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» 2020年02月19日 07時00分 公開

如月の花、梅。「探梅」「賞梅」「送梅」と令和の梅見を楽しもう!

[日本気象協会 tenki.jp(http://www.tenki.jp/)]
Tenki.jp


江南所無(こうなんしょむ)

 立春を終え、雨水を迎える季節。雪が雨に変わり、雪解けが始まる季節とされています。とはいえ、これからまだ雪が降ることもあり、人間界の私たちは病気予防の対策はまだまだかかせません。

 一方、自然界はいち早く春の兆しをとらえ、ゆるやかに新しいエネルギーが動き始めています。2月如月(きさらぎ)の由来はまさに、「衣更着(きさらぎ)」が転じ、厳しい寒さに備え重ね着をする季節(衣を更に重ねる)という意味のほかに陽気が更に長くなっていく月として「気更来(きさらぎ)」、春に向けて草木の生命が動き出す「生更木(きさらぎ)」などの説もあるとされています。

 そのような自然界の春の兆しを知らせるのが梅の花。1月下旬〜5月上旬まで、約3ヶ月間かけて、ゆっくりと日本列島を北上します。南北に長い日本列島、あなたのお住まいの近くで梅の見頃が始まっているかもしれませんね。今回はそんな「梅」にまつわるよもやま話を綴っていきます。

『六名木』をご存知? 梅の種類を知ってさらに梅見を楽しもう

虎の尾(とらのお)

 梅は中国原産の花ですが、日本では奈良時代から栽培され始めたといわれています。江戸時代、武士の間で梅園芸が大ブームとなり梅の文化が花開きました。

 梅見で有名な水戸の偕楽園は、江戸幕府最後の将軍慶喜の父、水戸藩第九代藩主・徳川斉昭によって造園されました。江戸時代に品種改良が盛んに行われ、現在偕楽園は約100品種・3000本の梅の名所として、毎年梅まつりが開催されています(今年は2月15日(土)〜3月29日(日))。

 早咲きの梅を一輪一輪探しながら楽しむことを「探梅」、咲きそろった梅を楽しむことを「賞梅」、散りゆく梅を惜しみながら愛でることを「送梅」というそうです。このように、春を待ちわびつつ、段階を踏んで変化を楽しみ観賞するのが梅見のポイントです。

 中でも、江戸の伝統を引き継ぎ、香りや色、形が優れた六品種が『水戸の六名木』とされています。それぞれの特徴を知っているとさらに観賞が深まりますね。

虎の尾(とらのお)

 八重咲きの中輪で、開き始めが薄紅色。開花後白くなるのが特徴です。

江南所無(こうなんしょむ)

 明るい紅色の厚い花弁、大輪で雌しべを抱え込むように咲くのが特徴です。江南地方(中国)にこれ以上の梅はないという意味で名付けられたという説があります。

烈公梅(れっこうばい)

 烈公は徳川斉昭の別称で、斉昭公にちなんで名付けられたもの。蕾は濃いめのピンク、開くと薄紅色の大輪で、一重咲きです。

月影(つきかげ)

 よい香りが特徴です。また明るいグリーンの蕾と、さわやかな白梅の花びらの輪郭が美しく豪華です。

白難波(しろなにわ)

 やや早咲きで白い中輪の花を楽しめます。ほころんだときの微かな淡紅色が開花したあとも花の外側に残るのが特徴です。

柳川枝垂(やながわしだれ)

 一重咲きの薄紅色中輪。つぼみは濃紅色の萼(がく)に包まれていますが、開花すると萼は反り返り、淡紅色の花弁が現れます。

見て愛でるだけではない! 梅栽培を身近に楽しんでみよう

柳川枝垂(やながわしだれ)

 世界的にブームになっている盆栽。梅は盆栽でも楽しむことができます。

 桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿

 このような言葉があるように、盆栽の手入れにはコツが必要なようですが、もう少し気楽に、梅の実も楽しめる果樹はいかがですか?

 梅干しや梅ジュースが楽しめる南高梅などの苗木が、今の季節ホームセンターなどで購入できます。

 梅ジュースや梅ジャムには、まだ若い黄緑色の果実を、梅干しにするなら完熟した黄色の果実を収穫します。

参考:庭先で育てるおいしい果樹:ウメを育てよう(タキイ種苗株式会社 タキイネット)

新元号「令和」になって初めての梅見! 「梅花の歌」を改めて味わおう

月影(つきかげ)

 新元号「令和」がスタートし「令和」の出典として、日本最古の歌集「万葉集」の「梅花の歌三十二首の序文」が話題となりました。

 令和2年ではありますが、実は令和最初の梅の季節。せっかくなら、梅見を楽しんでみませんか?「花」といえば、当時は桜ではなく梅をさしていたとのこと。梅は百花の長とされ、松竹梅に見られるように吉祥のシンボルです。

 わが園に 梅の花散る ひさかたの 天より雪の流れくるかも

 大伴旅人(おおとものたびと)が、「雪かと思えば、梅の花びらだったか、天からふる雪のように美しいなぁ」と感嘆したように、梅の花には神々の世界をイメージさせる気品がありますね。

 「万葉集」の「梅花の歌三十二首の序文」は、万葉の歌人で武人でもあった大伴旅人の太宰府にある邸宅で開かれた梅花の宴の様子が記されたもの。

 時に、初春の令月にして、気淑く風和ぐ。梅は鏡前の粉を披く、蘭は珮後の香を薫す

 「折しも、初春の佳き月で、空気は清く澄みわたり、風はやわらかくそよいでいる。梅は佳人の鏡前の白粉のように咲いているし、蘭は貴人の飾り袋の香のように匂っている。」(引用:新版 万葉集一現代語訳付き(角川ソフィア文庫))

 感覚を研ぎ澄まし、まだ続く寒さの中に春の兆しを感じ取り、自然の息遣いを味わい楽しむ心が表現されています。

 日本文化に脈脈と培われてきたもの、これから未来へ日本が培っていくものに思いを馳せてみると、「人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ」よう、令和に込められた願いが伝わってきます。

 どうぞ暖かくして梅見をお楽しみください!

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