全員で試行錯誤しながら埋めた「AI崩壊」の“穴” 大沢たかお、オリジナル脚本だからこその“不完全さ”を語る

「22年目の告白 -私が殺人犯です-」などを手掛けた入江悠監督が挑むオリジナル作品。

» 2020年02月01日 12時32分 公開
[のとほのかねとらぼ]

 AI(人工知能)が全国民のライフラインを支える存在となった10年後を描くサスペンス超大作「AI崩壊」が1月31日から公開。俳優の大沢たかおさんを主演に、「ジョーカー・ゲーム」や「22年目の告白 -私が殺人犯です-」などを手掛けた入江悠監督のオリジナル脚本として、突如“人間の命の選別”を始めたAIと、AI暴走のテロリストにされた天才科学者・桐生浩介の姿が描かれます。

大沢たかお AI崩壊 入江悠 AI 桐生 (C)2019映画「AI崩壊」製作委員会

 大沢さん演じる桐生が、AIを暴走させたテロリストと見なされ、全国各地を逃げ惑う逃走シーンもさることながら、亡き妻・望(松嶋菜々子さん)や1人娘・心との“家族愛”を感じさせるシーンも見どころの一つとなっている同作。人の温かみを感じられる作品にしたかったという大沢さんが、“オリジナル脚本”だからこその“不完全さ”を語りました。

大沢たかお AI崩壊 入江悠 AI 桐生 天才科学者・桐生を演じた大沢さん

――日本映画で近未来を描く作品は、海外と比べるとかなり難しかったと思います。大沢さんは天才科学者という役柄にキャスティングされましたが、桐生浩介をどのように捉えてどのように演じられましたか?

大沢たかお(以下、大沢) 最初お話をいただいたときに、“天才科学者”という役柄を意識して役作りしていたらどんどん、ステレオタイプなつまらない人物になってしまったんです。極端なことを言うと、ハリウッド映画に出てきそうな何でも完璧にこなしてしまうタイプ。僕がトム・クルーズさんだったらそういうキャラクターでもいいかもしれませんが、そうではないので(笑)。

 そういった不死身なキャラクターや隙のない男は、どちらかというと“人間”を描くことを得意とする日本映画のエンターテインメントでは成立しにくいと思うんです。ですので、決してスーパーヒーローではない普通の人間がこの作品のように、パニックに巻き込まれたらどうするのか、ともう一度考え直したら自分の中でドキドキワクワクしたのを覚えています。そこからは、人間味のある体温を感じるキャラクターを演じようと決めて、実際そのように演じさせていただきました。

大沢たかお AI崩壊 入江悠 AI 桐生大沢たかお AI崩壊 入江悠 AI 桐生 AI暴走のテロリストと見なされ追われる身に (C)2019映画「AI崩壊」製作委員会


――桐生のそういったキャラクター像は監督とも考えが一致しましたか?

大沢 そうですね。僕は普段、誰かと話し合ったりすることはないですが、今回は監督のオリジナル脚本ということで、自分の思う日本のエンターテインメント映画についてや、桐生のキャラクター像などは共有しましたし、現場に入ってからも細かなところを相談しながら調整しました。

――具体的に現場でどのような調整が行われたのでしょうか?

大沢 記者に囲まれる中、田牧そらさん演じる娘の心と医療AI「のぞみ」を扱うHOPE社に入るシーンでは、もともと脚本にはなかった“手をつなぐ”ということをやってみました。

 あの日はクランクインの日だったのですが、仲がいい悪いは別にして、桐生と心が親子である以上は、見た人が無意識に感じる“何か”がほしいなとずっと悩んでいたんです。役者は、僕も含め、クランクインの日とかはまだ現場になじんでいないので、冒険することは少ないのですが、あのシーンはそれでいいのかなと自問自答していて、何パターンか撮影した最後に田牧さんには何も言わずに手をつないでみました。

 そういう一瞬はすごく大切で、そこで“ウソ”が観客にばれてしまうと思うんです。大したことではないのかもしれないですが、僕の中では映画全体の方向性が見えたシーンになりました。

大沢たかお AI崩壊 入江悠 AI 桐生 親子のつながりを大切にしたという大沢さん (C)2019映画「AI崩壊」製作委員会

――亡き妻の望役を演じた松嶋菜々子さんとは5度目の共演となりましたね。共演シーンはわずかでしたが、撮影するにあたってお話されたことなどはありますか?

大沢 松嶋さんとは何度も共演させていただいているので、お互いになれ合いにならないよう、望みとの別れのシーンである病室での撮影前に「短いシーンだけど、ここめちゃくちゃ大事だからね!」という話をしました(笑)。

 夫婦関係を示すシーンはほぼあの場面だけでしたし、2人の何十年分の別れをすごく短い撮影時間の中で表現するためには、松嶋さんと同じレベルの気持ちに持っていかなくてはいけなかったので、自分自身にも言い聞かせるように「めっちゃ大事だよ!」とお互いにプレッシャーをかけ合いました。

――家族愛をすごく感じるシーンでした。最後のシーンで、「AIは人を幸せにするか。それは……」と続いていくせりふが印象に残りました。

大沢 あのせりふは、撮影の直前まで決まっていなかったんです。仮のせりふはあったのですが、僕はしっくりきていなくて、入江監督やプロデューサーに別のアイデアがないか相談していました。

 でも、撮影当日までベストなものが見つからなかったので、入江監督が思い付くパターンをいくつか撮影してみようということになり、周りには一切知らせず、何パターンか撮影させていただきました。だから、田牧さんもすごくびっくりしていました。僕が台本とは違うせりふを何パターンも話すから(笑)。でも、田牧さんはそれぞれのせりふにきちんと反応してくれたので、どのパターンもいいシーンになったと思います。

 最終的に、劇中で使われている監督が選んだせりふは、僕も気に入っていたので、相談してよかったなと思います。

大沢たかお AI崩壊 入江悠 AI 桐生 (C)2019映画「AI崩壊」製作委員会

――かなり試行錯誤されたところが多かった作品なのですね。

大沢 そうですね。それは、オリジナル脚本だからというところが大きいですね。原作があるものは、原作者の方が構想から相関図など何年もかけて練り上げているので、隙がないんです。でも今回は入江監督のオリジナル脚本だったので、現場で話し合い意見を出し合ってできあがる部分が多かったですね。

 そういった“穴”を、カメラマンさんや役者さん、音声さんなど、全員で試行錯誤しながら埋めて作り上げていったというのは、やはり“オリジナル”だからだと思います。

大沢たかお AI崩壊 入江悠 AI 桐生

プレゼントキャンペーン

 ねとらぼエンタの公式YouTubeをチャンネル登録&公式Twitterをフォローし、プレゼント企画を告知するツイートをRTしてくださった方の中から抽選で2名に、大沢たかおさんのサイン入りチェキをプレゼントします。

大沢たかお AI崩壊 入江悠 AI 桐生

キャンペーン応募方法

(1)ねとらぼエンタ公式Twitterアカウント(@itm_nlabenta)をフォロー

(2)告知ツイートをRTで応募完了


注意事項

  • 締切期限は2月8日正午
  • 当選者には編集部よりDMにてご連絡いたします。DMが解放されていない場合には当選無効となりますのでご注意ください
  • いただいた個人情報はプレゼントの発送のみに使用し、送付後は速やかに処分します
  • ご応募完了時点で、アイティメディアのプライバシーポリシーへご同意いただいたものと致します。応募前に必ずご確認ください

フォトギャラリー

大沢たかお AI崩壊 入江悠 AI 桐生 大沢たかお AI崩壊 入江悠 AI 桐生 大沢たかお AI崩壊 入江悠 AI 桐生 大沢たかお AI崩壊 入江悠 AI 桐生 大沢たかお AI崩壊 入江悠 AI 桐生 大沢たかお AI崩壊 入江悠 AI 桐生 大沢たかお AI崩壊 入江悠 AI 桐生 大沢たかお AI崩壊 入江悠 AI 桐生



Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2504/27/news062.jpg 49歳病没の大宮エリーさん、生前開催の個展で「体調も万全でなかったので不安」 3カ月前には苦しげな姿も「声が出にくい」
  2. /nl/articles/2504/28/news013.jpg 夏に向けてトリミングしたワンコ、飼い主が迎えに行ったら…… 注文ミスが生んだ“予想外の姿”が180万表示 「もっと見たい」「じわじわくる」
  3. /nl/articles/2504/24/news136.jpg 青い毛糸で輪っかをひたすら編み、つなぎ合わせると…… 予想もつかなかった完成品が195万再生「これはヤバい」「なんてアイデアなの」【海外】
  4. /nl/articles/2504/28/news147.jpg Vtuberの死去を所属事務所が発表 「詳細については控えさせていただきます」
  5. /nl/articles/2504/25/news063.jpg 紙コップに“ひも”をクルクル巻くだけで…… 1000万再生された“驚きのアイデア”に「これは思い付かなかった」【海外】
  6. /nl/articles/2504/27/news008.jpg 万博会場に3DSを持って行ったら…… 300万表示の“目を疑う現象”に動揺広がる 「信じられない!」「今令和やぞ」
  7. /nl/articles/2504/26/news004.jpg ケガして動けないエビのため半年間、口元にエサを運んで介護したら…… 「びっくり」「不思議」まったく予想外の変貌に大反響
  8. /nl/articles/2504/28/news076.jpg 「復活キター!」 マクドナルド、“仲良しな二人”の復活を予告 意外な組み合わせに「仲悪いと思ってた」「また帰ってきたか、、、」
  9. /nl/articles/2504/27/news021.jpg 釣り人が捨てたフグを保護 → ありえない量のエビを与えたら…… 「大笑いしてしまいました」と反響を呼んだ姿から1年後……保護主に話を聞いた
  10. /nl/articles/2504/25/news022.jpg 足の悪い母のため、庭に作った小道→100均アイテムで雰囲気ガラリ 天才アイデアに「すごい!」「真似します」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「成長したらそのうち襲ってくる」と言われたワニ、16年後……→ 280万回再生を突破した驚きの姿に「初めて見た」の声
  2. 【大阪万博】皇后さま、帽子から靴までブルーとピンク 天皇陛下のネクタイと“連日おそろいコーデ”
  3. 飲み終えた“コーヒーかす”→捨てずに石と混ぜると、1カ月後…… 「感動」目からウロコの裏ワザに「やってみよう」
  4. 人里離れた山にカメラを設置→1週間後…… 「なんで?」映っていた“意外すぎる住人”に「笑った」「実在していたのか!」
  5. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  6. 「ウソだ…」「言葉が出ない」 幼少期から絵を描き続けた少年→15年後…… 大人になって描いた絵が100万再生【海外】
  7. 湘南の砂浜に打ちあがった“超危険生物”を飼育したら…… 貴重な姿に「初めて見ました」「かっこいい」と大反響→2年後の現在について話を聞いた
  8. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」話題になった飼い主に聞いた
  9. 万博「ミャクミャク」記念500円硬貨、金融機関での「品切れ」&高額転売相次ぐ…… 5倍以上の金額で出品される事態に
  10. マクドナルド、次回ハッピーセットコラボに「争奪戦すごそう」 品切れや転売の懸念も「1個でいいから欲しい」「たくさん作って」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 【べらぼう】“問題のシーン”、「子供に見せられない」 身体張った27歳俳優へ「演技やばくない?」
  2. 「恩師ビックリするやろなぁ」 中学3年で付き合い始めた“同級生カップル”が10年後…… まさかの現在に反響
  3. 「本当に迷惑」 宅急便の「不在連絡票」と酷似のチラシが物議…… ヤマト運輸「配布中止申し入れ」
  4. 「うそでしょ!?」 東京ディズニーランド、“老舗”レストランの閉店を発表 「とうとう来てしまったか」「いやだああああ」と悲しみの声
  5. 雑草ボーボーの運動場に“180羽のニワトリ”を放ったら…… 次の日、まさかの光景に「感動しました」「すごい食欲」
  6. 40歳・女性YouTuber「18年間、脇毛を処理していない」→“処理しない理由”語る 「脇のみならず……」
  7. コメダ珈琲店で朝、ミックスサンドとコーヒーを頼んだら…… “とんでもない事態”に爆笑「恐るべし」「コントみたい」
  8. 息子の小学校卒業で腕を組んだ34歳母→中学校で反抗期を迎えて…… 6年後の姿に反響 「本当に素敵!」「お母さん、変わってない!?」
  9. Koki,、豪邸すぎる“木村家の一室”がウソみたいな広さ! 共演者も間違えてしまうほどの空間にスタジオビックリ「コレ自宅!?」「ちょっと見せて」
  10. 使わない靴下をザクザク切って組み合わせると…… 目からウロコの再利用法が2500万再生「とてもクリエイティブ」【海外】