓郎が鋭く解説〜日経平均株価が上昇している本当の理由

景気後退の可能性が高いのに、株価が上がっているのはなぜ?

[ニッポン放送(1242.com)]
ニッポン放送

「垣花正 あなたとハッピー!」(12月4日放送)に経済アナリストの森永卓郎が出演。景気後退に入っているにもかかわらず、2日の日経平均株価が高値を更新したのはなぜか。その理由について解説した。

フォト ニッポン放送「垣花正 あなたとハッピー!」

景気動向指数が2ヵ月悪化〜それでも日経平均株価は高値を更新

株高が続いています。日経平均株価が2日、年初来高値を更新する2万4245円76銭で取引を終了しました。しかし私は、この株高は気持ちが悪いと思います。経済分析の仕事を始めて30数年経ちますが、「株価は半年先の景気を織り込む」と教えられて来ました。景気が悪くなって来ると、それに先駆けて株価が落ちて来る。これがいままでのパターンなのです。

フォト コンビニエンスストアに貼られた、キャッシュレス決済でのポイント還元を知らせるポスター=2019年10月1日未明、東京都品川区 写真提供:産経新聞社

前回増税時は売上前年比-4%が今回は-7%に

しかし、いま日本は完全な景気後退に入っています。景気動向指数の基調判断は8月、9月と2ヵ月連続で「悪化」となりました。これは、景気後退の可能性が極めて高いときの評価です。例えば製造業の生産も、今年(2019年)の第1四半期〜第3四半期まで、すべて前年割れしています。消費も1月〜8月まで前年割れでした。9月は消費増税前の駆け込み需要でプラスになりましたが、10月は恐ろしい数字が出ていて、小売りの売上前年比は-7%です。消費増税の反動だと言いますが、2014年4月に5%から8%に増税したときは、-4%でした。2014年は3%増税して、4%落ちました。今回は2%増税して、7%も落ちています。

フォト ニッポン放送「垣花正 あなたとハッピー!」

物価が0.1%下がってデフレの入り口に来てしまっている

いちばん悪い景気指数は、10月の消費者物価指数です。生鮮品を除いて、前年比で+0.4%でした。物価が上がっているように思えますが、ここが問題で、10月から消費税増税が行われ、2%消費税が上がりました。消費者物価は消費税込みで測っていますので、その分上がらなければなりません。これはストレートに上がりません。軽減税率で0.4%抑えられて、幼稚園や保育園の無償化で0.5%抑えられる。また医療費など非課税のものもあり、その他の要因で0.6%抑えられます。つまり、消費増税の影響だけで2%増税した分、0.5%物価が上がらなくてはいけません。ところが、トータルの物価上昇が0.4%でした。だから本当の物価は、消費税の影響を外して考えると、すでに-0.1%です。つまり物価が下がり始めていて、デフレの入り口に来てしまったということです。1997年をきっかけに、15年にわたってデフレが起こりました。そのとき会社は次々と倒産して、リストラのオンパレードで派遣切りが行われ、学生は100社訪問しても内定が取れない。民主党政権での株価ですが、デフレの末期は何と8600円です。いまの株価は2万4000円ほどですから、現在のほぼ3分の1ぐらいです。悪い要素がそろっているのに、現在なぜか株価は上がっている。

フォト 本社(二番町ガーデン)(セブン&アイ・ホールディングス-Wikipediaより)

現状で株価が上がる理由〜好調ななかでのリストラ

なぜ株価がいいのかと言うと、企業の行動が変化したことがあります。10月にセブン&アイ・ホールディングスが3000人規模のリストラを発表しましたが、過去最高益のなかでのリストラです。いままで会社がリストラするのは、利益が減って行き詰まったときでした。セブン&アイ・ホールディングスだけではありません。東京商工リサーチによると今年9月までに希望退職、早期退職を募集した上場企業が27社もありました。対象人数は6年ぶりに1万人を超えました。会社のなかには、カシオ計算機など絶好調のところがあります。会社が絶好調なのに、リストラが日本中に広がっているのです。絶好調のなかでリストラすれば、会社の利益が増えます。利益が増えるから株価が上がるのです。

フォト ニッポン放送「垣花正 あなたとハッピー!」

消費が増えず、やがて企業の利益は減る

こういうことをすると一時的に利益が増えますが、人件費というのは働く人の所得です。働く人の所得から、買い物のための消費が生まれる。でも労働者の所得が減ったら、消費が出ません。消費が出なければ結局、企業の売上は減るのです。

フォト ニッポン放送「垣花正 あなたとハッピー!」

リストラをすると経営者の収入が増える

昔の経営者は内部昇進で、ずっとその会社を勤め上げていました。だから従業員は仲間で、大切にされていました。しかし、いまは経営のプロが外からやって来ます。その人たちはせいぜい数年しかいません。昔はトヨタの社長でも年収2000万円〜3000万円くらいでした。いま、上場企業の社長は何億円にもなっています。業績連動給と株価連動給があって、業績連動給は利益が増えると自分の懐が潤います。利益を増やすためには人件費を削ります。さらに昔は設備投資をして、新しいビジネスを生み出しました。ところが、いまは利益を会社にため込みます。会社にため込むと会社の価値が上がります。そうすると株価が高くなり、株価連動給が入って来ます。リストラをすると経営者の収入は増えるのです。

フォト ニッポン放送「垣花正 あなたとハッピー!」

従業員を道具だと思うな

従業員を道具だと思うのをやめるべきです。道具ではなく、仲間です。会社という船にいる仲間が従業員で、仲間をいじめるとめぐりめぐって船が沈没します。

垣花正 あなたとハッピー!

FM93AM1242 ニッポン放送 月-金 8:00-11:30


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