「求人が具体的ではない」「履歴書の記入が難しい」 外国人を対象としたアンケートで浮かびあがる日本の「求人」の問題点

昇給制度や残業に対する鋭い指摘も。

» 2020年02月14日 12時55分 公開
[谷町邦子ねとらぼ]

 母国を離れ、日本で働く外国人労働者。日本の職場について「これは直してほしいなぁ」と思うことがある人も少なくないようです。外国人向け求人チャットコンシェルジュ「JapanWork」が、1月29日〜2月6日に日本に住む外国人(126名/32ヵ国、10代〜50代)を対象に実施したアンケート調査は、日本の職場のさまざまな課題が指摘される結果となりました。


日本の働く現場の改善点 回答者はフィリピン(31%)、ネパール(18.3%)、スリランカ(10.3%)、ベトナム(8.7%)と東南アジア、南アジア出身の人が多い


日本の働く現場の改善点 年代は30代(53.2%)、20代(28.6%)、40代(15.1%)、50代(1.6%)、20代以下(1.6%)と、20〜30代が中心

「改善すべき点」第1位は日本人も苦手なアレ

 アンケートの「日本の働く現場が変えるべき/改善すべき所は」という質問に対して、一番多かった答えは「履歴書の書き方(21.4%)」。次いで「業務内容の完全なマニュアル化(19.8%)」、そして「昇給制度(15.1%)」「職場環境(14.3%)」「仕事量(7.9%)」などが続きます。

 履歴書については「漢字を使うことが難しい(フィリピン、30代)」、「細かな書き方が分からない(インド、40代)」など負担の大きさがうかがわれるコメントが寄せられていました。近年、「面接時履歴書不要」という求人が増えており、日本で生まれ育っていても履歴書を書くのが手間だと感じる人は多く、日本語の読み書きに不慣れな人にとってはなおさら、という結果になったのでしょう。


日本の働く現場の改善点 履歴書の書き方(21.4%)、業務内容の完全なマニュアル化(19.8%)、昇給制度(15.1%)、職場環境(14.3%)、仕事量(7.9%)、研修資料やマニュアルの翻訳(7.1%)、シフトの決め方(6.3%)、研修内容(4%)、髪型や服装などの規定(4%)

 「業務内容の完全なマニュアル化」に関しては、「口頭だけでの指示では分からないことがあるが、マニュアル化すればミスが減ると思う(フィリピン、20代)」、「何をしたらいいのか明確な指示がないので困っている(モンゴル出身、10代)」といったコメントが。これも、言葉や習慣のちがいによって、暗黙の了解や「空気を読む」ことがさらに難しくなるためだと考えられます。

 「昇給制度」については、「日本の給与制度は企業規模に比例していない。企業規模も大きく、従業員の能力も高ければ相応の給与を支払うべき(シンガポール出身、30代)」、「仕事量」については「残業が当たり前なのは変えるべき(フィリピン、30代)」、「正確な勤務時間を記載すべき。私はサービス残業はしない(アルゼンチン、20代)」など、日本の働き方で問題視されつつも、なかなか改善されない課題を鋭く指摘するようなコメントもありました。

求人票で大事な情報はきちんと伝わっているのか?

 仕事探しにおいて、「日本語での求人内容を正確に理解する事ができますか」という問いに対しては、81.7%もの人が「はい」と答えています。多くの外国人は求人情報で、言葉として書かれていることは理解できている、ということなのでしょう。


日本の働く現場の改善点 はい(81.7%)、いいえ(18.3%)

 一方、「応募前に一番知りたい情報は何ですか」という問いに対しては、多くの外国人が「細かく具体的な仕事内容(48.4%)」、「1日の仕事の流れ、スケジュール(31%)」を選択しています。


日本の働く現場の改善点 細かく具体的な仕事内容(48.4%)、1日の仕事の流れ/スケジュール(31%)、必要な日本語レベル(13.5%)、必須/歓迎する経験・資格(6.3%)

 先ほどの「日本の働く現場が変えるべき/改善すべき所は」という質問でも、「業務内容の完全なマニュアル化(19.8%)」「仕事量(7.9%)」が多くあげられ、「何をしたらいいのか明確な指示がない」「正確な勤務時間を記載すべき」というコメントがあったことを合わせて考えると、仕事内容や就業時間といった重要な情報が現在の求人票の書き方で十分に伝わっているのだろうか、という心配も。

 外国人向けの求人を扱う「JapanWork」に対して、外国人から「工場内の食品の仕分け」の仕事について宗教上の理由で豚肉に触れられないなどの理由で、「何の食材を扱うのか」といった問い合わせがあったそうです。外国人への求人情報はより具体的で詳細な必要がある、という1つの例だと言えます。


日本の働く現場の改善点 「日本での仕事探しにおいて、どんなサポートが必要ですか」という質問に対するコメント(一部抜粋)

 そして、「日本語での求人内容を正確に理解する事ができますか」という問いに対して「いいえ」と答えた人は「漢字が読めない。特に仕事内容が充分に理解できない(フィリピン、40代)」とコメント。また、「日本での仕事探しにおいて、どんなサポートが必要ですか」という質問には、求人情報の英語表記や翻訳を求める声が複数ありました。日本語での求人内容を理解しているか否かにかかわらず、お互いの認識を正確に確認するため、言葉の面でのサポートは必要とされているようです。

 外国人ではなくても、履歴書なしで応募できたり、仕事が分かりやすくマニュアル化されていたり、求人情報に仕事内容などが詳しく書かれていたりすれば助かる人も多いはず。もちろん言葉の面でのサポートという外国人ならではのニーズもありますが、外国人の視点からの見えてくる問題点を改善することが、誰でも働きやすい職場を作るカギになるかもしれません。

(谷町邦子 FacebookTwitter

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2504/27/news062.jpg 49歳病没の大宮エリーさん、生前開催の個展で「体調も万全でなかったので不安」 3カ月前には苦しげな姿も「声が出にくい」
  2. /nl/articles/2504/28/news013.jpg 夏に向けてトリミングしたワンコ、飼い主が迎えに行ったら…… 注文ミスが生んだ“予想外の姿”が180万表示 「もっと見たい」「じわじわくる」
  3. /nl/articles/2504/24/news136.jpg 青い毛糸で輪っかをひたすら編み、つなぎ合わせると…… 予想もつかなかった完成品が195万再生「これはヤバい」「なんてアイデアなの」【海外】
  4. /nl/articles/2504/28/news147.jpg Vtuberの死去を所属事務所が発表 「詳細については控えさせていただきます」
  5. /nl/articles/2504/25/news063.jpg 紙コップに“ひも”をクルクル巻くだけで…… 1000万再生された“驚きのアイデア”に「これは思い付かなかった」【海外】
  6. /nl/articles/2504/27/news008.jpg 万博会場に3DSを持って行ったら…… 300万表示の“目を疑う現象”に動揺広がる 「信じられない!」「今令和やぞ」
  7. /nl/articles/2504/26/news004.jpg ケガして動けないエビのため半年間、口元にエサを運んで介護したら…… 「びっくり」「不思議」まったく予想外の変貌に大反響
  8. /nl/articles/2504/28/news076.jpg 「復活キター!」 マクドナルド、“仲良しな二人”の復活を予告 意外な組み合わせに「仲悪いと思ってた」「また帰ってきたか、、、」
  9. /nl/articles/2504/27/news021.jpg 釣り人が捨てたフグを保護 → ありえない量のエビを与えたら…… 「大笑いしてしまいました」と反響を呼んだ姿から1年後……保護主に話を聞いた
  10. /nl/articles/2504/25/news022.jpg 足の悪い母のため、庭に作った小道→100均アイテムで雰囲気ガラリ 天才アイデアに「すごい!」「真似します」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「成長したらそのうち襲ってくる」と言われたワニ、16年後……→ 280万回再生を突破した驚きの姿に「初めて見た」の声
  2. 【大阪万博】皇后さま、帽子から靴までブルーとピンク 天皇陛下のネクタイと“連日おそろいコーデ”
  3. 飲み終えた“コーヒーかす”→捨てずに石と混ぜると、1カ月後…… 「感動」目からウロコの裏ワザに「やってみよう」
  4. 人里離れた山にカメラを設置→1週間後…… 「なんで?」映っていた“意外すぎる住人”に「笑った」「実在していたのか!」
  5. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  6. 「ウソだ…」「言葉が出ない」 幼少期から絵を描き続けた少年→15年後…… 大人になって描いた絵が100万再生【海外】
  7. 湘南の砂浜に打ちあがった“超危険生物”を飼育したら…… 貴重な姿に「初めて見ました」「かっこいい」と大反響→2年後の現在について話を聞いた
  8. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」話題になった飼い主に聞いた
  9. 万博「ミャクミャク」記念500円硬貨、金融機関での「品切れ」&高額転売相次ぐ…… 5倍以上の金額で出品される事態に
  10. マクドナルド、次回ハッピーセットコラボに「争奪戦すごそう」 品切れや転売の懸念も「1個でいいから欲しい」「たくさん作って」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 【べらぼう】“問題のシーン”、「子供に見せられない」 身体張った27歳俳優へ「演技やばくない?」
  2. 「恩師ビックリするやろなぁ」 中学3年で付き合い始めた“同級生カップル”が10年後…… まさかの現在に反響
  3. 「本当に迷惑」 宅急便の「不在連絡票」と酷似のチラシが物議…… ヤマト運輸「配布中止申し入れ」
  4. 「うそでしょ!?」 東京ディズニーランド、“老舗”レストランの閉店を発表 「とうとう来てしまったか」「いやだああああ」と悲しみの声
  5. 雑草ボーボーの運動場に“180羽のニワトリ”を放ったら…… 次の日、まさかの光景に「感動しました」「すごい食欲」
  6. 40歳・女性YouTuber「18年間、脇毛を処理していない」→“処理しない理由”語る 「脇のみならず……」
  7. コメダ珈琲店で朝、ミックスサンドとコーヒーを頼んだら…… “とんでもない事態”に爆笑「恐るべし」「コントみたい」
  8. 息子の小学校卒業で腕を組んだ34歳母→中学校で反抗期を迎えて…… 6年後の姿に反響 「本当に素敵!」「お母さん、変わってない!?」
  9. Koki,、豪邸すぎる“木村家の一室”がウソみたいな広さ! 共演者も間違えてしまうほどの空間にスタジオビックリ「コレ自宅!?」「ちょっと見せて」
  10. 使わない靴下をザクザク切って組み合わせると…… 目からウロコの再利用法が2500万再生「とてもクリエイティブ」【海外】