新型肺炎〜停滞する中国経済が与える世界への影響

中国がくしゃみをすると、世界が風邪をひく構図になりつつあるのかもしれない。

» 2020年02月06日 17時00分 公開
[ニッポン放送(1242.com)]
ニッポン放送

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月5日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。新型コロナウイルスによって停滞する中国経済について解説した。飯田浩司が休みのため新行市佳が進行を務めた。

フォト 【さっぽろ雪まつり】メイン会場となる大通公園ではマスク姿の人が目立った=2020年2月4日、札幌市中央区 写真提供:産経新聞社

新型肺炎の経済への影響〜G20で議論へ

サウジアラビアの首都リヤドで22日から開催されるG20(財務相・中央銀行総裁会議)で、新型肺炎が経済に与えるリスクについて議論が交わされる見通しとなった。4日の衆院予算委員会では日銀の黒田総裁が「SARSのときより影響が大きくなる可能性がある」と指摘している。

新行)新型コロナウイルスによる肺炎、世界経済にも大きな影響を与えています。日本でも製造業、観光業などに大きな影響が出て来ていますね。

フォト ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

中国はいまや世界の工場から世界最大の巨大消費地に

佐々木)昔から2月と8月にはお客さんが少ないということがあって、観光の穴場だったわけです。2月は春節、いわゆる旧正月の時期で、中国人観光客がたくさん来るようになり、期待していた部分があったから、それが激減しているのは大きいです。2018年の来日観光客はついに3000万人を突破して、今年(2020年)は4000万人を目指すかという話でしたが、暗雲が立ち込めて来ています。同時に、製造業で中国はグローバルサプライチェーンの中心地になっていて、これなしには世界の製造業が成立しないレベルになっています。中国は「世界の工場」と言われて来ましたが、工場だったのは賃金が安かったからなのです。しかし最近は給料も上がって、製造業の中心地は東南アジアの方へ移行しつつあるという話もあります。では中国がどうなっているのかというと、最大の消費地になりつつあるのです。日本でもそうですが、高度経済成長期の1950年代〜1960年代ごろは、日本が「世界の工場」だった。それがバブルになると豊かになって、OLがパリのシャンゼリゼ通りに大挙して、ルイ・ヴィトンのバッグを買いまくるようになったのです。消費国家になって、日本はかつての労働国家から内需の国になって行きました。それと同じ道を中国がたどりつつあり、巨大な消費地になりつつある。フォルクスワーゲンはいまや中国が最大の輸入国です。中国なしには生産も消費もあり得ない。昔、「アメリカがくしゃみをすると日本が風邪をひく」と言われていた時期がありましたが、いまや中国がくしゃみをすると、世界が風邪をひく構図になりつつあるのかなと思います。

フォト ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

最新テクノロジーを牽引して行く中国

佐々木)中国は消費国家であるだけでなく、これからの10年〜20年は最先端テクノロジーを牽引して行くでしょう。自動運転やAI、特にAIへのお金の使い方は半端ではありません。ですから、最先端AI企業は中国の深圳あたりに集約されていると言われるようになっているくらいで、中国が経済を維持してくれることをみんなが祈っています。

フォト 中国・北京で建国70周年記念軍事パレードに参加する(前列左から)習近平国家主席、江沢民元国家主席、李克強首相(中国・北京)=2019年10月1日 写真提供:時事通信

昔の地位を取り戻しつつある中国・インド〜日本はどう向き合うのか

佐々木)考えてみると、18世紀くらいまでの中国は世界最大の工業国だったのです。みんな忘れていますが、当時は中国とインドが世界の中心地でした。産業革命が起きてヨーロッパがどんどん植民地をつくるにしたがって、徐々に中国やインドの地位が落ち、インドは植民地にされてしまいました。途上国の扱いになって転落したのが、19世紀後半〜20世紀までの歴史だったのですが、21世紀に入ってヨーロッパの凋落やアメリカが世界の警察から撤退するにしたがって、だんだん近代以前の中国やインドの姿に戻りつつある。今後は中国とインドが世界の中心になって、世界経済が動いて行く状況は変わらないと思います。日本はそれにどう向き合うのか。経済的に中国に依存するのは避けられない。でも、経済で中国に依存したからといって、安全保障まで侵されてしまうのはよくありません。できれば日本は、経済的には密接な関わりがあって輸出入が多いのだけれど、国としては距離を取って、島国として生きて行くような立ち位置になった方がいい気はします。

radikoのタイムフリーを聴く

Copyright Nippon Broadcasting System, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/19/news150.jpg 「情報を漏らされ振り回され……」とモデラー“限界声明” Vtuberのモデル使用権を剥奪 「もう支えられない」「全サポート終了」
  2. /nl/articles/2411/20/news028.jpg 「うどん屋としてあるまじきミス」→臨時休業 まさかの“残念すぎる理由”に19万いいね 「今日だけパン屋さんになりませんか」
  3. /nl/articles/2411/20/news224.jpg “ドームでライブ中”に「76万円の指輪紛失」→2日後まさかの展開に “持ち主”三代目JSBメンバー「誰なのか探しています」
  4. /nl/articles/2411/19/news169.jpg 高畑充希と結婚の岡田将生、インスタ投稿めぐり“思わぬ議論”に 「わたしも思ってた」「普通に考えて……」
  5. /nl/articles/2411/20/news031.jpg 「本当に同じ人!?」 幼少期からイボをいじられていた男性→美容師の“お任せカット”が衝撃 「めちゃくちゃ大変身」
  6. /nl/articles/2411/19/news022.jpg 「おててだったのかぁああああ」「同じ解釈の人いた笑笑」 ピカチュウの顔が“こう見えた”再現イラストに共感続々、464万表示
  7. /nl/articles/2411/20/news042.jpg 「腹筋崩壊」 ハスキーをシャンプー&パックしたら…… “予想外のハプニング”に「こ〜れは大変だわ」「沼にでも落ちたのかとwww」
  8. /nl/articles/2411/20/news216.jpg “歌姫”ののちゃん、6歳現在の姿に驚きの声「あれっ!?」「ビックリしてます!」 2歳で「童謡こどもの歌コンクール」銀賞受賞
  9. /nl/articles/2411/20/news041.jpg 黄ばみのある68年前のウエディングドレスを修復すると…… 生まれ変わった姿に「泣いた」「受け継ぐ価値のあるドレス」
  10. /nl/articles/2411/18/news107.jpg 走行中の車から同じ速さで後方へ飛び降りると? 体を張った実験に反響「問題文が現実世界で実行」【海外】
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた