全員で試行錯誤しながら埋めた「AI崩壊」の“穴” 大沢たかお、オリジナル脚本だからこその“不完全さ”を語る
「22年目の告白 -私が殺人犯です-」などを手掛けた入江悠監督が挑むオリジナル作品。
AI(人工知能)が全国民のライフラインを支える存在となった10年後を描くサスペンス超大作「AI崩壊」が1月31日から公開。俳優の大沢たかおさんを主演に、「ジョーカー・ゲーム」や「22年目の告白 -私が殺人犯です-」などを手掛けた入江悠監督のオリジナル脚本として、突如“人間の命の選別”を始めたAIと、AI暴走のテロリストにされた天才科学者・桐生浩介の姿が描かれます。
大沢さん演じる桐生が、AIを暴走させたテロリストと見なされ、全国各地を逃げ惑う逃走シーンもさることながら、亡き妻・望(松嶋菜々子さん)や1人娘・心との“家族愛”を感じさせるシーンも見どころの一つとなっている同作。人の温かみを感じられる作品にしたかったという大沢さんが、“オリジナル脚本”だからこその“不完全さ”を語りました。
――日本映画で近未来を描く作品は、海外と比べるとかなり難しかったと思います。大沢さんは天才科学者という役柄にキャスティングされましたが、桐生浩介をどのように捉えてどのように演じられましたか?
大沢たかお(以下、大沢) 最初お話をいただいたときに、“天才科学者”という役柄を意識して役作りしていたらどんどん、ステレオタイプなつまらない人物になってしまったんです。極端なことを言うと、ハリウッド映画に出てきそうな何でも完璧にこなしてしまうタイプ。僕がトム・クルーズさんだったらそういうキャラクターでもいいかもしれませんが、そうではないので(笑)。
そういった不死身なキャラクターや隙のない男は、どちらかというと“人間”を描くことを得意とする日本映画のエンターテインメントでは成立しにくいと思うんです。ですので、決してスーパーヒーローではない普通の人間がこの作品のように、パニックに巻き込まれたらどうするのか、ともう一度考え直したら自分の中でドキドキワクワクしたのを覚えています。そこからは、人間味のある体温を感じるキャラクターを演じようと決めて、実際そのように演じさせていただきました。
――桐生のそういったキャラクター像は監督とも考えが一致しましたか?
大沢 そうですね。僕は普段、誰かと話し合ったりすることはないですが、今回は監督のオリジナル脚本ということで、自分の思う日本のエンターテインメント映画についてや、桐生のキャラクター像などは共有しましたし、現場に入ってからも細かなところを相談しながら調整しました。
――具体的に現場でどのような調整が行われたのでしょうか?
大沢 記者に囲まれる中、田牧そらさん演じる娘の心と医療AI「のぞみ」を扱うHOPE社に入るシーンでは、もともと脚本にはなかった“手をつなぐ”ということをやってみました。
あの日はクランクインの日だったのですが、仲がいい悪いは別にして、桐生と心が親子である以上は、見た人が無意識に感じる“何か”がほしいなとずっと悩んでいたんです。役者は、僕も含め、クランクインの日とかはまだ現場になじんでいないので、冒険することは少ないのですが、あのシーンはそれでいいのかなと自問自答していて、何パターンか撮影した最後に田牧さんには何も言わずに手をつないでみました。
そういう一瞬はすごく大切で、そこで“ウソ”が観客にばれてしまうと思うんです。大したことではないのかもしれないですが、僕の中では映画全体の方向性が見えたシーンになりました。
――亡き妻の望役を演じた松嶋菜々子さんとは5度目の共演となりましたね。共演シーンはわずかでしたが、撮影するにあたってお話されたことなどはありますか?
大沢 松嶋さんとは何度も共演させていただいているので、お互いになれ合いにならないよう、望みとの別れのシーンである病室での撮影前に「短いシーンだけど、ここめちゃくちゃ大事だからね!」という話をしました(笑)。
夫婦関係を示すシーンはほぼあの場面だけでしたし、2人の何十年分の別れをすごく短い撮影時間の中で表現するためには、松嶋さんと同じレベルの気持ちに持っていかなくてはいけなかったので、自分自身にも言い聞かせるように「めっちゃ大事だよ!」とお互いにプレッシャーをかけ合いました。
――家族愛をすごく感じるシーンでした。最後のシーンで、「AIは人を幸せにするか。それは……」と続いていくせりふが印象に残りました。
大沢 あのせりふは、撮影の直前まで決まっていなかったんです。仮のせりふはあったのですが、僕はしっくりきていなくて、入江監督やプロデューサーに別のアイデアがないか相談していました。
でも、撮影当日までベストなものが見つからなかったので、入江監督が思い付くパターンをいくつか撮影してみようということになり、周りには一切知らせず、何パターンか撮影させていただきました。だから、田牧さんもすごくびっくりしていました。僕が台本とは違うせりふを何パターンも話すから(笑)。でも、田牧さんはそれぞれのせりふにきちんと反応してくれたので、どのパターンもいいシーンになったと思います。
最終的に、劇中で使われている監督が選んだせりふは、僕も気に入っていたので、相談してよかったなと思います。
――かなり試行錯誤されたところが多かった作品なのですね。
大沢 そうですね。それは、オリジナル脚本だからというところが大きいですね。原作があるものは、原作者の方が構想から相関図など何年もかけて練り上げているので、隙がないんです。でも今回は入江監督のオリジナル脚本だったので、現場で話し合い意見を出し合ってできあがる部分が多かったですね。
そういった“穴”を、カメラマンさんや役者さん、音声さんなど、全員で試行錯誤しながら埋めて作り上げていったというのは、やはり“オリジナル”だからだと思います。
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