「自分の生活に身近なものとして捉えてくれたら」 入江悠監督、オリジナル脚本で挑んだ“日常の延長線上”にある「AI崩壊」(2/2 ページ)

» 2020年01月31日 16時30分 公開
[のとほのかねとらぼ]
前のページへ 1|2       

――確かにあの2人の存在は見ている側にとってありがたかったです。ただ、人工知能という題材自体はこれまでも扱われてきたものだと思います。なぜ今、日本で人工知能を題材とした作品を撮られたのでしょうか?

入江監督 多分、人工知能というのは前後10年ぐらいで1番インパクトがある技術的な発展だと思うんですよね。その技術が急速に進歩している今、2020年に向けて制作するのにふさわしい題材だと思いました。

――監督が加えたオリジナリティーはどこですか?

入江監督 ひとつよかったなと思うのは、子どものころに見ていたハリウッド映画のマネをすると絶対に失敗すると思っていたので、人工知能がターミネーターのような姿をしているわけではなく、僕らの生活の“日常の延長線上”にある身近なものとして描いたことです。そこの日常性みたいなところは、意外とハリウッド映画はあまり描いていないんです。

 近未来ものというと、遠くの世界の話として観客が捉えてしまいがちですが、「AI崩壊」は、僕らの生きている世界のほんの少し先に起こり得ることなんだと実感してもらえると思います。それがオリジナリティーもあって満足しています。

入江悠 AI崩壊 大沢たかお 22年目の告白 AI 近未来 (C)2019映画「AI崩壊」製作委員会

――確かに、人工知能はすでに私たちの生活の一部となっているものもありますし、そう遠くない未来ですよね。ラストシーンでは、「AIは人を幸せにするか。それは……」と続くせりふがありますが、この言葉は撮影直前まで悩まれていたそうですね?

入江監督 どの言葉が桐生として正しいのか、観客に一番届く言葉はなんだろう、と考え続けていたのですが、直前まで結論が出せませんでした。そこで、大沢さんに相談したところ、「編集の時に見えてくることもあると思いますし、その時に選んでいただければいいので、監督が思いつくものを全てやりましょう」と言ってくださって、3パターン撮影しました。

 結果、最後に撮影したせりふを起用したのですが、大沢さんがそのせりふを言ったときに、そこにいた娘役の心ちゃんやスタッフの反応が一番よかったんです。それが桐生の言葉としてスッと心に響く言葉だったんだろうなと思いますね。ただ、人工知能というものは今まさにどんどん進歩しています。人によって捉え方や答え、ビジョンが違うと思うので、いろいろな解釈があっていいと思います。

入江悠 AI崩壊 大沢たかお 22年目の告白 AI 近未来 (C)2019映画「AI崩壊」製作委員会

――実際、AIはどのように人を幸せにすると思いますか?

入江監督 桐生が開発したのは医療AIなんですが、医療や介護はこれから僕らの社会で課題になってくるので、医療の分野で人を助けてくれるんじゃないですかね。

――人工知能と共存するために、私たち人間はどう寄り添っていくべきでしょうか?

入江監督 この映画を作ったきっかけが、人工知能とはどういうものなのかを知ってもらうきっかけになったらいいなと思ったからなんです。もう少し、自分の生活に身近なものとして捉えてくれたら、人工知能の持つポテンシャルや逆にその怖さを知ってもらえるんじゃないかと。

 使うのは最終的に人間なので、人間がどう人工知能と向き合うかだと思うんです。知らないところで勝手に起きているものではなく、自分ごととして捉えていただけたらいいですね。

――ありがとうございます。最後に見どころを教えてください。

入江監督 人工知能やAIというのが前面に出てくる作品はありますが、その対比として生身の俳優さんの演技や温かさが映画から伝わるように演出しました。大沢さんが娘の手を握ったように、人のぬくもりというものが映画を通して伝わってくれたらうれしいなと思います。そこで、人って何なのか、家族とは、というところまで観客の皆さんに届いたらうれしいです。

入江悠 AI崩壊 大沢たかお 22年目の告白 AI 近未来 (C)2019映画「AI崩壊」製作委員会

フォトギャラリー

入江悠 AI崩壊 大沢たかお 22年目の告白 AI 近未来 入江悠 AI崩壊 大沢たかお 22年目の告白 AI 近未来 入江悠 AI崩壊 大沢たかお 22年目の告白 AI 近未来 入江悠 AI崩壊 大沢たかお 22年目の告白 AI 近未来 入江悠 AI崩壊 大沢たかお 22年目の告白 AI 近未来 入江悠 AI崩壊 大沢たかお 22年目の告白 AI 近未来 入江悠 AI崩壊 大沢たかお 22年目の告白 AI 近未来 入江悠 AI崩壊 大沢たかお 22年目の告白 AI 近未来 入江悠 AI崩壊 大沢たかお 22年目の告白 AI 近未来 入江悠 AI崩壊 大沢たかお 22年目の告白 AI 近未来 入江悠 AI崩壊 大沢たかお 22年目の告白 AI 近未来 入江悠 AI崩壊 大沢たかお 22年目の告白 AI 近未来 入江悠 AI崩壊 大沢たかお 22年目の告白 AI 近未来

関連キーワード

映画 | 人工知能 | 大沢たかお


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2504/25/news158.jpg スザンヌ、“ヘキサゴン貯金”で故郷の温泉旅館を再建していた…… 約1億5000万円をローンなし一括で「本当にすっからかん」
  2. /nl/articles/2504/24/news028.jpg お会計中、財布を取り出したら……レジの店員が「えぇぇ!?」 信じられない光景が198万表示「三度見くらいしちゃいそう」
  3. /nl/articles/2504/24/news025.jpg 国道でひとりぼっちの老犬→必死に追いかけ保護して1年後……「涙なしでは見られません」 心温まる光景が548万再生
  4. /nl/articles/2504/17/news162.jpg 築53年家賃4万円・何てことない団地のドアを開けると…… まさかの空間出現に驚きの声「素敵」「ここまでお洒落に」
  5. /nl/articles/2504/24/news024.jpg 排水溝から聞こえる“不気味な鳴き声” そーっとのぞくと…… 「あっ」「気まずww」まさかの正体が140万再生
  6. /nl/articles/2504/25/news071.jpg 「猫のやらかした瞬間、欲しいです」→ 高級ソファや障子が餌食になる“衝撃の光景”が続々集まる 7700万表示の反響「これじゃ怒れない」
  7. /nl/articles/2504/22/news021.jpg 自販機に“1000円”を入れたら……? 出てきた“とんでもないお釣り”にお口あんぐり「こんなん初めて見た」
  8. /nl/articles/2504/25/news046.jpg 「買うつもりなかったのに……」 ユニクロ新作“3990円トップス”が売り切れ続出の反響 「めちゃくちゃ最高」
  9. /nl/articles/2504/25/news040.jpg 「ベランダは不要」の考えを激変させた“神建築”が「こんな家に帰りたい」と話題に 住んでみてどうだった?その後を聞いた
  10. /nl/articles/2504/25/news033.jpg ごちゃごちゃしがちな冷凍庫の中身→100均アイテムを使うだけで…… “目からウロコ”のアイデアに「凄い」「本当にスッキリ」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「成長したらそのうち襲ってくる」と言われたワニ、16年後……→ 280万回再生を突破した驚きの姿に「初めて見た」の声
  2. 【大阪万博】皇后さま、帽子から靴までブルーとピンク 天皇陛下のネクタイと“連日おそろいコーデ”
  3. 飲み終えた“コーヒーかす”→捨てずに石と混ぜると、1カ月後…… 「感動」目からウロコの裏ワザに「やってみよう」
  4. 人里離れた山にカメラを設置→1週間後…… 「なんで?」映っていた“意外すぎる住人”に「笑った」「実在していたのか!」
  5. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  6. 「ウソだ…」「言葉が出ない」 幼少期から絵を描き続けた少年→15年後…… 大人になって描いた絵が100万再生【海外】
  7. 湘南の砂浜に打ちあがった“超危険生物”を飼育したら…… 貴重な姿に「初めて見ました」「かっこいい」と大反響→2年後の現在について話を聞いた
  8. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」話題になった飼い主に聞いた
  9. 万博「ミャクミャク」記念500円硬貨、金融機関での「品切れ」&高額転売相次ぐ…… 5倍以上の金額で出品される事態に
  10. マクドナルド、次回ハッピーセットコラボに「争奪戦すごそう」 品切れや転売の懸念も「1個でいいから欲しい」「たくさん作って」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 【べらぼう】“問題のシーン”、「子供に見せられない」 身体張った27歳俳優へ「演技やばくない?」
  2. 「恩師ビックリするやろなぁ」 中学3年で付き合い始めた“同級生カップル”が10年後…… まさかの現在に反響
  3. 「本当に迷惑」 宅急便の「不在連絡票」と酷似のチラシが物議…… ヤマト運輸「配布中止申し入れ」
  4. 「うそでしょ!?」 東京ディズニーランド、“老舗”レストランの閉店を発表 「とうとう来てしまったか」「いやだああああ」と悲しみの声
  5. 雑草ボーボーの運動場に“180羽のニワトリ”を放ったら…… 次の日、まさかの光景に「感動しました」「すごい食欲」
  6. 40歳・女性YouTuber「18年間、脇毛を処理していない」→“処理しない理由”語る 「脇のみならず……」
  7. コメダ珈琲店で朝、ミックスサンドとコーヒーを頼んだら…… “とんでもない事態”に爆笑「恐るべし」「コントみたい」
  8. 息子の小学校卒業で腕を組んだ34歳母→中学校で反抗期を迎えて…… 6年後の姿に反響 「本当に素敵!」「お母さん、変わってない!?」
  9. Koki,、豪邸すぎる“木村家の一室”がウソみたいな広さ! 共演者も間違えてしまうほどの空間にスタジオビックリ「コレ自宅!?」「ちょっと見せて」
  10. 使わない靴下をザクザク切って組み合わせると…… 目からウロコの再利用法が2500万再生「とてもクリエイティブ」【海外】